大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(刑わ)3777号・昭46年(刑わ)4710号 判決

〔主文〕一、被告人を懲役二年に処する。

二、未決勾留日数中九〇日を右本刑に算入する。

三、押収してある運転免許証一通(昭和四六年押第一一八三号符号一)は被害者飛田義美に還付する。

四、被告人に対する昭和四〇年一一月一七日付起訴状記載の公訴事実中第三の1別紙(一)犯罪一覧表番号23および34の各無免許運転の点につき、被告人を免訴する。

〔理由〕(罪となるべき事実。以下甲第一ないし第三は昭和四六年七月一六日付起訴状記載の公訴事実であり、乙第一ないし第三は同四〇年一一月一七日付起訴状記載の公訴事実である。)

被告人は、

甲第一 自動車運転の業務に従事していたものであるが、昭和四五年一〇月五日午後零時五五分ころ、普通貨物自動車を運転し、東京都墨田区業平四丁目一六番三号先の交通整理の行なわれている交差点を、業平一丁目方面から錦糸町駅方面に向かい時速約二〇キロメートルで右折進行するにあたり、同交差点の右折方向出口に設けられた横断歩道を歩行する横断者の有無・動静に留意しその安全を確認して進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、その安全確認不十分のまま進行した過失により、自車を同横断歩道上を信号に従い右から左へ歩行中の清水篤美(当時四〇年)に衝突転倒させ、よつて同女に加療約一か月半(入院二〇間その後通院)を要した頭部外傷等の傷害を負わせ、

甲第二 公安委員会の運転免許を受けないで、前記日時・場所において、前記自動車を運転し、

甲第三 前同日午後二時三〇分ころ、同区横川五丁目四番五号所在の警視庁本所警察署において、同署交通係警視庁巡査(司法巡査)益計二より前記甲第一記載の交通事故による業務上過失傷害等被疑事件について取り調べを受けた際、公安委員会の運転免許を有する武藤武司の氏名を詐称して前記甲第二記載の犯罪事実に対する刑事責任を免れようと企て、前記益巡査に対し、氏名を「武藤武司」と名乗りかねて記憶していた右武藤の本籍年令などを告げたうえ、運転免許証は携帯していないと申述べ、同巡査が右事件に関し作成した被疑者供述調書末尾の供述人署名欄に、行使の目的をもつてほしいままに万年筆をもつて武藤武司と署名し、もつて他人の署名を偽造し、

乙第一 昭和三九年九月一二日ころ、日立市河原子町五三五番地飛田義美方前路上に停車中の軽自動四輪車内より同人所有の運転免許証一通(昭和四六年押第一一八三号符号一)を窃取し、

乙第二 公安委員会の運転免許を受けないで、昭和四〇年三月一九日午後零時すぎころ、東京都中央区西八丁堀地内道路において普通貨物自動車を運転し、

乙第三 公安委員会の運転免許を受けないで、

1、別紙(一)犯罪一覧表記載の日時場所において、同表記載のとおり前後三三回にわたり普通貨物自動車を運転し、

2、別紙(二)犯罪一覧表記載の日時場所において、同表記載のとおり前後二一回にわたり普通貨物自動車を運転し

3、別紙(三)犯罪一覧表記載の日時場所において、同表記載のとおり前後一四回にわたり普通貨物自動車を運転し

たものである。

(証拠の標目)<略>、(再犯となる前科)<略>、(法令の適用)<略>

(免訴の理由)

被告人に対する昭和四〇年一一月一七日付起訴状記載の公訴事実中第三の1別紙(一)犯罪一覧表番号23および34の各無免許運転の点について、司法巡査打越孝吉、同鉄砲塚俊雄作成の交通事件原票謄本(謄本作成者坂倉侃の作成日付昭和四〇年一一月一一日)、打越孝吉、鉄砲塚俊雄の各検察官に対する供述調書、司法巡査石山珠紀作成の交通事件原票謄本(謄本作成者および作成日付は右と同じ)、石山珠紀の検察官に対する供述調書、被告人の検察官に対する昭和四〇年一一月一一日付(第八回)供述調書によると、前示23について被告人は同四〇年八月二五日水戸簡易裁判所において道路交通法違反罪(免許証不携帯)で略式命令により罰金二〇〇〇円に処せられ、右裁判確定により同年九月一六日右罰金を完納したこと、前示34について被告人は同年九月二二日水戸簡易裁判所において道路交通法違反罪(免許証不携帯)で略式命令により罰金二〇〇〇円に処せられ、同年一〇月二日右罰金を仮納付し右裁判は確定していることの各事実が認められる。同一日時および場所における運転行為について、さきに免許証不携帯罪(道路交通法九五条一項、一二一条一項一〇号)による確定裁判がなされたときは、これを後日無免許運転罪にあたるとして重ねて処罰することの許されないことは明らかである。前示23および34の各事実については、すでに確定裁判を経た罪について重ねて公訴が提起された場合であるから刑事訴訟法三三七条一号により免訴の言渡をする。

よつて主文のとおり判決する。

(早瀬正剛)

別紙<略>

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