大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(行ウ)30号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告が昭和四二年中にその所有の土地を譲渡して昭和四三年中に本件建物を取得し、かつ、右土地の譲渡にかかる譲渡所得の課税につき法三八条の六に規定する特例の適用を申請し、その適用を受けたことは、原告において明らかにこれを争わない。そうして、法三八条の八第一項によれば、右の特例の適用を認められた者の買換資産にかかる不動産所得の計算については、収入金額から必要経費として控除されるべき減価償却費の額は、同項各号にそれぞれ定める金額を当該買換資産の取得価額とみなして計算するものとされていることが明らかである。

この点につき原告は、法三八条の八第一項の定める減価償却費の算定方法は、買換資産をさらに譲渡する際において、それが償却資産である場合に譲渡所得の計算上取得費から控除されるべき償却費の計算についてのみ適用されるべきものであると主張する。しかしながら、法三八条の八第一項は、事業用資産の買換えにあたり法三八条の六第一項により譲渡(全部または一部)がなかつたものとされた場合における買換資産についての所得税法四九条一項の規定による減価償却費の額の計算(法三八条の八第一項前段)および右買換資産を再譲渡した場合における譲渡所得の計算(同項後段)のそれぞれについて、譲渡資産の取得の時期をもつて買換資産の取得の時期とし、譲渡資産の取得価額のうち譲渡がなかつたとされた部分に対応する額をもつて買換資産の取得価額とすることを定めているのであり、買換えの際に譲渡がなかつたものとして譲渡所得の課税を行なわれないこととしたのに対応し、買換資産を譲渡資産に代えてその取得の時から有していたものとして課税関係全般の調整をはかろうとするのが、その法意と解される。原告主張のように、減価償却費の計算に関する同項前段をも譲渡所得の計算にあたつてのみ適用されるべきものと解することは、同項前段が、不動産所得を含めた各種所得に通ずる減価償却費の計算方法に関する所得税法四九条一項の特例たることを明示していることを無視するものであり、所得税法四九条一項所定の各種所得の計算にあたり必要経費に算入されるべき減価償却費の累積額をもつて譲渡所得の計算上取得費から控除されるべきものとされていること(同法三八条二項)からもうかがわれる税法の建前にも双するものというべく、結果的にも、譲渡所得についての課税の操延べを認める以上の過大な利益を納税者に与え、また、買換資産が償却資産であるか否かにより課税上の著しい不均衡を生ずることにもなるので、到底採りえないところである。結局、原告の主張は法を誤解した独自の見解を述べるものにすぎず、これに左袒することはできない(減価償却に関する特例の適用を受けえないことは、納税者が申告によつて法三八条の六の適用を受けることを選択したことの結果であつて、これをもつて、上述のような解釈が法の趣旨に反する課税の不公平を招くものとして排斥されるべきものとする理由とすることはできない。また、原告の主張するような、買換資産たる土地を担保に融資を受けて建物を取得する設例のごときは、建物を買換資産として取得した場合ではないから、対比して論ずべきかぎりでない)。

(横山長 南新吾 竹田穣)

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