大判例

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東京地方裁判所 昭和50年(ワ)10500号 判決

一 原告が本件実用新案権を取得したこと、本件考案の実用新案登録出願の願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載が原告主張のとおりであることはいずれも当事者間に争いがない。そして、右事実に成立に争いのない甲第四号証(本件公報)を総合して考えれば、本件考案は原告主張の(1)ないし(7)の構成に区分することができる。

二 ところで、原告は本件考案の右構成のうち、出願前公知にかかる構成部分は、本件考案において格別の意味を有しないから、これを除外した原告主張にかかる要部なるものをもつて必須の要件と解すべきものであり、これ以外の構成は本件考案の必須の要件にあたらない旨主張する。

しかしながら、実用新案登録請求の範囲には、考案の詳細な説明に記載した考案の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならず(実用新案法第五条第四項)、考案の技術的範囲は右登録請求の範囲の記載に基いて定めなければならない(同法第二六条、特許法第七〇条)ものとされているから、本件考案の登録請求の範囲に記載された事項が、本件考案において格別の意味を有しないなどと主張することは本来許されないところであるのみならず、前掲甲第四号証によれば本件考案は複数個の技術的事項を結合した全体の構成にその特徴があるものというべきであるから、その登録請求の範囲に記載された各技術的事項はいずれも本件考案の構成要件であつて、この点に差異はない筋合である。また、本件考案の登録請求の範囲の中に仮に公知の技術的事項が含まれているとしても、原告主張のようにこれを除外して技術的範囲を定めるべきものとすれば、公知の技術的事項を含む前記のように複数個の技術的事項の結合から成る本件考案が、分断されて、本件考案と、これとは技術的に異なるところの、公知の技術的事項を除外した別個の考案とを肯認する結果を生じることになるのみでなく、公知の技術的事項を除外することによつて、被告ら主張のように本件考案の技術的範囲を拡大させる不合理を招来させることになるから、原告の主張はとうてい採用することができない。本件考案は前記(1)ないし(7)の構成全部をその必須の要件とするものである。

三1 被告富士電波が本件製品を製造販売していることを認めるに足る証拠はないが、被告パール工業が本件製品を製造販売していることは、当事者間に争いがない。

2 本件製品が別紙目録(一)の図面及び説明書記載のとおりの構造を有することは当事者間に争いがなく、右争いのない事実によれば、本件製品の構成は原告主張の(1)´ないし(4)´に区分することができる。

3 そこで、本件製品と本件考案の前記構成とを対比すると、前記確定した事実によれば、本件製品においては、本件考案の前記(2)、(3)、(4)の各構成を欠くことが明らかであるから、本件製品は、その余の構成につき判断を進めるまでもなく、本件考案の技術的範囲には属しないものである。

四 よつて、本件製品は本件考案の技術的範囲に属することを前提とする原告の本訴請求はその余の点につき判断するまでもなくいずれも理由がないので棄却する。

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