東京地方裁判所 昭和52年(ワ)4434号・昭52年(ワ)5584号 判決
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【判旨】
3 右認定の事実によれば、本件各公正証書の記載は、その貸金の額・貸金の年月日・弁済期・連帯保証の月日につき事実と相違していることが明らかであり、この点において、本件各公正証書の執行力の有無について疑念を生ずるのはまぬがれたいところといわなければならない。しかし、前掲各証拠によれば、本件各公正証書の貸金総額金四四〇万円は、前記認定に係る貸金八九〇万円あるいは前記未返済元金六三〇万円の一部であつて、その額が本件第一公正証書において金二二〇万円、本件第二公正証書において金一〇〇万円、本件第三公正証書において金一二〇万円となつているのは、後記返済期日との関係で分割弁済の約と弁済の猶予をしたものとみられるのに併せてそれぞれの公正証書において連帯保証人となることとなつた原告前川・同小川がそれぞれ金二二〇万円を限度に連帯保証をしたことによるものであり、また、その弁済期が、本件第一公正証書においては昭和五二年四月二二日と、本件第二公正証書においては同年同月二六日と、本件第三公正証書においては昭和五二年三月二二日となつているのは、それぞれその限度で分割払の約と弁済の猶予をしたものともみられること、及び貸金をした日付けが、本件第一公正証書においては昭和五二年三月二四日と、本件第二公正証書においては同年同月二八日と、本件第三公正証書においては同年同月一九日となつていて、前記真実の貸付日との間に一一日から二〇日程度の開きが存するが、右の差異は極めて僅かであること、利息及び損害金の約定利率については、本件各公正証書におけるそれも前記真実の貸付けにおけるそれと表面的には一致していること、また連帯保証の日が本件各公正証書において、すべて昭和五二年五月一六日となつているのは、その日が公正証書作成の日であつたためであると考えられることがそれぞれ認められ、右認定を左右すべき証拠はないのであるから、本件各公正証書は、それぞれ前記認定に係る当初の貸金八九〇万円から返済を受けたことに争いのない金二六〇万円を控除した残金六三〇万円について(今日までに右金六三〇万円及びこれに対する利息、損害金の弁済がなされたことを認めるに足りる証拠は存しない。)の各一部をそれぞれ表示したものとして、当初の貸金との間に同一性を有するものであるとともに、右貸金についての連帯保証関係を内容とするものというべく、したがつてその記載内容による執行力を有するものといわなければならない。
(仙田富士夫 生田治郎 黒岩巳敏)