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東京地方裁判所 昭和49年(特わ)272号 判決 1974年6月12日

被告人

本籍

東京都文京区本郷六丁目一〇〇番地

住居

同都同区白山五丁目一〇番七号

会社役員

今井均

大正一〇年三月一一日生

被告事件

所得税法違反被告事件

出席検察官

河野博

主文

被告人を懲役四月および罰金五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都台東区上野六丁目四番一一号において、皮革製品、スポーツ用品、衣料品等の卸・小売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四五年分の実際所得金額が二七、七一五、〇三三円あったのにかかわらず、昭和四六年三月一一日、東京都台東区東上野五丁目五番一五号所在の所轄下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一、〇五九、九二九円であり、これに対する所得税額が二、七六〇、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同四五年分の正規の所得税一二、九六〇、八〇〇円と右申告税額との差額一〇、二〇〇、八〇〇円を免れ(別紙第一、第三)

第二、昭和四六年分の実際所得金額が三四、七四五、五七四円あったのにかかわらず、昭和四七年三月一〇日、前記下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三、〇四〇、三三七円であり、これに対する所得税額が三、七五五、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同四六年分の正規の所得税一六、一一四、一〇〇円と右申告税額との差額一二、三五八、六〇〇円を免れ(別紙第二、第三)

たものである。

(証拠の標目)(証拠書類については検察官の証拠請求番号、証拠物については当庁昭和四九年押第六六三号の符号を、それぞれかっこ内に示す。)

一、被告人の

(一) 当公判廷における供述

(二) 検察官に対する各供述調書(乙12ないし14)

一、被告人に対する収税官吏の各質問てん末書(乙5ないし11)

一、被告人作成の各上申書(乙1ないし4)

一、次の者に対する収税官吏の各質問てん末書

今井トシ子(甲一1ないし6)、小幡幸子(甲一8、52)、竹原正(甲一26)、田中浩一(甲一27)、新井正二(甲一45)、松崎馨(甲一48)、中神ウメ子(甲一51)

一、今井トシ子の検察官に対する供述調書(甲一7)

一、次の者の作成にかかる各上申書

山鼻金佐(甲一9、21、53)、椎橋たけ(甲一25)、渡辺一義(甲一28)、岡村愛吉(甲一29)、臼井守雄(甲一30)、浅野道夫(甲一31)、丸山和彦(甲一32、34、35)、佐々木顕義(甲一33)、桂光蔵(甲一36)、五十嵐友三郎(甲一37)、関口彦一(甲一38)、杉山俊雄(甲一39)、新井正二(甲一40)、波多幸夫(甲一41)、松島辰造(甲一42、43)、中西健太郎(甲一44)、松崎馨(甲一49)、渡辺一義(甲一50)、上野第一商業協同組合理事長(甲一53)、藤田三作(甲一54)

一、次の者の作成にかかる証明書

小野昭三(甲一10、15)、寺田克男(甲一11)、松林誠一(甲一12)、籠山和已(甲一13、55)、小野哲郎(甲一14)、小野昭三(甲一15)、鈴木和(甲一58)

一、次の者作成にかかる調査書

河内徳世(甲一16、17、18、19、20、46)、久光昭(甲一47、56、57)

一、収税官吏作成の

(一) 臨検てん末書(甲一22)

(二) 検査てん末書(甲一23、24)

一、次の証拠物

使用済定期預金通帳一袋(2)、定期預金利息計算書一袋(3)、総勘定元帳(四五年分)二綴(5)、同元帳(四六年分)一綴(6)、金銭出納帳二冊(7)、銀行勘定帳二冊(8)、手貸元帳(写)等一袋(9)、棚卸表等一袋(10)、手貸元帳(写)一袋(11)、売掛帳一冊(13)、使用済定期預金通帳一六冊(18)、定期預金利息計算書等一袋(19)、総勘定元帳(四六年分)二綴(21)、現金出納帳(四五年分)一綴(22)、同帳(四六年分)一綴(23)、源泉徴収簿一綴(24)、請求書等二袋(25)、定期預金内訳帳一冊(26)、試算表等一袋(27)、青色申告書書類つづり一綴(29)、使用済普通預金通帳六冊(32)、所得税確定申告書等(四四年分)一袋(33)、同(四五年分)一袋(34)、同(四六年分)一袋(35)

(法令の適用)

1. 罰条と刑種の選択

判示第一および第二の各所為につき 所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑を併科)

2. 併合罪の処理

懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に加重罰金刑につき 刑法四五条前段、四八条二項

3. 換刑処分

刑法一八条

4. 執行猶予

刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 日浦人司)

別紙第一

修正貸借対照表

今井均

昭和45年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙第二

修正貸借対照表

今井均

昭和46年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

税額計算書

Ⅰ 昭和45年分

<省略>

26,288,000×0.6-2,812,000=12,960,800

Ⅱ 昭和46年分

<省略>

31,835,000×0.6-3,187,500=15,913,500

2,006,000×0.1=200,600

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