東京地方裁判所 昭和52年(ワ)6224号・昭52年(ワ)9440号 判決
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【説明】
「本件土地は亡山田美代の遺産であつたが、家庭裁判所の審判により三筆一団の土地として原、被告らの共有(持分各三分の一)となつた。」
原、被告双方からその分割を求めたのが本件である。
【判旨】
三そこで分割の方法について判断する。
<証拠>を総合すれば、次のとおり認められる。
1 本件土地は東西に走る広道である通称赤堤通り(以下A道路という)と略々南北に走る狭道(以下B道路という)との交差する場所にあり、本件土地のうち五三番の一は北側がA道路に接し、現況は空地となつているが、面積は191.73平方米である。五三番二は北側がA道路東側がB道路に面し面積は294.21平方米あり、その上に木造瓦葺平家建居宅一棟158.9平方米が建つている。五三番三は東側がB道路に接しているが東西に細長く、面積は429.75平方米で、現況は空地となつている。このような状況から三筆を各別に分割するよりも、一体として合割するのが相当である。
2 原告山田登志子の依頼により土地家屋調査士小島晰は右三筆の面積を測量しこれを合計し、これを三等分し、90.75坪宛に三分する分割案により、実測図を作成した(後記の鑑定書の添付図である別紙図面中では点線で表示した分割案)。
3 鑑定の結果は、右の分割案の如く均等に三分割した場合の各々の価格差を算出し、更に価格差の大きい画地について土地の有効利用を阻害しない程度に面積の増減修正を行つて、面積修正後の各画地ごとの価格を求め、尚価格差ある場合については差額金を授受するを併用するのが、最も妥当な分割方法と判断している。しかして、右2の分割案のごとく均等に三分割した場合の各画地について、街路条件(系統連続性、幅員その他)、交通接近条件、環境条件(地勢・地質・地盤等その他)、画地条件(不整形地、方位、高低、角地、崖地等)、行政的条件(用途規制等)について指標とり比較し、前述のとおりの均等に分割した場合においては各画地ごとの格差が甚だしいとし、これを土地の有効利用を阻害しない程度を考慮し、且つ、各画地間の価格差を務めて僅少ならしめるよう修正すれば別紙図面①②③のとおり、①の土地の面積は327.95平方米、②の土地の面積は279.47平方米、③の土地の面積は292.59平方米となり、面積修正後の三者の価格を求めると、①は五八九六万円、②は六一七六万八〇〇〇円、③は五九二七万二〇〇〇円となり、よつて、当該画地を共有者三名で公平に分割すれば、①の取得者は差額金一〇四万円を、③の取得者は差額金七二万八〇〇〇円を夫々②の取得者から受領することにより差額金を含めて均等に分割することができる、としている。
4 右鑑定の分割案によれば、前記1掲記の建物の一部分が①③にはみ出すものの、大部分は②の上にあることになり、右建物の所有者である原告山田登志子は②の土地を取得することを希望し、被告山田治子は①の土地を取得することを希望している。
以上の認定に反する証拠がない。
なお、本件分割が実質上遺産分割の実現に等しいことからみて、数筆の土地を一団として現物分割を行ない、僅少の価格の差について差額金の支払という価格分割を併用することは、民法九〇六条の立法趣旨をも斟酌して、許されるものと解するのが相当である。
また、原告山田登志子の甲事件、被告山田治子の乙事件の各共有物分割請求には、弁論の全趣旨より、本件土地を一団として分割したのち、合筆・分筆手続をなし、原被告らの取得土地につき各持分移転登記手続を求める請求も含まれていると解するのが相当である。
以上の認定・説示によれば、本件土地は一団として分割するのが相当であり、本件土地の利用状況、価格等の諸般の事情を総合考慮のうえ、鑑定の結果による分割方法が最も適切であると解されるので、別紙分割目録・図面のとおり分割することとし、原告山田登志子は②の土地、被告山田治子は①の土地、同山田寿美子は③の土地を取得するのが相当であり、右原被告三名は本件土地を合筆手続をし、別紙分割目録・図面のとおりの土地に分筆登記手続をなしたうえ、被告山田治子、同山田寿美子は原告山田登志子に対し②の土地につき各三分の一の共有持分の移転登記手続をなし、原告山田登志子、被告山田寿美子は被告山田治子に対し①の土地につき各三分の一の共有持分の移転登記手続をなし、原告山田登志子、被告山田治子は被告山田寿美子に対し③の土地につき各三分の一の共有持分の移転登記手続をなし、かつ、原告山田登志子は差額金として被告山田治子に対し金一〇四万円、同山田寿美子に対し金七二万八〇〇〇円の支払をなすべき義務があることとなる。
(荒井真治)