東京地方裁判所 昭和46年(借チ)1018号 決定
〔主文〕申立人らの本件申立を却下する。
〔理由〕(申立の要旨)
1、申立人秀明は、相手方から、昭和二七年八月一日東京都目黒区中町一丁目一五〇八番三宅地532.33平方米のうち142.04平方米(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的、期間二〇年の約で賃借し、現に本件土地の借地権者である。2申立人らは、本件土地上にある家屋番号一の一八番木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅床面積58.67平方米(以下本件建物という)を取り毀し、これを建築基準法上適法とされる範囲内のプレハブ造二階建居宅に改築したいが、相手方の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(決定理由)
1、本件の資料によると、申立外八木花は、相手方から、昭和七年八月一日本件土地を木造建物所有の目的、期間二〇年の約で賃借し、同地上に本件建物を所有していたたところ、申立人たかの長女静江において昭和一八、九年頃八木花から本件建物および本件土地賃借権を譲り受け、本件建物につき昭和一九年三月七日所有権移転登記を経由し、借地権譲受につき相手方の承諾を得たこと、静江が本件建物および本件土地賃借権を譲り受けたのは、申立人たかの亡夫柿野操が同女に婿養子を迎える予定でいたので、同女にこれを買い与えたのであつたが、同女が昭和二一年静岡県下の栗田正義に嫁ぎ、本件建物を去り、その後は申立人たかの子である申立人秀明が事実上本件土地を支配するにいたつたので、期間満了とともに借地人を申立人秀明に改めることとし、昭和二七年八月一日申立人秀明相手方間に申立人ら主張の借地契約が締結されたこと、静江に婿養子を迎える予定であつたところ、同女が前記のように他に嫁いだので、申立人たかは、相手方不知の間に、本件建物を静江から自己の預金を払い下げて買い受け、昭和二四年五月一二日所有権移転登記を経由したことが認められる。
ところで、増改築の申立が認められるためには、増改築しようとする建物が借地人の所有であることを要するところ、申立人秀明は、本件土地の借地人ではあるが、本件建物は、登記簿上はもとより、実質上も申立人たかの所有であることは前認定のとおりであり、申立人たかは、本件土地の借地人ではないので、本件申立は、申立の要件を欠く不適法なものであり、却下すべきである。
(小山俊彦)