東京地方裁判所 昭和47年(特わ)79号 判決 1972年10月13日
被告人
1
本店所在地 東京都新宿区西落合三丁目八番二〇号
朝日物産株式会社
(代表者代表取締役 永野豊)
2
本籍 千葉県勝浦市松野四六七番地
住居
埼玉県所沢市久米二、一六四番地二
職業
会社役員
永野豊二こと
永野豊
明治四〇年一一月三日生
被告事件
法人税法違反
出席者検察官
宮本喜光
主文
1 被告人会社朝日物産株式会社を罰金三〇〇万円に
被告人永野豊を懲役四月にそれぞれ処する。
2 被告人永野に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人会社朝日物産株式会社は、東京都新宿区西落合三丁目八番二〇号(昭和四四年九月二八日以前は、東京都豊島区南池袋二丁目九番一二号)に本店を置き、合成樹脂原料の製造、販売等を目的とする資本金三、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人永野豊は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人永野は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、仕入を過大に計上して簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ
第一、昭和四三年五月一日から同四四年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三二、一九五、〇四八円あつたのにかかわらず、同四四年六月三〇日東京都豊島区西池袋三丁目三三番地二二号所在所轄豊島税務署において、同同税務署長に対し、所得金額が一六、九七八、三四四円でこれに対する法人税額が五、六九八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額一一、〇二四、五〇〇円と右申告税額との差額五、三二五、九〇〇円を免れ(別紙一、三)
第二、昭和四四年五月一日から同四五年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三四、四五三、一八一円あつたのにかかわらず、同四五年六月三〇日東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四、二五六、八四二円でこれに対する法人税額が四、六三五、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額一一、七〇四、三〇〇円と右申告税額との差額七、〇六八、九〇〇円を免れ(別紙二、三)
たものである。
(証拠の標目) (かつこ内は立証事項。数字は一、二の番号)
一、登記官作成の登記簿謄本(全般)
一、金丸正人、大沢省三に対する大蔵事務官の各質問てん末書(全般)
一、東海銀行池袋支店長前沢八洲雄作成の元帳写証明書(一の2 24、二の2)
一、淀橋税務署長作成の証明書(二の33)
一、大蔵事務官作成の次の書面
1 預金調査書(普通預金)(一の3 24、二の3)
2 右同(定期)(一の4 24、二の4)
3 車輛調査書(一の13 24、二の14)
4 未払金調査書(一の22 23、二の25 26)
5 未払金(社長)調査書(一の22 23 24 36、二の25 27)
6 寄付金調査書(一の24 36、二の27)
一、押収してある次の証拠物(昭和四七年押七九八号)
1 法人税決議書綴一綴(符号1)(全般)
2 総勘定元帳三綴(同2 3 4)(全般)
3 売上帳一冊(同5)(一の7)
4 金銭出納帳一冊(同13)(一の1 36、二の1 41)
一、被告人作成の次の上申書
1 永野豊昭が東海銀行池袋支店からの借入金返済および利息の支払について(二の27)
2 架空借入金について(一の22、二の25)
3 永野豊の個人収支計算書の上申について(一の24、二の27)
4 設立貸借対照表に記載されている借入金勘定について(一の22 23、二の25 26)
5 寄付金等の上申について(一の24、二の27)
6 簿外現金の在高について(一の1 24、二の1)
7 簿外現金を貸付した明細について(一の9、二の10)
8 買掛金について(一の21、二の24)
9 修正申告の提出について(一の37)
一、被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書および被告人の検察官に対する供述調書(全般)
一、被告人の当公判廷における供述(全般)
(法令の適用)
法人税法一五九条、一六四条一項(被告人永野につき各懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(被告人永野、第二の罪の刑に加重)、四八条二項(被告人会社)。同法二五条一項(主文2)。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 松本昭徳)
別紙一 修正貸借対照表
朝日物産株式会社 昭和44年4月30日
<省略>
<省略>
別紙二 修正貸借対照表
朝日物産株式会社 昭和45年4月30日
<省略>
別紙三 税額計算書
朝日物産株式会社
一、昭和四四年 四月期
<省略>
二、昭和四五年 四月期
<省略>