東京地方裁判所 昭和47年(借チ)2019号 決定
〔主文〕申立人が相手方らに対し金六〇万円を支払うことを条件として別紙目録記載の賃借権を東京都台東区東上野四丁目一九番三号稲見徳男に譲渡することを許可する。
本裁判確定の月の翌月から本件賃貸借契約の賃料を一ケ月金六、〇一〇円に改定する。
〔理由〕二 附随処分
鑑定委員会は、本件土地の更地価格を三、三平方米当り五五万円、合計一〇、八七三、五〇〇円、建付減価五%、借家権を考慮しない借地権価格をその六〇%に当る六、一九八、〇〇〇円、本件建物が借家であることを考慮すると本件借地権価格は右金額からさらに二〇%控除した四、九五八、三〇〇円と評価し、本件土地付近における名義書替料の慣行、借地契約の経緯、残存期間等を総合して、財産上の給付額を右借地権価格の一〇%をもつて相当とするとしている。
しかしながら、申立人が本件賃借権を譲渡するに当り相手方らに給付すべき額の算定について本件建物が借家であることを考慮した借地権価格を基準とするのは疑問である。けだし、建物が借家であることによる借地権価格の低下は土地賃貸人にとつて無関係の事柄であり、建物所有者は右価格低下による損失を家賃の一部として回収しているものと考えられるからである。
したがつて、給付額は鑑定委員会の評価による借家権を考慮しない借地権価格の約一〇%に当る金六〇万円をもつて相当とし、右委員会の意見に従い賃料を本裁判確定の月の翌月から三、三平方米当り一ケ月三〇四円に改定することとして主文のとおり決定する。 (河村直樹)