東京地方裁判所 昭和47年(特わ)1354号 判決 1973年4月21日
被告人
1.
本店所在地 東京都中央区明石町七番一四号
法人名
合資会社塩瀬総本家
代表者
無限責任社員 渡辺よし
2.
本籍 東京都中央区明石町一七番地二
住居
東京都中央区明石町七番一四号
職業
会社役員
氏名
渡辺よし
年令
六五年(明治四〇年四月二九日生)
被告事件
各法人税法違反被告事件
出席検察官
西岡幸彦
出席弁護人
被告人両名につき原野一美
主文
1. 被告人合資会社塩瀬総本家を罰金一、〇〇〇万円に、
被告人渡辺よしを懲役七月に
それぞれ処する。
2. 被告人渡辺よしに対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人合資会社塩瀬総本家は、東京都中央区明石町七番一四号に本店を置き、和菓子の製造販売等を目的とする資本金五〇〇万円の合資会社、被告人渡辺よしは被告人会社の無限責任社員として同会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人渡辺よしは被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和四三年八月一日から同四四年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第一記載のとおり三、八〇八万一、六八三円あつたのにかかわらず、同年九月三〇日東京都中央区新富町三丁目三番地(昭和四六年一月一日住居表示の変更により同区新富二丁目六番一号)所在所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三九八万一、五八九円でこれに対する法人税額が一一四万九、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一、三〇七万四、五〇〇円と右申告税額との差額一、一九二万四、九〇〇円については法定の納付期限までにこれを納付せず、もつて右不正の行為により右差額分の法人税を免れ
第二 昭和四四年八月一日から同四五年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第二記載のとおり五、〇二三万三、〇七二円あつたのにかかわらず、同年九月三〇日前記京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、一二五万一、七三四円でこれに対する法人税額が三八二万四、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一、八一四万五、七〇〇円と右申告税額との差額一、四三二万九〇〇円については法定の納付期限までにこれを納付せず、もつて右不正行為により右差額分の法人税を免れ
第三 昭和四五年八月一日から同四六年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第三記載のとおり七、一二六万九、五八七円あつたのにかかわらず、同年九月二九日前記京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、四九八万三、二七五円でこれに対する法人税額が八八一万六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二、五八二万二、九〇〇円と右申告税額との差額一、七〇〇万六、四〇〇円については法定の納付期限までにこれを納付せず、もつて右不正の行為により右差額分の法人税を免れ
たもの(各年度の税額の算定は別紙第四記載のとおり)である。
(証拠の標目)
判示全般の事実につき
一、被告人渡辺の当公判廷における供述ならびに同被告人の検察官に対する供述調書
一、同被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書三通
一、登記官吏認証にかかる登記簿謄本
一、深沢一男、滝口忠正の検察官に対する各供述調書
一、法人税確定申告書三綴(昭和四七年押第二二三五号の一~三)
以上判示各年度の実際所得額につき
一、次の者に対する大蔵事務官の各質問てん末書
深沢一男(五通)、塚本絹子、滝口忠正(七通)、前田幸蔵(二通)、山口平一、藤田六郎(三通)、田畑岩道(二通)、石井大吉、渡辺作吉、大塚悦男
一、次の者の作成名義の各上申書
二味久、横溝一雄、中村光延、駿豪、高津久、柿原雪子、太田美代、高草正、海老沢幸治郎、岡田栄一、儀賀廉治、小俣茂、西尾一政、鴨下芳雄、高山清二、久保田忠夫、山下美智子、請川ヒサノ、田村顕雄、島村義一、小森康子、長崎はな、阿部徳男、大橋四郎、余聰明、栗原健二、遠藤富士夫、犬丸竜門、金丸光、阿部幸五郎、滝口忠正(四通)、藤田六郎(二通)、前田静江、三井信託銀行(株)証券代行部(二通)、住友信託銀行(株)証券代行部事務課、落合清隆、森辺敬三、平瀬正三、沼田正弘、棚橋孝明、渡辺よし(三通)
一、次の者の作成名義の各証明書
園部富士夫、川島一郎(二通)、脇正、井上育三、阿部幸雄、西川宗一郎、東京都中央都税事務所長、山本清隆、棚橋孝明(三通)、近藤英明
一、大蔵事務官作成の調査書一六通
一、大蔵事務官作成の検査てん末書七通
一、大蔵事務官作成の法人税計算書
一、押収してある次の各証拠物(押収番号は昭和四七年押第二二三五号でかつこ内はその符号を示す)
法人税確定申告書三綴(一~三、前掲)、法人税決議書一綴(四)、書かん原稿等一袋(八)、預り証一袋(九)、確定申告書控等一袋(一〇)、総勘定元帳一綴(一一)、総勘定元帳・現金出納帳・銀行勘定帳一綴(一二)、出納帳及び銀行帳一綴(一三)、当座預金等一袋(一四)、給与台帳二冊(一六、一七)、小切手控帳二綴(一八)、領収証等一綴(一九)、振替伝票綴一袋(二〇)、得意先別売上高合計表一袋(二一)、現金仕訳集計表一袋(二二)、当座預金仕訳集計表一袋(二三)、精算表一袋(二四)、得意先別売上高合計表一袋(二五)、現金仕訳集計表一袋(二六)、当座預金仕訳集計表一袋(二七)、普通預金仕訳集計表一袋(二八)、受取手形勘定合計表一袋(二九)、精算表一袋(三〇)、総勘定元帳三綴(三一)、売上帳二綴(三二、三三)、運賃料金請求書等一袋(三四)、仕入帳四綴(三五~三八)、立替金元帳三冊(三九)、売上立替金元帳一綴(四〇)、立替金元帳中塩瀬取引抽出分一袋(四一)
(法令の適用)
一、該当法条と刑種の選択
判示被告人会社の所為につき 法人税法一五九条、一六四条一項
判示被告人渡辺の所為につき同法一五九条(懲役刑選択)
一、併合加重
被告人会社につき刑法四五条前段、四八条二項
被告人渡辺につき同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重)
一、執行猶予
被告人渡辺につき刑法二五条
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 池田真一)
別紙第一 修正損益計算書
合資会社 塩瀬総本家
自昭和43年8月1日 至昭和44年7月31日
<省略>
別紙第二 修正損益計算書
合資会社 塩瀬総本家
自昭和44年8月1日 至昭和45年7月31日
<省略>
<省略>
別紙第三 修正損益計算書
合資会社 塩瀬総本家
自昭和45年8月1日 至昭和46年7月31日
<省略>
<省略>
別紙第四 法人税額計算書
合資会社 塩瀬総本家
<省略>
<省略>