大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和50年(ワ)11133号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

1 まず、原告Aの慰藉料について検討するに、被告がBと肉体関係を持つた当時、Bと被告は上司と部下の関係にあり、被告に比して社会経験に富み、かつ、分別を備えるべき年令にあるBが妻子のある身で積極的に被告に接近し、事実上離婚状態にある状態にあるなどと虚言ともいえる言葉まで用いて被告と肉体関係を持つたものであり、被告とBの同棲も、一旦はBと別れる決心までした被告に、Bがその居所を探し出して再度接近し、復縁を哀願して被告の同情を買い、同棲するようになつたものであつて、被告が泰夫との肉体関係や同棲の維持、継続において果した役割は、Bに比して極めて消極的であり、その責任の割合は、はるかに小さいといわざるをえない。このことは、原告AとBの婚姻関係の破綻についても同様で、本来右婚姻関係の円満な維持、継続について夫として多大の責任のあるBがむしろ積極的にこれを破綻に導いたものであつて、右婚姻関係の破綻に対する被告の関与の度合ひいては責任の割合も、Bと比較してはるかに小さいことは多言を要しない。

以上のほか、前認定のとおり、Bは、原告Aとの離婚調停において財産分与のほかに金五〇〇万円と相当高額な慰藉料の支払義務を負担していること、前認定の事実関係によれば、原告AとBの婚姻関係が破綻した遠因として、Bが栃木放送に再就職した際、原告らがBと共に再度宇都宮市に転居し、親子四人が同居するについて客観的な障害の存したことは証拠上窺われないにもかかわらず、原告AとBとの相互理解と努力の不足からBをして単身赴任させて不規則な生活を営ませるに至つた点が掲げられるべきであり、右の点については、原告AとBは、夫婦として共に責任を分ちあうべきであること、その他本件に顕われた諸般の事情を総合して判断すると、原告Aの慰藉料は、金六〇万円と認定するのが相当である。

2 次に、原告C、同Dの慰藉料について検討するに、右原告らの平穏な家庭生活が破壊されるに至つたのは、そのほとんどが右家庭生活の維持に多大の責務のある父たるBの責任に帰せしめられるべきであり、右家庭生活の破壊について被告の関与の度合ひいては責任の割合が極めて小さいことは前判示のとおりである。その他、本件に顕われた諸般の事情を考慮すると、原告C、同Dの慰藉料は、各金二〇万円と認定するのが相当である。

(横山匡輝)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!