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東京地方裁判所 昭和50年(ワ)6209号 判決

一 原告が本件各商標権を有すること及び被告が原告主張のような態様で、昭和四九年九月一日から昭和五〇年六月二日まで中町店及び東雲店において被告標章を使用していたことについては、当事者間に争いがない。

二 そこで、原告登録商標(1)ないし(3)と被告の標章(1)ないし(3)とを対比すると、

1 被告の標章(1)は、

(イ) ニコラスの称呼を生じる点で原告登録商標(1)及び(2)に、

(ロ) 片仮名左横書きのニコラスという文字から成る点で原告登録商標(2)に、

2 被告の標章(2)は、ニコラスの称呼を生じる点で原告登録商標(1)及び(2)に、

3 被告の標章(3)は、口ひげを蓄えた、身体に比べてかなり大きな短靴を履いた人物が左を向いて立ち、両手に頭の高さにまで達するほどに重ねられた数十枚の皿のようなものを持ち、その皿様のものが左側に倒れそうにわん曲している図が描かれている点で外観が原告登録商標(1)及び(3)にいずれも類似する。

本件各商標権の指定商品が、原告の登録商標(1)については、旧商標法施行規則第一五条による商品類別における第四五類、他類に属しない食料品及び加味品であること、原告の登録商標(2)、(3)については、第三二類、食肉、卵、食用水産物、野菜、果物、加工食料品(他の類に属するものを除く)であること及び被告の標章(1)ないし(3)の付されている商品がピザ・パイであることは当事者間に争いがなく、右事実によれば、右ピザ・パイは本件各商標権の指定商品と同一であるというべきである。

三 以上によれば、被告の行為は本件各商標権を侵害するものであり、その侵害について被告に過失があつたものと推定されるところ、右推定をくつがえすに足る証拠はない。

したがつて、被告は原告に対し、右行為により原告が被つた損害を賠償すべき義務があるところ、右損害額は少なくとも原告が本件各商標権を他人に使用させることによつて得られる通常受けるべき使用料相当額である。しかして被告が中町、東雲両店において、いずれも昭和四九年九月一日から昭和五〇年六月二日までの間、被告の標章の(1)ないし(3)を使用していたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第四号証、原告主張のような写真であることについて当事者間に争いのない甲第五号証の一ないし四及び第六号証の一、二、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第三号証、原告主張のような写真であると認められる甲第九ないし第一二号証、並びに第一三号証を総合すると、被告は、少なくとも昭和五〇年六月三日から同月末日までの間右各店舗において、被告の標章(1)ないし(3)を使用していたことが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

原告は、被告が中町店において昭和四七年四月一日から昭和四九年八月末日の間においても被告の標章(1)ないし(3)を使用していたと主張するが、これを認めるに足る証拠はない。

しかして前掲甲第一三号証によれば、前記認定の期間内における被告の売上額は、中町店が月額平均金六〇〇万円、東雲店が月額平均金三〇〇万円であることが認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠はない。

右事実によつて認められる被告の標章(1)ないし(3)の使用期間及び売上額に徴すれば、原告の登録商標(1)ないし(3)の使用料相当額は、各店舗につきそれぞれ月額金五万円と解するのが相当である。

そうすると、中町、東雲両店において、それぞれ昭和四九年九月一日から昭和五〇年六月末日までの間、被告が被告の標章(1)ないし(3)を使用した月数である一〇に各金五万円を乗じた金五〇万円、合計金一〇〇万円が原告が被つた使用料相当の損害となる。

右のとおりであるから、右の損害金一〇〇万円とこれに対する不法行為の後である昭和五〇年九月二日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の請求部分は理由がある。

四 被告が原告主張のような態様で昭和五〇年六月末日まで、被告の標章(1)ないし(3)を使用していたことは前認定のとおりであり、右事実によれば、被告は、少なくとも東雲店においては現在もなお原告主張のような態様で被告の標章(1)ないし(3)を使用しているものと推認するのが相当である。

そうするとその使用の差止を求める原告の請求部分もまた理由がある。

五 よつて、原告の被告に対する本訴請求を正当として認容することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を、仮執行の宣言について同法第一九六条をそれぞれ適用する。

〔編註〕 本件における主文は左のとおりである。

1 被告は、その経営するピザ・パイ販売店舗の看板(店頭表示板)、メニユー、宣伝広告物、営業用マツチ、コースター及びピザ・パイの包装紙に、別紙第二目録記載(1)ないし(3)の標章を付し、右標章を付した営業用マツチ、コースター及び包装紙を譲渡し、引き渡してはならない。

2 被告は、原告に対し、金一〇〇万円及びこれに対する昭和五〇年九月二日から完済まで年五分の金員を支払え。

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