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東京地方裁判所 昭和46年(特わ)132号 判決 1971年12月16日

本籍

長崎県長崎市立山町五一番地

住居

東京都世田谷区下馬六-三二-一五 南山荘内

会社員

立川政弘

昭和二年一〇月一五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官副検事上田政夫出席のうえ審理をとげ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金一、一〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人は、東京都中央区日本橋室町一丁目二番地に本店を置き、商品取引員として商品の売買および売買取引の受託業務を営む富士商品株式会社を経営する傍ら、自己においても同会社および他の商品取引員に委託して穀物等の商品取引を行つていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、右商品取引による売買益および不動産賃貸による賃貸料の全部並びに配当収入の一部を除外して架空名義の定期預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四二年分の実際課税所得金額が四九、八六二、〇〇〇円あつたのにかかわらず、同四三年三月一五日東京都品川区南品川四丁目二番三二号所在所轄品川税務署において、同税務署長に対し、課税所得金額が一八、二九一、〇〇〇円でこれに対する所得税額が二、九一八、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額二三、六四八、五〇〇円と右申告税額との差額二〇、七三〇、一〇〇円を免れ(別紙一、三参照)

第二、昭和四三年分の実際課税所得金額が七三、八三六、〇〇〇円あつたのにかかわらず、同四四年三月一五日前記所轄品川税務署において、同税務署長に対し、課税所得金額が二六、九五一、〇〇〇円でこれに対する所得税額が六、二三九、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額三八、七九七、八〇〇円と右申告税額との差額三二、五五八、八〇〇円を免れ(別紙二、三参照)

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述および第一回公判調書中被告人の供述記載部分

一、被告人の検察官に対する各供述調書(二通)

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書七通(昭和四五年一二月二日付、同年三月一八日付、同年四月二四日付、同年一一月一一日付、同年一一月一四日付、同年一一月一六日付-二通-)

一、所得税確定申告書、同修正申告書綴(昭和四六年押第一一五〇号の一)

以上のほかに

別紙一、二の1につき

一、宮崎要、山村政春の検察官に対する各供述調書

一、宮崎要(昭和四五年三月一三日付)、丸崎昭夫(昭和四五年一一月一六日付)の各上申書

一、山内辰司の上申書(取引経過報告書)

一、亀井定夫ほか一名の各上申書(二通)

一、栗山晃一の上申書(委託者別先物取引勘定元帳などの写しの提出の件)

一、丸崎昭夫の昭和四五年一一月一〇日付上申書

一、柿原弘義、北神孝一の各上申書

一、被告人の上申書六通(昭和四五年一一月七日付-仮装名義に依る売買取引の損益額について-、同年八月二六日付、同年三月二七日付、同年五月二二日付、同年六月五日付、同年一二月一二日付-金銭出納帳について-)

一、メモ等一袋、委託者別先物取引勘定元帳六冊、顧客別ホルダー四袋、印鑑二〇個一袋(昭和四六年押第一一五〇号の二、三、四、五)

別紙一、二の2につき

一、小山定男の上申書(立川氏との取引の内容について)

一、山内 司の上申書(取引の経過報告書)

一、亀井定夫ほか一名の上申書(立川政弘氏との商品取引について)

一、栗山晃一の上申書(支払手数料の件)

一、被告人の上申書四通(昭和四五年一一月一一日付、同年一一月一二日付、同年一二月九日付、同年一二月一二日付-金銭出納帳について-)

別紙一の3および別紙二の6につき

一、大蔵事務官岩城忠頼作成の銀行調査書(昭和四五年六月一〇日付)

一、被告人の質問てん末書(昭和四五年三月六日付)および上申書(昭和四五年一二月九日付)

一、立替仮払金明細帳一綴、短期貸付金伝票綴一綴、元帳一綴(昭和四六年押第一一五〇号の六、七、一二)

別紙一の4および別紙二の7につき

一、川島匡、小島信吾の各証明書

一、大蔵事務官岩城忠頼作成の銀行調査書(昭和四五年六月一〇日付)

一、被告人の上申書二通(昭和四五年一二月九日付、同年一二月一二日付-金銭出納帳について-)

一、委託者別先物取引勘定元帳六冊(昭和四六年押第一一五〇号の三)

別紙一の7につき

一、被告人の上申書二通(昭和四五年一〇月二六日付、同年一二月一二日付-金銭出納帳について-)

一、メモ等一袋、株主名簿、株主一覧表、株主名簿(昭和四六年押第一一五〇号の二、八、九、一〇)

別紙一の8および別紙二の11につき

一、飯田保夫の証明書二通

一、被告人の上申書二通(昭和四五年一二月九日付、同年一二月一二日付-負債利子について-)

一、メモ等一袋(昭和四六年押第一一五〇号の二)

別紙二の3につき

一、被告人の上申書二通(昭和四五年一一月二七日付、同年一二月一二日付-金銭出納帳について-)

一、八木次男の証明書

一、借用書等一袋(昭和四六年押第一一五〇号の一六)

別紙二の4につき

一、亀井定夫ほか一名の証明書(委託者別先物取引勘定元帳について)

一、被告人の上申書(昭和四五年一二月一一日付-池田由美子口座違約金について-)

別紙二の5につき

一、池田之保の上申書

一、被告人の上申書二通(昭和四五年一二月一一日付-情報取材費について-、同年一二月一二日付-金銭出納帳について-)

別紙二の14 15 16につき

一、被告人の上申書(昭和四五年一一月七日付-不動産所得について-)

一、家屋賃貸借契約書一通(昭和四六年押第一一五〇号の一五)

(法令の適用)

判示第一、第二の各所為はそれぞれ所得税法第二三八条第一項に該当する。

情状により右各罪につきいずれも同法同条第二項を適用したうえ懲役刑と罰金刑を併科する。

以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条、第四八条、第一〇条(判示第二が重い。)による各刑期、金額の範囲内において、被告人を懲役六月および罰金一、一〇〇万円に処する。

なお罰金を完納することができないときは、同法第一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

情状に鑑み刑法第二五条第一項を適用して、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山忠雄)

別紙一 修正損益計算書

立川政弘 自昭和42年1月1日

至昭和42年12月31日

<省略>

<省略>

別紙二 修正損益計算書

立川政弘 自昭和43年1月1日

至昭和43年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙三 税額計算書

立川政弘

<省略>

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