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東京地方裁判所 昭和48年(ワ)5743号 判決 1976年10月14日

原告 広田不動産株式会社

右代表者代表取締役 広田力一

右訴訟代理人弁護士 池田治

同 金子治男

同 松永満好

右池田治訴訟復代理人弁護士 小野塚政一

同 池田しげ子

被告 佐藤次郎

右訴訟代理人弁護士 崎信太郎

主文

一  被告は原告に対し金三〇〇万円およびこれに対する昭和四八年九月一〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

主文同旨の判決並びに仮執行の宣言。

二  被告

(一)  原告の請求を棄却する。

(二)  訴訟費用は原告の負担とする。

との判決並びに仮執行免脱の宣言。

第二当事者の主張

一  請求原因

(一)  原告は昭和四七年八月二三日、被告小谷野喜一郎および坂田新三らの仲介により訴外城興物産株式会社に対し、別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を代金三五〇〇万円で売渡した。

(二)  原告は、右同日被告に対し、本件売買契約が有効に成立し、後に何ら問題を残さないことを条件として、右売買契約の仲介による報酬を支払う旨約し、同月二九日金七〇〇万円の仲介報酬金を支払った。

(三)  ところが、訴外会社は昭和四八年一月中旬頃原告に対し、本件土地がその公図および被告ら仲介人の説明したところと食い違いがある旨主張し、本件売買契約を詐欺を理由に取消す旨の意思表示をなし、前記代金の返還および損害賠償金の支払を求めた。そこで、原告は同年四月二〇日訴外会社との間で本件売買契約を合意解除し、同会社に前記代金三五〇〇万円および損害賠償金五〇〇万円を支払った。

ところで、原告が右合意解除をするに至ったのは、次のような事情によるのである。すなわち、本件土地の大部分は傾斜地であって、原告はその旨をあらかじめ被告および小谷野に説明していたにもかかわらず、小谷野および坂田らは昭和四七年八月二三日訴外会社の代表取締役安田栄司を現地に案内した際、他の土地も示して本件土地の大部分が平坦地である旨の虚偽の説明をし、同会社をその旨誤信させ、さらに被告は、その後不安を覚えた小谷野から訴外会社において錯誤に陥っているようだから取引を中止した方が良い旨を告げられたのに、かえって小谷野を制止して契約の成立を計った。その結果原告がこのような事情を知らないまま本件売買契約が締結されるに至った。

訴外会社は被告ら仲介人を詐欺罪の容疑で告訴し、そのため原告会社代表取締役広田力一は参考人として取調べを受けた。さらに訴外会社は昭和四八年二月一一日、右広田に対する損害賠償債権を保全するため同人所有の土地および事務所に仮差押の執行をした。原告は右告訴および仮差押により重圧を受けたほか、訴外会社において誤信の結果本件売買契約を締結した事情も判明したため、同会社の求めにより合意解除に応じたのである。右契約は本来詐欺により取消されるべきもの、あるいは錯誤により無効となるべきものであるから、右合意解除が被告主張のように原告の恣意でしたものということはできない。

(四)  したがって、本件売買契約は、その目的を達せずに解消されたから、被告は原告から受取った仲介報酬金を法律上の原因なく不当に利得していることになる。よって、被告は原告に右金員を返還すべきである。

(五)  仮にそうでないとしても、原告は本件売買契約に先立ち、被告小谷野および坂田に対し本件土地売買の仲介を委託した。したがって、被告らは仲介者として善良な管理者の注意をもって、本件土地の売買契約が瑕疵なく成立するよう仲介する義務があるところ、原告会社代表者広田力一から本件土地の公図および現地に照らして作成した図面を示され、本件土地の大部分が傾斜地であることを説明されたのに、小谷野および坂田において訴外会社代表取締役安田栄司を現地に案内した際、その大部分が平坦地である旨虚偽の説明をして、同会社をその旨誤信させたうえ、被告において小谷野から訴外会社が錯誤に陥っているようだから取引を中止した方が良い旨告げられながら、同会社および原告に何ら確めることなく、本件売買契約を締結させて、右善管注意義務に違反した。

(六)  原告は、本件売買契約の合意解除により訴外会社に対し損害賠償金五〇〇万円を支払い、また右契約が有効に成立したものと信じて被告および坂田らに対し仲介報酬合計金一二〇〇万円を支払ったが、右契約の解消によりこれと同額の損害を被った。

(七)  したがって、被告は自己およびその履行補助者である坂田の前記善管注意義務に違反した債務不履行により原告が被った前記損害を賠償する義務がある。

(八)  よって、原告は被告に対し、主位的に不当利得返還請求権に基づき金七〇〇万円のうち金三〇〇万円、予備的に債務不履行による損害賠償請求権に基づき金一七〇〇万円のうち金三〇〇万円、およびこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和四八年九月一〇日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する答弁

(一)  請求原因(一)のうち原告が昭和四七年八月二三日小谷野および坂田の仲介により訴外会社に対し本件土地を代金三五〇〇万円で売渡したことは認めるが、その余の事実は否認する。被告は訴外会社とは一面識もない位で本件売買契約の仲介をしたことはない。

(二)  同(二)のうち被告が原告から金七〇〇万円を受取ったことは認めるが、その余の事実は否認する。被告は原告から、本件土地の売買に関与した小谷野、鈴木孝、被告らその他の者に対する仲介報酬および立替費用の返還のために同人らを代表して、右金員を受取り、その旨の領収証を作成し、原告に交付したものであり、被告はこれを小谷野および鈴木に各金二〇〇万円、山本晃、浜田一郎および今野某に各金二〇万円、重光斉次および岩崎某に各金五〇万円をそれぞれ支払い、残金一四〇万円を受領したが、これを本件土地の買主獲得のために奔走して立替払いした経費(交通費三〇万円、人件費六〇万円、接待費五五万円等合計一五〇万円)に充てたので、かえって損失を受けている。

(三)  同(三)のうち被告が訴外会社において原告主張の錯誤に陥っていることを知りながら本件売買契約を締結させたことは否認し、その余の事実は不知。

訴外会社は本件土地を綿密に調査し、納得して買受けたものであり、かつ、本件土地の平坦地は約四、五〇〇坪位あるので、投資のために買受けた同会社としては右契約を詐欺を理由として取消すことはできない。しかるに、原告は恣に同会社の要求に応じ右契約を合意解除したのであるから、これが解消したことにより仲介報酬金の返還を求めることはできない。

(四)  同(四)は争う。

(五)  同(五)のうち被告が原告から本件土地の図面を示され、これが傾斜地と平坦地とを含み、後者がやや狭いとの説明を受けたことは認めるが、その余の事実は否認する。本件土地の大部分が傾斜地であるとの説明はなされなかった。

(六)  同(六)のうち被告が原告から金七〇〇万円を受取ったことは認めるが、その余の事実は不知。

(七)  同(七)は否認する。

(八)  同(八)は争う。

三  抗弁

原告は不動産業者であるのに業者としての説明義務を怠り、不動産の取引に全く経験のない小谷野喜一郎に本件土地の売買につき一切を委任したまま自らは一度も現地に行ったことがなく、訴外会社から本件売買契約が原告と小谷野の共謀による詐欺によってなされたものである旨の申出を受けると直ちにこれを認めて合意解除したことからすると、原告は当初から被告らや訴外会社を欺罔して本件土地を売却しようと企てていたものということができる。そうすると、被告が原告から受取った金員は民法七〇八条本文にいう不法原因給付に当たるから、被告はこれを原告に返還する義務はない。

四  抗弁に対する答弁

抗弁事実のうち原告が不動産業者であることは認めるが、その余の事実は否認する。

第三証拠《省略》

理由

一  原告が昭和四七年八月二三日小谷野喜一郎および坂田新三の仲介により訴外城興物産株式会社(以下「訴外会社」という)との間で本件土地の売買契約を締結したことは当事者間に争いがない。

二  そこで、被告が本件売買契約を仲介して原告からその主張の仲介報酬金を受領したか否かにつき判断する。

《証拠省略》によれば、次の事実が認められる。

小谷野喜一郎は昭和四七年五月頃原告会社の代表取締役広田力一から、本件土地を売りに出していること、およびその大部分が傾斜地であり平坦地が少ない旨の説明を受け、その売買の仲介を委託された。小谷野はその後重光斉次および浜田一郎から被告を紹介されたので、原告から本件土地売買の仲介を委託されている旨告げ、被告を本件土地に案内した。被告は小谷野から本件土地の境界を指示されたので公簿上の調査等をなしたうえ、フジタ工業開発支店および岩崎某など二、三の買受希望者と交渉を重ねたが、契約の成立に至らなかった。そして、同年七月三一日前記広田力一と会い、同人から本件土地の公図写を示され、本件土地の大部分が傾斜地である旨の説明を受けたうえ、その売買仲介を委託された。その後山本晃、鈴木孝および小野謀を通じ坂田産業株式会社を知り、一旦同会社に売却することになったが、代金の都合がつかず、その資金提供者であった訴外会社が本件土地を買受けることになった。そこで、被告は同年八月二二日本件土地の買主として訴外会社を原告に紹介し、翌二三日原告と訴外会社との間に前記争いのない事実のとおり本件土地の売買契約が締結された。右売買の契約条件は前記広田、鈴木孝および被告の間で決定した。そして、原告は本件売買契約の仲介報酬として、被告、小谷野、鈴木および坂田産業株式会社に合計金一二〇〇万円を支払う旨約束し、同月二九日本件売買契約の約定に基づき残金の支払と引換に所有権移転登記手続を被告ら立会の下にした際、原告は被告に小谷野および鈴木の分を含めて金七〇〇万円を、坂田産業株式会社に金五〇〇万円を、右仲介報酬として支払った(被告が原告から金七〇〇万円を受取ったことは当事者間に争いがない。)。なお、訴外会社と坂田産業株式会社との間で、同会社において転売先をみつけて売却する旨の合意がなされ、転売の際は同会社において買戻すこととしたため、登記簿上は原告から同会社に、同会社から訴外会社にと順次売買により所有権が移転した旨の登記がなされた。以上の事実が認められ(る。)《証拠判断省略》

右事実によれば、被告は原告から本件土地売買の仲介を委託され、そのあっせんに奔走した結果、鈴木孝、坂田新三らを通じ訴外会社を知り、本件土地の買主として同会社を原告に紹介し、本件売買の契約条件を決定したこと、そしてその履行としての所有権移転登記手続に立会ったことが明らかであるから、被告は本件売買契約の仲介をしたものというべきである。

ところで、被告は、仲介報酬として受領したのは金一四〇万円であり、しかもこれを本件売買契約締結までに立替えた交通費、接待費、人件費など合計金一五〇万円の経費に充当した旨主張する。

被告が原告から受取った金七〇〇万円のうち小谷野および鈴木に対し各金二〇〇万円を支払ったことは前認定のとおりである。そして、《証拠省略》によれば、被告は重光斉次および岩崎某に各金五〇万円を、山本晃、小野謀および浜田一郎に各金二〇万円を支払ったが、そのうち金四〇万円は小谷野および鈴木に対し支払った前記金員から各金二〇万円を控除したことが認められる。しかしながら、二で認定したとおり重光および浜田は被告に小谷野を紹介した者、岩崎は本件土地の買受希望者、山本は被告に鈴木を紹介した者であること、および右の者が本件売買契約の締結について、それ以上に仲介行為をしたものではなく、単に被告ら仲介者の中間に立った者であることが明らかである。そうだとすると、右の者は原告に仲介報酬金を請求できる地位にあるものとはいえず、また原告が同人らに仲介報酬金を支払う旨約束したことを認めるに足りる証拠もない。してみると、被告が同人らに前認定の金員を支払ったとしても、右金員をもって原告から同人らに対する仲介報酬金とみるのは相当でない。すなわち、右金員は被告に対する仲介報酬金として支払われたものとみるべきである。

また、被告主張の交通費、接待費、人件費等は特約がないかぎり、仲介者の負担すべき経費に当たるものと解すべきであるから、右特約の存在につき主張、立証のない本件では、仲介者である被告において右経費の支払を負担すべきである。

以上検討したところによれば、被告は原告から仲介報酬金として金三〇〇万円を受領しその利益を享受したものと認めるのが相当である。

なお、被告は本件売買契約の仲介に当ったのは、東洋開発興業株式会社の代表者としてである旨供述し、《証拠省略》にはこれに沿うかのような記載部分があるが、《証拠省略》によれば、本件売買契約の締結当時には東洋開発興業株式会社は設立されていなかったことが認められるから、《証拠省略》は上記の認定・判断を左右するものではない。

三  そこで、被告が仲介報酬金として受領した金三〇〇万円を原告に返還すべきか否かにつき判断する。

ところで、契約締結の依頼を受けた仲介者が、その行為により一たん契約(以下「本契約」という。)を成立せしめたにもかかわらず、本契約に無効原因があるためその効力を生じない場合、あるいは本契約が取消しうべきものであることを理由にその後取消された場合には、契約締結の過程において、無効または取消しの原因となる行為をし、あるいはこれに加担した仲介者は、仲介報酬金を取得しないものと解するのが相当である。なぜなら、仲介報酬金は、仲介により本契約が成立したことを前提として発生するものであるが、その実質は仲介の成功に対して支払われる対価であり、本契約が契約締結過程における仲介者の行為により瑕疵あるものとしてその効力を生ぜず、あるいは取消された場合には、右瑕疵につき責任のある仲介者は仲介に成功したとはいえないからである。

《証拠省略》によれば、本件土地は大部分が傾斜地であるところ、小谷野および坂田らが昭和四七年八月二三日に前記安田栄司を本件土地に案内した際、本件土地(約二一〇〇坪)の周辺にある他の土地も示して、本件土地の傾斜地上部に約六、七〇〇坪の平坦地がある旨の説明をしたこと、しかし小谷野は、帰途の車中で坂田が同行者と、どんな土地でもよいからうまいことを言って早く売れば現金がすぐ手に入るという趣旨の話をしているのを耳にし、本件売買につき後日紛争が生ずることをおそれ、不安を感ずるようになったので、当日原告の事務所に戻った際、被告に対し、この件は後日めんどうが起きそうだから取引はやめにしようと申出たこと、これに対し被告は、せっかく買主がつき自分も相当費用をかけたので何とかうまくまとまる方向に進めてくれと言って取引の中止に応じなかったこと、そのため前記小谷野、坂田らの説明を信じた安田は原告と訴外会社との間の本件土地の売買契約を締結するに至ったこと、その後本件土地の大部分が傾斜地であることが判明したので、訴外会社は昭和四八年一月頃原告に対し本件売買契約を仲介者らの詐欺によるものとして取消す旨の意思表示をしたこと、そこで、原告は同年四月二〇日訴外会社との間に、本件契約が詐欺により取消さるべき事案であることを認めたうえで、これを合意解除したこと、以上の事実が認められ、前掲各証拠のうち右認定に反する部分は措信できず、ほかに反証はない。

右事実によれば、訴外会社は本件土地の大部分が傾斜地であるのに、小谷野ら仲介者からそのうち約六、七〇〇坪が平坦地である旨の説明を受けたため、その旨誤信して買受け、後に本件売買契約は右詐欺を原因とする訴外会社の取消により実質的には解消され、合意解除の形式による処理がなされたことが明らかである。

ところで、被告は前認定のように、本件契約の仲介に先立って本件土地の現況を確認し、また原告の代表取締役広田力一から公図を示され、本件土地の大部分が傾斜地である旨の説明を受けていたものであるが、原告と訴外会社との間で本件契約の締結を直接仲介する立場にあり、かつ小谷野から本件契約につき後に紛糾の生ずるおそれがあることを警告され、契約締結の中止を要請されたのであるから、被告としては訴外会社が小谷野らの説明により本件土地の現況につき錯誤に陥っていることを当然に知りうべきものであった。しかるに、被告は小谷野の警告と要請を無視し、あえて本件契約の締結に至らしめたのであるから、被告みずからは欺罔行為を行なってはいないが、小谷野らによる詐欺に加担したものというべきである。

したがって、被告は本件契約の解消の原因たる瑕疵につき責任あるものであるから、前記の理により仲介報酬債権を取得し得ないものといわなければならない。

そうだとすると、被告は仲介報酬金として原告から受領した金三〇〇万円を法律上原因なく利得したいわゆる悪意の受益者というべきものであるから、これを原告に返還する義務がある。

なお、被告は、訴外会社において本件土地を十分調査し、納得して買受けたものであり、平坦地も約四、五〇〇坪位あるから、投資のために買受けた以上、詐欺を理由に取消すことはできないのに、原告は恣に訴外会社の要求に応じ本件売買契約を合意解除したのであるから、被告に仲介報酬金の返還を求めることはできない旨主張する。

しかしながら原告は、訴外会社が小谷野ら仲介者から本件土地の大部分が平坦地である旨の説明を受け、これを信じて買受けたものであることを後に知り、本件契約が詐欺により取消されるべきものであることが明らかとなったため、合意解除に応じたことは前認定のとおりである。また、《証拠省略》によれば、本件土地の売買に関し、訴外会社が小谷野らを詐欺の容疑で告訴したため、前記広田力一はその参考人として取調べられたほか、同会社から商法二六六条ノ三に基づく損害賠償請求権を被保全権利として自己所有の不動産に仮差押の執行を受け、また右詐欺告訴事件はテレビのニュースとして報道されたことなどから、精神的圧迫を受けていたことが認められる。

右事実によれば、原告が被告主張のように恣意で合意解除したものと認められないことは明らかである。

よって、被告の右主張は採用できない。

四  そこで、被告の抗弁について判断する。

原告会社が初めから被告ら仲介者および訴外会社を欺罔して本件土地を売却しようと企図していたことを認めるに足りる証拠はなく、かえって、前認定のとおり原告会社の代表取締役広田力一は被告ら仲介者に本件土地の大部分が傾斜地であることを説明したのに、小谷野らは訴外会社を現地に案内した際、大部分は平坦地である旨説明しその旨同会社を誤信させて、本件売買契約の仲介をしたものであることが明らかである。

そうだとすると、原告が被告に交付した仲介報酬金は不法の原因のために給付したものということはできない。

よって、被告の抗弁は理由がない。

五  以上の次第であるから、被告は原告に対し金三〇〇万円およびこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四八年九月一〇日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務があることが明らかである。

よって、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、仮執行の宣言につき同法一九六条一項本文を適用し、仮執行免脱の宣言は相当でないから、これを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 安部剛 裁判官 新村正人 後藤邦春)

<以下省略>

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