大判例

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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)2274号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

右認定事実によると、原告は、被告の妻との間で本件不動産の売買についての話し合いをなし、不動産仲介業者間に本件不動産が売却に出されていることのパンフレツトを配布することまでしているのであるが、被告の妻との右話し合いの際にも被告の留守中であるということを知らされており、さらに、昭和五二年二月二〇日頃、同女から被告と相談のうえでないと最終的な返事をすることはできない旨述べられているのである。そのうえ被告からも三金不動産に仲介依頼してあるので原告が介入することを断わる旨述べられているのである。そして、原告は、三金不動産からの右売買介入についての抗議を受けるやあたかもこれに関係していないかの如きことを述べているのである。このようにみてくると、確かに被告が原告を通しての客との間で本件売買契約を締結したという不明瞭な点は残るにしても、原告のなした右各行為は、被告に対する単なる仲介斡旋申込の誘引行為に過ぎなかつたものと認めるのが相当であつて、結局のところ、原告と被告との間に原告主張の如き仲介委託契約が締結されたことの証明がないことに帰するというべきである。

従つて、右仲介委託契約の成立を前提としての、あるいはこれが存続している場合と信義則上同視しての原告の請求は理由がない。

三次に、原告は、商法五一二条の趣旨および取引上の信義衡平の見地から相当額の報酬債権がある旨主張するが、前述したところから明らかなとおり、原告のなした行為は、仲介斡旋申込の誘引行為に過ぎないのであるから、むしろ原告自身の営業のためにする行為と認めるのが相当であつて、同法条の適用の余地はないものというべきであり、そして、原告主張の如き衡平の見地からしても原告に相当額の報酬債権が発生するとも解せられない。

従つて、右の理由による原告の請求も理由がない。

(林豊)

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