東京地方裁判所 昭和47年(借チ)2013号・昭47年(借チ)2005号 決定
〔主文〕1 申立人に対し、別紙目録(二)記載の建物及び同目録(一)記載の土地に関する賃借権を相手方に譲渡することを命ずる。右譲渡の対価を金一八七七万円とする。
2 申立人は、相手方に対し、前項の対価の支払を受けるのと引き換えに、別紙目録(二)記載の建物につき所有権移転登記手続をし、かつ、同建物の明渡をせよ。
3 相手方は、申立人に対し、第二項の登記手続及び建物の明渡と引き換えに、第一項の対価の支払をせよ。
〔理由〕(甲事件の申立の要旨)
1 申立人は、相手方から昭和三一年一月一〇日その所有にかかる別紙目録(二)記載の建物(以下本件建物という)を買い受けるとともに、その敷地である同目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有目的、期間二〇年の約で賃借し、賃料は昭和四六年七月一日から一ケ月一万六二〇〇円(3.3平方米当り一九三円弱)に改められ、現在にいたつている。
2 申立人は、本件建物及び本件土地賃借権を鈴木敏子、川又まき子の両名に譲渡したいが、借地権の譲渡につき相手方の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(決定理由)
1 本件の資料によると、甲事件の申立の要旨として掲げた前記1の事実が認められるので、甲事件の申立は、適法である。
2 よつて、乙事件につき、申立人に対し、本件建物及び本件土地賃借権を相手方に譲渡することを命ずる。相手方は、本件土地の北側に隣接する相手方所有地を他に賃貸しており、この借地人と相手方との間に本件土地上に二階建以上の建物を建築しない特約があり、右隣接地の借地人は本件土地を承役地とする地役権を有すると主張する。借地人が地役権を取得しうるかどうかは問題のあるところであり、相手方は右特約の存在を立証しないが、仮りに相手方主張の如き地役権があるとすれば、申立人の借地権は効用を制限されることになるので、その借地権価格は、本来なら通常の借地権価格より低くて然るべきであるが、鑑定委員会の意見によると、本件土地の標準的賃料は3.3平方米当り月額一四五円を相当とするとのことであるので、当事者間の契約賃料3.3平方米当り月額一九三円弱は、地役権の存在を無視し、申立人との関係において自己の利益のみを一方的に追及しているものといつてよく、従つて、相手方が本件借地権の譲渡を受ける場合の対価を通常の価格以下とする理由はない。鑑定委員会は本件建物を六三万円と評価し、右地役権を考慮することなく、本件借地権価格を3.3平方米当り二四万円と評価し、相手方が本件建物及び本件借地権を譲り受ける対価を右評価による合算額から名義書替料相当額(借地権価格の一割)を控除した一八七七万円を相当とするとのことであるので、右の金額を譲渡対価と定める。
譲渡対価の支払と建物所有権移転登記手続及び建物明渡とを同時履行とするのが相当である。 (小山俊彦)
目録
(一) 東京都目黒区洗足一丁目一三二五番
宅地 2145.45平方米のうち277.65平方米(83.99坪)
(二) 東京都目黒区洗足一丁目一三二五番地
家屋番号一三二五番
木造瓦葺平家建居宅
床面積 83.04平方米