東京地方裁判所 昭和52年(特わ)1243号 判決 1977年12月26日
本店所在地
東京都台東区千束四丁目一七番一九号
フジ興業有限会社
(右代表者代表取締役大石秀雄)
本店所在地
東京都台東区千束四丁目一七番一九号
有限会社穂高商事
(右代表者取締役草薙さな子)
本店所在地
東京都台東区千束四丁目一七番一九号
毎日商事有限会社
(右代表者取締役宮川啓二)
本籍
静岡県沼津市御幸町九二番地の一
住居
東京都江戸川区西小岩四丁目一番二〇号
千成マンション八〇一号室
会社役員
草薙さな子
大正一三年六月一八日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官五十嵐紀男出席のうえ審理を遂げ、つぎのとおり判決する。
主文
被告会社フジ興業有限会社を罰金六〇〇万円に、同有限会社穂高商事を罰金二〇〇万円に、同毎日商事有限会社を罰金一二〇〇万円に、被告人草薙さな子を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人草薙さな子に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社フジ興業有限会社は、東京都台東区千束四丁目一七番一九号に本店を置き、トルコ風呂の経営を営業目的とする資本金五〇万円の有限会社であり、被告会社有限会社穂高商事は、右同所に本店を置き、トルコ風呂の経営を営業目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告会社毎日商事有限会社(昭和四九年七月二三日以前は大富士興業有限会社、同日以降同年八月二七日までの間は富士見興業有限会社、同日以降昭和五〇年九月一一日までの間は大富士興業有限会社)は、右同所(昭和五二年四月一日以前は福岡県北九州市小倉北区船頭町三番地)に本店を置き、トルコ風呂の経営を営業目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告人草薙さな子は、前記有限会社穂高商事の取締役あるいは前記フジ興業有限会社及び毎日商事有限会社の実質的経営者として、右各会社の業務全般を統括していたものであるが、
第一 被告人草薙は、被告会社フジ興業有限会社の業務に関し法人税を免れようと企て、入浴料収入の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ
一、 昭和四八年五月一日から同四九年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二六、五八六、一四七円あった(別紙(一)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同年六月二七日東京都台東区蔵前二丁目八番一二号所在の所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四〇三、三一七円でこれに対する法人税額が一一二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五二年押第二二五二号の符号二)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額九、五〇七、八〇〇円(税額の算定は別紙(六)の一計算書参照)と右申告税額との差額九、三九五、〇〇〇円を免れ
二、 同昭和四九年五月一日から同五〇年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四四、一四六、一〇五円あった(別紙(二)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同年六月三〇日前記浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、三四〇、五一二円でこれに対する法人税額が九三五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号三)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一六、九三八、四〇〇円(税額の算定は別紙(六)の二計算書参照)と右申告税額との差額一六、〇〇三、二〇〇円を免れ
第二 被告人草薙は、被告会社有限会社穂高商事の業務に関し法人税を免れようと企て、入浴料収入の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、同五〇年三月一一日から同五一年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二四、九五七、三一〇円あった(別紙(三)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同年四月三〇日前記浅草税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が三四六、八七五円で納付すべき法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号四)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額九、一四二、八〇〇円(税額の算定は別紙(六)の三計算書参照)を免れ
第三 被告人草薙は、被告会社毎日商事有限会社の業務に関し法人税を免れようと企て、入浴料収入の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ
一、 同四八年一二月一日から同四九年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四四、〇四五、八二三円あった(別紙(四)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五〇年一月三〇日北九州市小倉北区萩崎町一丁目一〇番地所在の所轄小倉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、七六〇、八六〇円でこれに対する法人税額が四九二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号五のうち)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一六、八九八、〇〇〇円(税額の算定は(六)の四計算書参照)と右申告税額との差額一六、四〇五、二〇〇円を免れ
二、 同四九年一二月一日から同五〇年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七一、八七九、八七三円あった(別紙(五)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五一年一月二四日前記小倉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、二四六、一五三円でこれに対する法人税額が九〇八、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号五のうち)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二七、九一一、六〇〇円(税額の算定は別紙(六)の五計算書参照)と右申告税額との差額二七、〇〇二、八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
第一 判示冒頭事実を含む判示事実全般につき、
一、 被告人草薙さな子の当公判廷における供述並びに大蔵事務官に対する各質問てん末書(二通)及び検察官に対する各供述調書(三通)(乙1ないし5)
一、 猶江俊雄作成の申述書(甲33)並びに猶江俊雄及び扇元吉徳の大蔵事務官に対する各質問てん末書(甲34、36)(判示第一、第二事実)
一、 草薙み江の検察官に対する供述調書(甲29)並びに堀野保代(三通)、森省法及び郡家正治の大蔵事務官に対する各質問てん末書(甲30ないし32、35、37)判示第三事実
一、 登記官作成の登記簿謄本四通(甲1ないし4)(判示冒頭事実)
第二 別紙(一)ないし(五)の各修正貸借対照表掲記の各勘定科目別「過年度金額」、「当期増減金額」欄記載の数額につき、
一、 大蔵事務官作成の現金調査書(甲5、別紙(一)ないし(五)の各<1>)
一、 大蔵事務官作成の預金調査書(甲6、別紙(一)ないし(三)の各<2><3><4>)
一、 大蔵事務官作成の貸付金調査書(甲7、別紙(一)ないし(三)の各<5>)
一、 大蔵事務官作成の有価証券調査書(甲8、別紙(一)ないし(三)の各<6>)
一、 大蔵事務官作成の源泉所得税仮払金調査書(甲9、別紙(一)、(二)の各<7>、別紙(三)の<9>)
一、 大蔵事務官作成の個人収支調査書及び草薙さな子からの借入金調査書(甲10、11、別紙(一)、(二)の各<8>、別紙(三)の<10>)
一、 大蔵事務官作成の(有)元祿勘定調査書(甲12、別紙(一)、(二)の各<9>、別紙(三)の<11>)
一、 大蔵事務官作成の毎日商事(有)勘定、フジ興業(有)勘定及び(有)穂高商事勘定調査書並びにタオル使用量調査書(甲13、14、別紙(一)、(二)の各<10>、別紙(三)の<12>、別紙(四)の<9>、別紙(五)の<7>)
一、 大蔵事務官作成の未払金調査書(甲15、別紙(一)、(二)の各<11>、別紙(三)の<15>、別紙(四)の<10>、別紙(五)の<8>)
一、 大蔵事務官作成の歩合給調査書(甲16、別紙(一)の各<12>、別紙(三)の<16>、別紙(四)の<11>、別紙(五)の<9>)
一、 大蔵事務官作成の未納事業税調査書(甲17、別紙(一)、(二)、(四)の各<13>、別紙(五)の<11>)
一、 大蔵事務官作成の預け金調査書(甲18、別紙(三)の<7>)
一、 大蔵事務官作成のフジ興業から穂高商事への引継調査書(甲19、別紙(三)の<13>)
一、 大蔵事務官作成の未払金(未払費用以外分)調査書(甲20、別紙(三)の<14>)
一、 大蔵事務官作成の預り金調査書(甲21、別紙(三)の<17>、別紙(四)の<12>、別紙(五)の<10>)
一、 大蔵事務官作成の仮払金調査書(甲22、別紙(四)の<4>、別紙(五)の<3>)
一、 大蔵事務官作成の敷金調査書(甲24、別紙(四)の<8>、別紙(五)の<6>)
一、 大蔵事務官作成の損金不算入法人税等調査書(甲25、別紙(四)の<14>、<15>、別紙(五)の<13>)
一、 大蔵事務官作成の給料手当調査書別紙4(甲26、別紙(四)の<16>、別紙(五)の<15>)
一、 大蔵事務官作成の損金不算入退職給与調査書(甲27、別紙(四)の<17>)
一、 大蔵事務官作成の裁判費用調査書(甲28、別紙(五)の<16>)
第三 別紙(一)ないし(五)の各修正貸借対照表掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、
一、 押収にかかる各被告会社の法人税確定申告書計四袋及び同申告書綴一綴(昭和五二年押第二二五二号の符号一ないし五)
(法令の適用)
第一 各被告会社につき、
一、 判示各所為
各法人税法第一六四条第一項、第一五九条
一、 併合罪加重(被告会社有限会社穂高商事関係=判示第二事実を除く。)
各刑法第四五条前段、第四八条第二項
第二 被告人草薙さな子につき、
一、 判示各所為
各法人税第一五九条第一項(所定刑中いずれも懲役刑選択)
一、 併合罪加重
刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情最も重いと認める判示第三の二の罪の刑に法定の加重)
一、 執行猶予
刑法第二五条第一項
(裁判官 半谷恭一)
別紙(一)
修正貸借対照表
フジ興業有限会社
昭和49年4月30日
別紙(二)
修正貸借対照表
フジ興業有限会社
昭和50年4月30日
別紙(三)
修正貸借対照表
有限会社穂高商事
昭和51年2月29日
別紙(四)
修正貸借対照表
毎日商事有限会社
昭和49年11月30日
別紙(五)
修正貸借対照表
毎日商事有限会社
昭和50年11月30日
別紙(六)の一
ほ脱税額計算書
フジ興業有限会社
自 昭和48年5月1日
至 昭和49年4月30日事業年度分
別紙(六)の二
ほ脱税額計算書
フジ興業有限会社
自 昭和49年5月1日
至 昭和50年4月30日事業年度分
別紙(六)の三
ほ脱税額計算書
有限会社穂高商事
自昭和50年3月11日
至昭和51年2月29日事業年度分
別紙(六)の四
ほ脱税額計算書
毎日商事有限会社
自 昭和48年12月1日
至 昭和49年11月30日事業年度分
ほ脱税額計算書
毎日商事有限会社
自 昭和49年12月1日
至 昭和50年11月30日事業年度分