東京地方裁判所 昭和47年(借チ)1031号 決定
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〔主文〕1 申立人が別紙目録(二)記載の建物を木造瓦葺二階建居宅床面積一階62.96平方米二階36.85平方米(平面図別紙のとおり)に改築することを許可する。
2 申立人は、相手方飯田きよに金二一万円、その余の相手方に各金一〇万五、〇〇〇円の支払をせよ。
3 別紙目録(一)記載の土地に関する申立人・相手方ら間の賃貸借契約の賃料をこの裁判確定の日の属する月の翌月分から一ケ月六七二〇円(3.3平方方米当り一二〇円)に改める。
〔決定理由〕……本件改築は土地の通常の利用上相当であり、申立人は、増改築制限に関する特約の存否は不明であると主張するので、本件申立は、これを認容すべきである。
2 附随処分
(一) 財産上の給付
……増改築許可の裁判の附随処分としての財産上の給付は増改築承諾の対価と見るのが相当であり、右対価は、増改築を適法になしうる権利の経済価値ということであるが、増改築をなしうる権利なるものは独立して存在するものでなく、借地権という一箇独立の権利に包摂されるものであるので、財産上の給付は、結局、増改築前の借地権価格と増改築後の借地権価格との差額ということになる。右が財産上の給付の理論的構成であるが、増改築の前後における各借地権価格を求めること、つまり増改築に起因する借地権価格の変化を評価することは、鑑定評価の現状では困難のように見受けられるので<略>裁判の公平の観点から、当裁判所は、止むなく、全面改築の場合の財産上の給付を更地価格の三%程度とする一応の基準を設けている。右の基準により、本件の財産上の給付を鑑定委員会の評価する本件土地の更地価格(3.3平方米当り三七万円)の三%に当る六三万円と定め、これを、本件の資料により認められる相手方らの相続分(相手方飯田きよは六分の二、その余の相手方はいずれも六分の一)により分けるのを相当とする。
(二) 賃料の改定
鑑定委員会は、本件土地の近隣地域においては、賃料のうち純賃料の部分が底地価格の一%程度であるのが一般であるとし、本件土地の建付地価格を3.3平方米当り三六万五、〇〇〇円、底地価格をその三〇%とし、右底地価格の一%に税金等の経費を加算すると3.3平方米当り一四九円となるので、賃料を3.3平方米当り一ケ月一五〇円に改造するのが相当であるとする。右は、積算法の形をとるが、実は、比準賃料から改定賃料を求める方法である。比準賃料を参考に改定賃料を求めるのなら、経費込みの実際支払賃料の事例を摘示すればよいわけで、実際支払賃料中純賃料の占める部分の底地価格に対する比率を求めるのは迂遠である。賃料の実勢を見る場合、底地価格と賃料との比率を調査する方法が行なわれているが、この場合の賃料は経費を含む実際支払賃料としているのが通例であり、東京都内における右の比率は、0.5%から2%であるとされ、そのうち1%から1.5%の間のものが大部分とされている。鑑定委員会の意見によると、本件土地の借地権価格対底地価格は七対三ということであり、更地価格に0.3を乗じて本件土地の底地価格を求め、右底地価格に前記比率の中程である1.3%を乗ずると3.3平方米当り一ケ月一二〇円二五銭となるので、賃料を3.3平方米当り一ケ月一二〇円に改めるのを相当とする。 (小山俊彦)
目録・図面<略>