東京地方裁判所 昭和46年(借チ)1045号 決定
〔主文〕1 申立人が、本裁判の確定の日の翌日から三か月以内に相手方に対し金一、一七二、〇〇〇円を支払うことを条件に別紙目録(二)の2記載の増改築計画を許可する。
2 前項の金員が支払われた場合に本件賃貸借の期間を右金員支払の日の属する月の翌月から二〇か年に、賃料を同月分から一か月金四、七九一円に変更する。
〔理由〕一 本件申立の要旨
(一) 申立人の父親である米本正吉は、約二五年前より相手方から別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という)を非堅固建物所有の目的で賃借し、昭和二六年二月八日申立人が相続による右賃借人たる地位を承継し、更に、昭和三〇年一二月二五日相手方との間に契約を合意により更新した。
(二) 申立人は、本件土地上に同目録(二)の1記載の建物を所有しているが、これを同目録2のとおり改築すべく計画中であり、本件賃貸借契約には、増改築制限の特約が存し、相手方の承諾がえられないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。
二 裁判所の判断
本件で取調べた資料によれば、前記一の1の事実(ただし期間は昭和三〇年一二月二五日から二〇か年)および本件賃貸借契約には増改築制限の特約が存することならびに本件改築計画は、土地の利用上および法令の制限上相当であることが認められる。他にこれを不当とする事由はない。そこで本件申立は後記の条件で許可するのが相当である。
附随の処分につき、鑑定委員会は、申立人に対し、金一三〇万円を支払わせ、賃料を月額金五三〇〇円に改訂するのが相当である、としている。
当裁判所は、相手方において本件賃貸借期間満了時において更新を拒絶しうる事由の存在があるとは認められないので借地法七条の趣旨により、本件賃貸借の期間を後記金員支払の日の属する月の翌月から二〇か年に変更する。しかして、本裁判により、相手方は、右期間の変更および建物の朽廃時期が延長され、買取価格の増加による更新拒絶権が制限される不利益を受け、他方申立人の居住の快適性は増大するのであるから、右利害を調整するため申立人に給付金の支払を命ずべきであり、その額は、前記委員会の意見(一平方米当り金三、七〇〇円)を相当とするが、右額は契約面積によつているのでこれを実測面積により修正すると給付金は金一、一七二、〇〇〇円(千未満切捨て)となる。賃料についても右意見を相当と認め、実測面積により修正すると月額金四、七九一円(3.3平方米当り金五〇円)と定めるのが相当である。 (筧康生)
目録(一)
(土地)
(一) 東京都江戸川区宇喜田町一二二七番二
宅地219.02平方米
(二) 同所一二二八番
宅地167.91平方米
(一)(二)のうち、契約上 350.41平方米(一〇六坪)
実測 316.76平方米(95.82坪)
目録
1 現存建物
東京都江戸川区宇喜田町一二二七番地
家屋番号二四二番
木造瓦葺平家建居宅
57.02平方米(17.25坪)
附属
木造瓦葺平家建居宅
34.14平方米(10.33坪)
木造瓦葺平家建物置
6.61平方米(二坪)
2 増改築計画
現存建物を取りこわし、
(一) 木造瓦葺二階建居宅
一階69.96平方米
二階32.72平方米
(二) 木造瓦葺二階建
一階32.10平方米
二階20.83平方米
を新築する。