東京地方裁判所 昭和52年(ワ)12082号 判決
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【判旨】
一原告らが下ノ関条約により被告日本国の領土となり台湾総督の下に統治されていた台湾島民で日本国籍を有していたが、台湾が第二次大戦後被告日本国の領土から離れて中華民国が領有するところとなり、被告日本国と連合国との間に締結された平和条約により日本国籍を失つたものであることは当事者間に争いがない。
二そして、<証拠>によれば、本件各預金の内訳は、原告疹については、別紙「疹陽春名義郵便貯金現在高算出調書」の①ないしのとおりであり、原告郭については、別紙「郭玉才名義郵便貯金現在高算出調書」の①ないしのとおりであることを認めることができる。
三ところで、原告らは、本件各預金の額面金額を卸売物価指数により現在の貨幣価値に引き直した金員の支払を求めるのであるが、本件各郵便貯金の払戻については我が国の法令が適用されるものと解すべきところ、民法四〇二条の規定によれば、債権の目的が金銭であるときは、債務者は弁済期において強制通用力を有する通貨をもつて本来の債務額を支払えば足りる旨定めているから、貯金の預入後その払戻までに原告ら主張の如き貨幣価値の著しい変動があつたとしても、そのことにより貯金額が当然に増額修正されるものとすべき現行法上の根拠はないので、被告は貯金払戻時の貨幣をもつて弁済すれば免責されるものと解すべきである。 (落合威)