東京地方裁判所 昭和47年(借チ)17号 決定
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〔主文〕1 別紙目録(一)記載の土地に関する申立人・相手方間の賃貸借契約の借地条件を次のとおり変更する。
(一) 土地の使用目的を堅固建物所有とする。
(二) 存続期間の終期を本裁判確定の日から三〇年後とする。
(三) 地代を本裁判確定の日の属する月の翌月分から一ケ月三万九、四六六円とする。
2 申立人は、相手方に対し、金一八二〇万円の支払をせよ。
〔決定理由〕1 申立の当否
……本件土地の附近の利用状況は、借地契約締結当時は、殆んどの建物が木造であつたが、商業地域、防火地域、第七種容積地区の指定を受け、現在は、建物も中高層化の傾向にあることが認められる。
……前認定の事実によれば、本件土地につき現に借地権を設定する場合、土地の使用目的を堅固建物所有とするのが相当であるので、本件申立は、これを認容すべきである。
2 附随処分
非訟には各種のものがあり、これを一元的に定義することは困難であるとされているが、借地非訟の場合は、国が借地人にある目的を達成させるために借地契約に介入し、右の目的達成に副うように借地契約を修正、変更することであるとするのがよいと思われる、これを借地法第八条ノ二に規定する土地の使用目的の変更についていえば、右の目的は、土地の最有効使用ということである。この借地非訟の観点からすると、附随処分は、土地の最有効使用が可能となることを中心として考えるのが相当である。土地の最有効使用が可能になるということは、借地人が最有効使用に相応しい建物を建築することが可能となることで、これを借地人の経済的利益に着目すれば、借地上の建物利用により得られる収益の増加を意味し、収益の増加は、一方において、借地権価格の上昇に作用し、借地権という財産権の経済価値が増大することになるので、借地人の利益となり、他方において、地代増額の要因となり、賃貸人の利益となる。借地権価格の増加は、土地の使用目的変更の対価と目すべきであるので、右増加分を財産上の給付とし、現在の地代が土地の最有効使用に相応しい地代に比較して、低額である場合には、これを最有効使用に相応しい地代に改定するのが相当である。
(一) 財産上の給付
鑑定委員会は、本件土地の借地権価格は、堅固建物所有目的の場合には、非堅固建物所有目的の場合より更地価格の一〇%高額であると評価し、更地価格を次のように評価する。本件土地の南方約二五〇米、国電秋葉原駅から同一路線に面する千代田区外神田三丁目一四番九号所在の標準地の昭和四七年一月一日現在の公示価格は一平方米六五万円であり、本件土地は、地下鉄末広町駅前零分であるという個別的要因と地形上の優位性を考慮し、右標準地の価格の二%増しが相当であるとし、これに昭和四七年一月一日以降の地価上昇率八%を加え、一平方米七一万五、七〇〇円(3.3平方米二三六万二、〇〇〇円)と評価する。相手方は、本件土地近隣の現実の売買における更地価格は、現在、3.3平方米三〇〇万円を下らないので、鑑定委員会の評価した本件土地の更地価格は、不当に低額であり、仮りにそうでないとしても、鑑定委員会の更地価格の評価方法は、昭和四七年一月一日現在の価格に昭和四七年度上半期の価格指数上昇率八%を乗じたものを基礎としているが、都市市街地価格指数推移比較によれば、昭和四七年度における価格指数の上昇率は、商業地の場合、半期(六ケ月)に八%とされているのであるから、本件土地の昭和四八年一月現在の更地価格は、昭和四七年一月現在の更地価格に一六%を乗じた額を基礎として算出すべきものであると主張する。本件土地近隣の現実の売買における更地価格が、現在、相手方のいうように3.3平方米三〇〇万円を下らないことを認める資料はない。前記標準地の昭和四八年一月一日現在の公示価格は一平方米八〇万円であるので、本件土地の昭和四八年一月一日現在の更地価格は、右標準地の二%増しという鑑定委員会の意見によると、一億九、八一八万一、九二〇円と評価するのが相当であり、財産上の給付をその約一割に当る一九八二万円と定める。
(二) 地代の改定
東京都内の年間の実際支払地代は、底地価格との関係で見た場合、底地価格の0.5%から2%の間に介在し、1%から1.5%の間のものが比較的多数であるとするのが従来の鑑定委員会の意見の大勢であるので、底地価格を本件鑑定委員会の意見により更地価格の二〇%とし、地代をその1.3%(1%と1.5%とのほぼ中間)とするのが相当であり、右により計算すると、一平方米当り一ケ月一七三円三三銭になるので、本件土地全部の地代を一ケ月四万二、一〇〇円と改める。
(三) 存続期間
存続期間は、相手方の利益を考慮し、本裁判確定の日から三〇年延長する。
(小山俊彦)
目録<略>