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東京地方裁判所 昭和48年(秩ろ)27号 決定 1973年6月15日

本人

木村壮

主文

本人を過料三万円に処する。

理由

(事実の要旨)

本人は、昭和四八年六月八日午後一時一五分東京地方裁判所刑事第五〇三号法廷で開かれた被告人新見明ほか一九名に対する凶器準備集合等被告事件の弁護人として出頭し、証人川之上純の反対尋問をしていたものであるが、同日午後四時五〇分すぎころ、かつてに尋問を中止し、「被告人新見が退廷させられているこの法廷では十分反対尋問の準備ができないので、次回に続行してもらいたい。」と発言し、裁判長から「すでに五〇分近くも反対尋問をしているので、本日で反対尋問を終えるよう尋問を続行してくだい。」と命じられたのに対し、「裁判長は被告人の権利をどのように理解しているのか。あんたは先を急ぐことばかり考えている。あんたは被告人に反対尋問をさせる義務があるのを知つているのか。義務といつてもどうせわからない人だから言つてもしようがないかもしれないが」などと語気鋭く暴言をはき、裁判長から右発言の取消を命じられたのにかかわらず、「取消さない。あんたは義務をつくしていない。」などと発言し、裁判長からの再度の取消命令にも応ぜず、かえつて、「あんたの方こそ取消せ。」などと暴言をはいて右命令に従わないので、同日午後四時五五分ごろ裁判長から退廷を命ぜられたのに着席したまま退廷せず、数名の警備員が退廷命令の執行をしようとしたところ、右警備員らに体当たりをし、つかみかかり、手足をばたつかせて抵抗し、もつて裁判所が命じた事項を行なわず裁判所の職務の執行を妨害し、かつ、裁判の威信を著しく害したものである。

(裁判長裁判官 坂本武志 裁判官 坂井宰 裁判官 平谷正弘)

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