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東京地方裁判所 昭和47年(借チ)34号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔主文〕別紙目録記載の土地賃貸借契約の目的を堅固な建物所有に、期間を本裁判確定の日から三〇年に、賃料を本裁判確定の月の翌月分から月額一四、七五〇円にそれぞれ変更する。

申立人は相手方に対し金一、二七三、七二〇円を支払え。

〔決定理由〕(当裁判所の判断)

一 本件の資料によれば次の事実を認めることができる。

1 本件土地について、従前申立外栗原建設株式会社が借地権を有していたところ、申立人は昭和二八年二月一九日右申立外会社から右借地権を代金九八万円で譲受け借地人の地位を承継した。

2 相手方は、昭和三六年六月頃右借地権が昭和三六年五月二八日期間満了により消滅したとして申立人に対し、本件土地の明渡を求める調停の申立をなしたが、昭和三七年四月二六日の調停期日において、本件借地契約の期間は昭和四八年二月一九日までであることを当事者相互が確認する旨の調停が成立した。

3 相手方は昭和四七年一一月二一日申立人に対し、本件借地契約が昭和四八年二月一九日の経過により終了したとして東京地方裁判所に本件建物収去、本件土地明渡の訴を提起した。

二 相手方の借地契約終了の主張について判断する。相手方はまず本件借地契約には申立人において期間満了時に本件建物を収去して本件土地を明渡す旨の特約があると主張するので案ずるに、本件全資料によるも右特約の存在を認めるに足らないのみならず、前認定のような契約締結の事情のもとにおいて、右主張のような特約がなされたとしても借地法第一一条に照らし無効のものというべきである。

そこで、更新拒絶に必要な正当事由の存否について検討する。本件の資料によると、相手方は肩書住所地で父母と同居し、東京高等裁判所に勤務しているものであるが、近い将来父母から独立し、唯一の自己名義の財産である本件土地および他に賃貸中の隣接地上に居宅を建築することを希望していること、一方、申立人は昭和二八年以来本件建物で寿司屋業を営め、現在に至るまで長男夫婦とともに従業員八名を雇傭して右営業を継続しており、本件申立が認容されれば、店舗を改善し、二階、三階を申立人夫婦、長男夫婦らの住居に使用することを計画していることがそれぞれ認められる。しかして、右両当事者の本件土地の必要性を対比すると、申立人にとつて本件土地はまさに生活の基盤であり、営業の性質上代替地を求めることは困難である反面、相手方は公務員であり、本件土地を居宅建築に利用する計画であるので、代替地ないし他の居宅を求めるのは比較的容易であると考えられ、その必要性の大小は右事実から明らかであつて、相手方の右のような必要性のみでは更新拒絶のための正当事由を具備しているとはいえず、他に正当事由の存在を認めるに足る資料はない。

以上のとおりであつて、本件借地契約は、期間満了後申立人において本件土地の使用を継続していることにより法定更新されたものと認められる。

三 本件の資料によれば、本件土地は商業地域、準防火地域、第五種容積地区の指定を受け、本件土地附近は堅固建物の建築が盛んに行われている現状にあることが認められるので、本件申立は認容すべきである。

四 附随処分

建物の構造に関する借地条件変更により、賃借人は借地を従前より有効に利用を図ることができ、その継続的、安定的な利用を保障されるという利益を得る反面、相手方は、存続期間の満了又は地上建物の朽廃による借地権消滅の期待を半永久的に失うという不利益を受けることとなる。そして、当事者間のこれらの利益、不利益を調整するため、申立人に対し財産上の給付を命ずべきである。

鑑定委員会は、借地条件変更後の土地利用効率の増加および期間の延長を考慮し、本件財産上の給付額は本件土地の更地価格合計一〇、六一四、三二〇円(一平方米当り二二九、三五〇円)の一二%に当る一、二七三、七二〇円をもつて相当とする旨の意見書を提出した。

右鑑定委員会の意見は従前の裁判例に照らしても相当な額と認められるので、財産上の給付額は右意見による一、二七三、七二〇円と定める。

借地目的の変更にともない借地期間を本裁判確定の日から三〇年に、賃料を鑑定委員会の意見に従い本裁判確定の月の翌月分から月額一四、七五〇円にそれぞれ改める。

(河村直樹)

目録<略>

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