大判例

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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)11566号・昭56年(ワ)7428号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

1 被告らは、立退料の提供と正当事由の補強の関係につき被告らの主張3、(一)<編注―被告らは、本件建物収去土地明渡により、生活の本拠と基盤を一挙に失うことになるのであり、借地人にかかる事情があるときには、立退料の提供は更新拒絶の正当事由を補強しえない。>のとおり主張するので、まずこの点につき判断するに、土地明渡しにより借地人が生活の本拠と基盤を失うことになるような場合においても、なお地主・借地人間の利益の調節をはかる必要があること、借地権も今日金銭的評価の対象とされていること等にかんがみれば、かかる場合にも立退料の提供によつて正当事由の補強を認めてよく、ただその額の算定にあたつては、借地人に対する生活手段喪失の補償も考慮しなければならなくなるにすぎないものと考える。

2 そこで更にすすんで、既に検討した本件土地に対する原告の自己使用の必要性に加え、原告主張の金七、〇〇〇万円の提供によつて、原告の更新拒絶に正当事由が認められるかについて判断する。

立退料に対して所得税と住民税とが課税されるのは公知の事実であるから、金七、〇〇〇万円の立退料が提供された場合の手取り額は約金六、〇〇〇万円になると認められるところ、金六、〇〇〇万円の投資によつて、被告敦子ら一家が、他に本件土地と同条件の土地を借り、本件建物と同条件の建物を所有し、その建物でビリヤード店の経営ができるかといえば、現状勢下ではまず不可能であろうと結論せざるをえない。

従つて金七、〇〇〇万円の立退料を提供されても、被告とよ、同敦子は居住条件もしくは生活手段のいづれかを喪失ないし著しく低下させる結果となることは明らかであつて、これによつてもなお原告に更新拒絶の正当事由ありと認めることはできない。

(西理)

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