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東京地方裁判所 昭和50年(特わ)537号 判決

右四名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官清水勇男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人城南住宅有限会社(本店館林市)を罰金二五〇万円に、同城南住宅有限会社(本店東京都渋谷区)を罰金七〇万円に、同株式会社財豊貿易を罰金七〇〇万円に、被告人小板橋定男を懲役八月に各処する。

被告人小板橋定男に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人城南住宅有限会社は、群馬県館林市本町二丁目一五番三五号に本店を置き(昭和四六年六年三〇日、納税地を東京都世田谷区桜丘二丁目二七番一七号に指定)、不動産売買等を営業目的とする資本金三〇〇万円の有限会社、被告法人城南住宅有限会社は東京都渋谷区桜丘町二九番三一号(昭和四九年三月六日以前は同都渋谷区宇田川町四番一〇号)に本店を置き、不動産の売買および旅館業等を営業目的とする資本金四〇〇万円の有限会社、被告法人株式会社財豊貿易(昭和四九年二月一二日、商号変更するまでは株式会社小板橋)は同都渋谷区恵比寿西二丁目二〇番八号ホテルパーフエクトルーム三一一号に本店を置き、不動産の売買および旅館業等を営業目的とする資本金一億六、〇〇〇万円の株式会社で、被告人小板橋定男は被告法人城南住宅有限会社(本店館林市)の事実上の経営者(昭和五〇年五月七日以降は取締役)、昭和四六年九月一六日から同四八年二月二五日までの間右被告法人城南住宅有限会社(本店東京都渋谷区)の、昭和四七年一月三〇日から同四七年一一月三〇日までの間右被告法人株式会社財豊貿易の各代表取締役をしていたもので、各被告法人の業務を統括していたものであるが、被告人小板橋定男は右各被告法人の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、被告法人城南住宅有限会社(本店館林市)の昭和四六年三月一日から同四七年二月二九日までの事業年度について、同都世田谷区桜丘二丁目二七番一七号の右被告法人の事務所において、総勘定元帳などの商業帳簿を一切作成せず、期末に際してことさら商品土地のたな卸を実施せず、又仕掛工事高を明らかにする資料を作成しないなど右被告法人の所得秘匿工作をしたうえ、昭和四七年四月三〇日の納期限までに同都世田谷区若林四丁目二二番一四号所在の所轄世田谷税務署の署長に対し右被告法人の法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もつて不正の行為により、右被告法人の右事業年度における所得金額二、六六〇万三、三三二円に対する法人税額九五一万四、一〇〇円を免れ(修正損益計算書および税額計算書は別紙(一)、(四)のとおり)

第二、被告法人城南住宅有限会社(本店東京都渋谷区)の昭和四六年九月一六日から同四七年二月二九日までの事業年度における右被告法人の実際所得金額が一、〇二二万三、九一六円あつたのにかかわらず、期末の土地たな卸高および仕掛工事高を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、同四七年四月二八日、東京都渋谷区渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三二六万四、九五九円でこれに対する法人税額が一〇六万八、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右被告法人の右事業年度における正規の法人税額三六二万五、七〇〇円と右申告税額との差額二五五万七、五〇〇円を免れ(修正損益計算書および税額計算書は別紙(二)、(四)のとおり)

第三、被告法人株式会社財豊貿易の昭和四六年一〇月一日から同四七年九月三〇日までの事業年度について、同都世田谷区桜丘二丁目二七番一七号の右被告法人の事務所等において、ホテル関係の売上げの一部を除外した二重帳簿を作成し、あるいは土地仕入れに関する架空領収書を作成するなどして右被告法人の所得秘匿工作をしたうえ、昭和四七年一一月三〇日の納期限までに所轄の前記渋谷税務署の署長に対し、右被告法人の法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もつて不正の行為により右被告法人の右事業年度における所得金額七、八二四万七、一五七円に対する法人税額二、八七五万五、七〇〇円を免れ(修正損益計算書および税額計算書は別紙(三)、(四)のとおり)

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、被告人の検察官に対する昭和五〇年三月二八日付供述書

一、被告人の大蔵事務官に対する昭和四八年八月二八日付、昭和四九年三月二七日付、同年六月一四日付各質問てん末書

一、白石、石井勝敏の検察官に対する各供述調書

判示冒頭の事実につき

一、登記官大澤卯三郎作成の登記簿謄本

一、登記官鈴木夘一作成の登記簿謄本(二通)および抄本(二通)

一、大蔵事務官臼井広介、同小林義弘、同浪江正男各作成の各証明書

判示第一の事実につき(城南住宅有限会社((本社館林市))関係)

一、白石作成の不動産売上等の上申書(一)と題する書面(別紙(一)の番号<1>の売上高につき)

一、大蔵事務官大澤重作成の土地たな卸調査書と題する書面および被災人の大蔵事務官大澤重に対する昭和四九年六月八日付書面(別紙(一)の番号<2>期首たな卸高および番号<6>期末たな卸高につき)

一、大蔵事務官大澤重作成の建物仕掛工事調査書と題する書面(別紙(一)の番号<3>期首仕掛工事および番号<7>期末仕掛工事につき)

一、白石作成の上申書(土地仕入等について)と題する書面(別紙(一)の番号<4>の土地仕入高につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の自四六・三・一至四七・二・二九事業年度城南住宅(有)建設工事原価調査書(別紙(一)の番号<5>建物工事高につき)

一、白石作成の上申書(一)(仲介手数料の支払について)と題する書面(別紙(一)の番号<8>の販売手数料につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の自四六・三・一至四七・二・二九事業年度城南住宅(有)一般管理費調査書(別紙(一)の番号<9>ないし<24>の一般管理費の各費目につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の自四六・三・一至四七・二・二九事業年度城南住宅(有)営業外損益調査書(別紙(一)の番号<25>ないし<27>の雑収入、支払利息、固定資産売却損につき)

一、大蔵事務官川崎昭治作成の事業税認定損調査書(別紙(一)の番号<28>事業税認定損につき)

判示第二の事実につき(城南住宅有限会社((本店渋谷区))関係)

一、白石作成の不動産売上等の上申書(二)と題する書面および同人作成の上申書(その他事業の損益関係について)と題する書面(別紙(二)の番号<1>売上高および番号<2>期首引継仕入、番号<4>仕入高、番号<7>期末たな卸高の各一部につき)

一、大蔵事務官大澤重作成の土地たな卸調査書と題する書面および被告人の大蔵事務官大澤重に対する昭和四九年六月八日付質問てん末書(別紙(二)の番号<2>期首引継仕入、番号<7>期末たな卸高の各一部につき)

一、白石作成の上申書(土地仕入等について)と題する書面(別紙(二)番号<4>仕入高の一部につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の自四六・九・四至四七・二・二九事業年度城南住宅(有)建築工事原価調査書(別紙(二)の番号<5>建物工事高につき)

一、白石作成の上申書(二)仲介手数料の支払についてと題する書面および被告人の大蔵事務官に対する昭和四九年五月一四日付質問てん末書(別紙(二)の番号<6>販売手数料につき)

一、大蔵事務官大澤重作成の建物仕掛工事調査書(別紙(二)の番号<3>期首引継仕掛工事、番号<8>期末仕掛工事につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の自四六・九・一六至四七・二・二九事業年度城南住宅(有)一般管理費調査書(不動産関係、その他事業合計表)(別紙(二)の番号<10>ないし<29>の一般管理費の各費目につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の自四六・九・一六至四七・二・二九事業年度城南住宅(有)営業外損益調査書(別紙(二)の番号<30>ないし<33>の雑収入、営業権譲渡収入、支払利息、雑損につき)

一、押収してある法人税確定申告書一綴(当庁昭和五〇年押第一、七一八号の一)

判示第三の事実につき(株式会社財豊貿易関係)

一、白石作成の不動産売上等の上申書(三)と題する書面および同人作成の上申書(その他事業の売上、仕入について)と題する書面(別紙(三)の番号<1>売上高および番号<4>仕入高の一部につき)

一、白石作成の上申書(土地仕入等について)と題する書面、同人作成の上申書(その他事業の損益関係について)と題する書面および被告人の大蔵事務官大澤重に対する昭和四九年六月八日付質問てん末書(別紙(三)の番号<2>引継仕入につき)

一、大蔵事務官作成の建物仕掛工事調査書(別紙(三)の番号<3>引継仕掛工事、番号<8>期末仕掛工事につき)

一、白石作成の上申書(土地仕入等について)と題する書面および同人作成の上申書(その他事業の売上、仕入について)と題する書面(別紙(三)の番号<4>仕入高につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の(株)小板橋建築工事原価調査書と題する書面(別紙(三)の番号<5>建物工事高につき)

一、被告人の大蔵事務官に対する昭和四九年五月一四日付質問てん末書(別紙(三)の番号<6>販売手数料につき)

一、大蔵事務官大沢重作成の土地たな卸調査書、被告人の大蔵事務官大澤重に対する昭和四九年六月八日付質問てん末書、白石作成の上申書(その他事業の損益関係について)と題する書面(別紙(三)の番号<7>期末たな卸高につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の(株)小板橋一般管理費調査書(別紙(三)の番号<9>ないし<27>の一般管理費の各費目につき)

一、大蔵事務官敷田強作成の(株)小板橋営業外損益調査書(別紙(三)の番号<28>雑収入、番号<29>支払利息につき)

一、白石作成の上申書(車両の取得代金および売却損について)と題する書面(別紙(三)の番号<30>固定資産売却損につき)

(法令の適用)

被告法人城南住宅有限会社(本店館林市)(以下単に被告会社城南館林という)の判示第一の所為、被告法人城南住宅有限会社(本店東京都渋谷区)(以下単に被告会社城南渋谷という)の判示第二の所為、被告法人株式会社財豊貿易(以下単に被告会社財豊という)の判示第三の所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人小板橋定男の判示第一ないし判示第三の各所為は法人税法一五九条に各該当するところ、被告人につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人の判示第一ないし第三の各所為は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役八月に処し、各被告会社については所定の罰金額の範囲内で被告会社城南館林を罰金二五〇万円、被告会社城南渋谷を罰金七〇万円に、被告会社財豊を罰金七〇〇万円に各処し、なお被告人の後記情状をも考慮して刑法二五条一項を適用して被告人に対し、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

(情状について)

被告人は個人の建築業のほか、会社組織で土地建物取引業、旅館業等を営むものであるが、本件摘発を受けるまで、自己の統括する各会社に十分な経理体制を設けず、脱税の意図もあつて帳簿類もほとんど記帳せず、その結果たな卸がなされないため脱税額も無視し得ない額となつているが、他方その手段は必ずしも巧妙とはいえないこと、又被告会社城南館林と被告会社財豊については法の不知にもとづき申告期限を徒過してしまつたとはいえ、被告会社城南渋谷と同程度の過少ではあるが一応の申告の意思を有していたこともうかがえ、仮に申告期限についての何等かの助言が得られればほ脱額が若干減少していたとも考え得ること、本件摘発後は十分反省し、顧問税理士に依頼して経理体制を整えるとともに、本件査察調査に協力し、本件につき修正申告した税額も完納するべく努力している(四、〇〇〇万円余の税額のうち一、五〇〇万円余を納付済)ことなどの諸般の情状を考慮すると、被告人に対する懲役刑はしばらく猶予するのが相当である。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 安原浩)

別紙(1)

修正損益計算書

城南住宅(有)(本店館林分)

自 昭和46年3月1日

至 昭和47年2月29日

<省略>

別紙(2)

修正損益計算書

城南住宅(有)(本店渋谷分)

自 昭和46年9月16日

至 昭和47年2月29日

<省略>

別紙(3)

修正損益計算書

(株)財豊貿易

自 昭和46年10月1日

至 昭和47年9月30日

<省略>

別紙(4)

法人税額計算書

法人名

城南住宅(有)(本店館林分)

事業年度

自 昭和46年3月1日

至 昭和47年2月29日

<省略>

別紙(4)

法人税額計算書

法人名

城南住宅(有)(本店渋谷分)

事業年度

自 昭和46年9月16日

至 昭和47年2月29日

<省略>

注:6は300万円×6/12

別紙(4)

法人税額計算書

法人名

(株)財豊貿易

事業年度

自 昭和46年10月1日

至 昭和47年9月30日

<省略>

注:資本金1億円超の法人なので適用なし。

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