大判例

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東京地方裁判所 昭和51年(ワ)6820号 判決

一 原告が本件実用新案権を取得したこと、本件考案の実用新案登録出願の願書に添附した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載が原告主張のとおりであること、被告製品が別紙目録記載のとおりであることは、いずれも当事者間に争いがない。

二 そこで、被告製品が本件考案の技術的範囲に属するか否かを検討する。

まず、当事者間に争いのない前記実用新案登録請求の範囲の記載、就中「双方の端部に夫々取り付けた椀状の磁石体若しくは磁石体と磁性体」との記載部分並びに前記明細書中の考案の詳細な説明の記載、就中「それぞれの端部に接着された椀状の磁石体6と同じく椀状の磁性体7」との記載部分、「本実施例では四肢等を空気入中空体として構成する例を示したが、この他に木材、合成樹脂等にて非中空体としても構成するものである。」との記載部分及び実施例に関する図面等を総合すれば、本件考案においては、人形の胴体部における両足、両腕等とのそれぞれの連結部端部に、各別に、胴体部とは別体の椀状をした磁石体又は磁性体を、接着その他の方法により取り付けた構造が、必須の構成要件の一をなすものと解するのが相当である。原告は、人形の胴体部と足、腕との連結部において、一方の端部には磁石体を取り付け、他方の端部には磁性体を取り付ける場合は、双方の端部にいずれも磁石体を取り付ける場合とは異なり、当該磁石体及び磁性体は椀状であることを要しない旨主張するが、このように解すべき合理的根拠は全く見出しえない。

そして、このことは、ことあらためて、本件考案の実用新案登録出願当時における公知技術等を検討し、斟酌するまでもなく、明らかなところである。

ところで、被告製品において右構成要件に対応する構造が、「胴部を側面で分割した形の二枚の鉄板を、所定の間隙をもつて対向させ、その間に、一個の、しかも右鉄板より小さい永久磁石を挿設し、右鉄板にそれぞれ単一の磁極が現れるようにするとともに、右鉄板の所定の関節位置に、腕部、足部等に設けた鉄球を吸着し支えるための、鉄球面に沿つた凹部を形成した」点にあることは、当事者間に争いがない。そして、被告製品における右構造が本件考案における前記構成要件を充足するものでないことは、作用効果上の異同を吟味するまでもなく、両者の構造を比較検討することにより、おのずから明らかである。

そうすると、被告製品は、すでにこの点において本件考案の構成に欠くことのできない要件の一を欠如することになるから、その技術的範囲には属しないものといわなければならない。

三 かくして、原告の本訴請求は、進んでその余の点につき判断するまでもなく、いずれも理由なきものに帰するから、これを棄却する。

〔編註その一〕本件における実用新案登録請求の範囲は左のとおりである。

人形の胴体部と足、腕との連結部を双方の端部に夫々取り付けた椀状の磁石体若しくは磁石体と磁性体で吸着して構成して成る人形の関節装置

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