東京地方裁判所 昭和46年(借チ)1035号 決定
〔主文〕1 申立人が別紙目録(二)記載の建物を木造二階建店舗居宅兼共同住宅床面積一階52.17平方米二階52.17平方米(平面図は別紙図面のとおり)に改築することを許可する。
2 申立人は、相手方に対し、金三七万円の支払をせよ。
3 別紙目録(一)記載の土地に関する申立人相手方間の賃貸借契約の賃料を本裁判確定の日の属する月の翌月分から3.3平方米当り一ケ月一一〇円に改める。
〔理由〕(申立の要旨)
1 申立人は、亡秋本長八から昭和一七年八月一日別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を含む九六坪三合六勺を非堅固建物所有目的、期間昭和四七年七月三一日までの約で賃借した。秋本長八は昭和四二年五月四日死亡し、亡秋本守務が相続により賃貸人の地位を承継し、秋本守務も昭和四四年八月五日死亡し、相手方を含む相続人間で遣産分割協議の結果右借地のうち本件土地が相手方の所有となり、これにともない右借地契約は本件土地についての借地契約とその余の土地についての借地契約に分割され、相手方は、本件土地に関する借地契約の賃貸人の地位を承継した。賃料は従前の借地九六坪三合六勺全部につき昭和四五年七月一日以降一ケ月八〇〇〇円に改められ、現在にいたつている。
2 本件土地は青梅街道に面するところ、同街道拡張工事のため、申立人所有の別紙目録(二)記載の建物(以下本件建物という)を除却すべきこととなつたので、申立人は、本件建物を全部取り毀し、これを主文第一項記載のように改築すべく、既に本件建物全部を取り毀したが、右の改築を相手方が承諾しないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(決定理由)
1 本件資料によると、申立の要旨として掲げた前記1の事実のほか、申立人は、本件土地上に本件建物を所有していたところ、青梅街道拡幅工事のため本件建物の一部を除却しなければならなくなつたため、これを全面的に改築すべく、既に取り毀たしたこと、本件改築は土地の通常上の利用上相当であることおよび本件賃貸借契約には借地人が借地上の建物を増改築するには賃貸人の承諾を要する旨の特約が附されていることが認められるので、本件申立は、これを許可すべきである。
2 附随処分
本件改築により、申立人の住の快適性は向上するとともに、本件改築後の建物は、階下は従前と同じく店舗兼居宅であるが二階は賃貸用に建築されるので、従前より収益が増加することが予想され、このことは本件土地の効用が従前より増加することを意味するので、申立人に対し財産上の給付を命ずるのが相当であり、その額は、従来の裁判例に徴し、鑑定委員会の評価による本件土地の更地価格(一平方米当り一〇二、九〇〇円)の約3.5%にあたる三七万円を相当とし、また、土地の効用増に伴い賃料を改めるのを相当とするところ、東京都内の年間支払賃料は、底地価格の0.5%ないし二%の間に介在し、中でも一%ないし1.5%のものが多数を占めているというのが専問家の調査結果であるので、3.3平方米当りの一ケ月の賃料を鑑定委員会の評価による本件土地の底地価格(更地価格の三〇%)の約1.3%の一二分の一にあたる一一〇円に改める。
(小山俊彦)
目録
(一) 東京都保谷市東伏見三丁目二六〇番一
宅地 484.88平方米のうち101.82平方米
(二) 右地上所在
家屋番号二〇九番
木造セメント瓦葺二階建店舗
床面積 一階 一三坪二合
二階 八坪七合
現況 一階 一七坪七合五勺
二階 八坪七合五勺