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東京地方裁判所 昭和49年(特わ)234号 判決 1974年7月17日

被告人

本籍

東京都文京区千駄木二丁目二七六番地

住居

同都同区千駄木五丁目三八番一三号

職業

鮮魚塩干物小売業

伊藤忠次

昭和二年四月二八日生

被告事件

所得税法違反

出席検察官

寺西輝泰

主文

1. 被告人を懲役六月および罰金七〇〇万円に処する。

2. 右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

3. この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、鮮魚塩干物等の小売販売を業としているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上げの一部を除外して仮名預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四五年分の実際所得が三二、〇一七、四六三円あつたのにかかわらず、昭和四六年三月一一日、東京都台東区東上野五丁目五番一五号所在の所轄下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、〇〇〇、〇〇〇円であり、これに対する所得税額が一、〇七八、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額一六、〇三〇、七〇〇円と右申告税額との差額一四、九五二、三〇〇円を免れ(別紙第一、第三)

第二、昭和四六年分の実際所得が三二、〇一〇、五三九円あつたのにかかわらず、昭和四七年三月一三日、前記下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、六〇六、九二〇円であり、これに対する所得税額が一、四六八、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額一五、五六二、五〇〇円と右申告税額との差額一四、〇九三、〇〇〇円を免れ(別紙第二、第三)

たものである。

(証拠の標目)(証拠書類については検察官の証拠請求番号、証拠物については当庁昭和四九年押第七六八号の符号を、それぞれかつこ内に示す。)

一、被告人の

(一) 当公判廷における供述

(二) 検察官に対する供述調書(三通)(乙10、11、12)

一、被告人に対する収税官吏の質問てん末書(八通)(乙1ないし8)

一、被告人の上申書(乙9)

一、瀬上義一に対する収税官吏の質問てん末書(二通)(甲一1、2)

一、桑野美津子、松本守正の検察官に対する各供述調書(甲一3、41)

一、次の者の作成にかかる各上申書

原啓、亀谷光史、伊藤祐治、北岡正策、永松哲四郎(三通)、星野ヨシノ、吉田勇、磯谷裕之、渡辺弘、中島同、栗山よし子(甲一4ないし9、11ないし16、18)

一、次の者の作成にかかる各書面

金澤吉蔵、佐藤善太郎、池田稔(三通)、森川敏雄、上原伸五、清沢潤弘、橋本正美、青柳勇、後藤正治、(甲一10、17、19ないし27)

一、安藤徳一郎作成にかかる照会回答書(甲一28)

一、下谷税務署長の作成にかかる証明書(甲一29)

一、収税官史作成にかかる調査書(一〇通)(甲一30ないし39)

一、検察事務官作成にかかる捜査報告書(甲一42)

一、収税官史作成にかかる「引継資産負債の明細」と題する書面(甲一40)

一、次の証拠物

確定申告書二袋(1、2)、総勘定元帳一綴(3)、申告書等綴一綴(4)、伝票綴一綴(5)、経費領収証綴三綴(6ないし8)、経費領収書綴一綴(9)、仕入請求書領収書(証)綴一三綴(10、11)、賃金台帳一綴(13)、売掛帳一綴(17)

(法令の適用)

1. 罰条と刑種の選択

判示第一および第二の各所為につき 所得税法二三八条一項(懲役刑と罰金刑を併科)

2. 併合罪の処理

懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に加重

罰金刑につき 刑法四五条前段、四八条二項

3. 換刑処分

刑法一八条

4. 懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 日浦人司)

別紙第一

修正損益計算書

伊藤忠次

自 昭和45年1月1日

至 昭和45年12月31日

<省略>

別紙第二

修正損益計算書

伊藤忠次

自 昭和46年1月1日

至 昭和46年12月31日

<省略>

別紙第三

税額計算書

<省略>

(注1) 31,377,000円×61.2%-3,172,000円=16,030,700円

(注2) 31,250,000円×60%-3,187,500円=15,562,500円

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