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東京地方裁判所 昭和52年(行ウ)294号 判決 1980年9月03日

原告 植松やよい 外一名

被告 雪谷税務署長

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告ら

1  被告が原告らの相続税について昭和五一年五月二四日付でした更正のうちそれぞれ課税価格一八五万六六二七円、税額五六〇〇円を超える部分を取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決

二  被告

主文と同旨の判決

第二当事者の主張

一  原告らの請求原因

1  原告らが昭和四七年一二月五日死亡した田中すみ(以下「すみ」という。)の相続人としてした相続税の各確定申告及びこれに対して被告がした各更正(以下「本件各更正」という。)の経緯は別表一、二記載のとおりである。

2  しかしながら、本件各更正は以下に述べる理由により違法である。

(一) 原告らは小池与市(通称田中友章。以下「小池」という。)とすみの間の子であるが、すみの死亡に伴う相続(以下「本件相続」という。)に関して、異父兄田中隆久(以下「隆久」という。)及び田中俊久(以下「俊久」という。)を相手方として昭和四八年七月七日東京家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立て(同庁昭和四八年(家イ)第四〇三八号)、右調停事件は昭和四三年九月二〇日確定した判決によりすみと裁判上の離婚をした小池が利害関係人として参加して進められたところ、昭和四九年一二月一八日調停が成立し(以下「本件調停」という。)、これにより、原告らはすみの相続人として別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)のうち別紙図面記載のA部分(以下「A部分」という。)の持分各三分の一宛を取得し、利害関係人小池は財産分与としてA部分の持分三分の一を取得した。

(二) ところで、本件相続開始時に本件土地上にはA部分及び別紙図面記載のB部分(以下「B部分」という。)にまたがつて小池所有の別紙物件目録二記載の建物(以下「本件建物」という。)があり、小池はすみから使用借権の設定を受けていたというべきであるが、本件調停においてもその所有者が小池であることが確認され、かつ本件建物のうちB部分上の部分は収去されることとなつたが、A部分上の部分は本件調停後も存置され、小池はその後A部分上に存置された建物を居宅兼事務所として使用しているのであるから、原告らの取得した持分については右使用借権が付着していたというべきである。

(三) 被告は、右使用借権の経済的価値は零であるとし本件土地を自用地と評価して本件各更正をしたのであるが、右のように評価するのは誤りであつて、使用貸借契約に基づく使用権であつても借地権と同等の評価をすべきである。けだし、第三者が土地を取得する際に更地と使用権の付着した土地とを同一価値とみなすことはないのであり、また、右使用権が借地権であるか使用借権であるかを問わず土地上に建物が存在することに変わりないからである。従つて、原告らが取得した相続財産の価値を算出するに際しては、本件土地の更地価格からこれに借地権割合七割五分を乗じた借地権価格を控除すべきである。

(四) また、使用貸借契約に基づく使用権であつても原告ら主張のように借地権と同等に評価するということは被告側の取扱いによつても認められていたのである。

すなわち、東京国税局内部取扱規程によれば、昭和二二年五月三日から同三三年一二月三一日までの間に夫婦、親子等の特別近親者間において土地の無償借受けがあつた場合には当該土地には借地権の設定があつたものとして扱うこととされているが、このようにある時期を画して行政庁が恣意的に取扱いを変更することは許されないのみならず、小池は昭和三三年中に本件建物の母屋を完成させ入居していたのであるから、右取扱いによつても本件土地には借地権の設定があつたものとみなすべきであり、従つて、原告らも借地権の負担を承継したというべきである。

よつて、原告らは請求の趣旨記載の判決を求める。

二  請求原因に対する被告の認否及び主張

1  請求原因に対する認否

請求原因1の事実は認める。

同2の冒頭の主張は争う。同2(一)の事実は認める。同2(二)の事実のうち、本件相続開始当時本件土地上にA部分及びB部分にまたがつて本件建物があつたこと、本件調停に右建物が小池の所有であることを確認する旨の条項があること、右調停により本件建物のうちB部分の上の部分は収去されることとなつたが、A部分の上の部分は本件調停後も存置され、小池がその後A部分上に存置された建物を居宅兼事務所として使用していること、小池が本件土地を無償で使用していたことは、いずれも認める。同2(三)のうち、被告が小池の有する使用借権の経済的価値は零であるとし本件土地を自用地と評価して本件各更正をしたことは認めるが、主張は争う。同2(四)のうち、原告ら主張のような取扱いがなされていることは認めるが、小池が昭和三三年中に本件建物を完成させたとの点は否認し、主張は争う。

2  被告の主張

本件各更正の課税根拠は次のとおりである。

(一) 本件相続に係る財産とその価額並びにこれを取得した相続人とその相続分及び取得財産の価額は別表三の(1)表記載のとおりであり、同表のうち本件土地の評価額の計算方法は別表四記載のとおりである。なお課税価格の計算上相続財産の価額から控除すべき債務等とその負担者は別表三の(2)表記載のとおりである。これによると原告らが本件相続により取得した財産の総額はそれぞれ五三八万二九三四円であり、課税価格はそれぞれ五三八万二〇〇〇円(千円未満切捨て)、これに対する納付税額は別表五記載のとおりそれぞれ七〇万七五〇〇円となるから、この範囲内でなされた本件各更正には違法はない。

(二) 被告は右計算において本件土地を自用地(土地の所有権を制限する利用権の存しない土地)として評価したものであるが、その根拠は次のとおりである。

(1) 本件土地は、小池がすみと婚姻中から引き続き本件建物の敷地として無償で占有、使用してきたものであるが、本件相続開始時点における小池の右無償使用は、仮りにすみとの契約に基づくものとしても、単なる使用貸借契約に基づく使用権にすぎないと解されるところ、右のような使用貸借契約に基づく土地の使用権は借地法による借地権のように法の手厚い保護の下にある権利ではなく極めて劣弱なものであるため、経済的観点からも借地権のように権利の価額をとらえることはできないのである。従つて、被告が本件土地に対する小池の使用権の価額を零とし本件土地を自用地として評価して本件各更正をしたからといつて何ら違法な点はない。

(2) 東京国税局管内においては、夫婦、親子等の特別の身分上の関係がある者の相互間における居住用建物の所有を目的とした土地の無償借受けについて、原告ら主張のような取扱いがされているのであるが、その理由は次のとおりである。

すなわち、東京国税局管内においては贈与税が創設されたことを契機として、昭和二二年五月三日から同三三年一二月三一日までの間は、右のような親族間において居住用建物の所有を目的とした土地の無償使用があつた場合においては、その土地の無償借受者に対して借地権相当額の利益を受けたものとして贈与税の課税を行なつていた地域があつたが、納税者の感情等を考慮して、昭和三四年一月一日以降は右のような土地の無償借受けがあつた場合当該土地の使用権の価額は零として贈与税の課税は行なわず、当該土地の貸主について相続の開始があつた場合に、その土地の無償借受者が有する使用権の価額を零と評価し当該土地を自用地価額で評価して相続税を課すことにした。そして、前記のような既往における課税上の取扱いとの関連から相続に際しての重複課税を回避するための経過的措置として昭和二二年五月三日から同三三年一二月三一日までの間に土地の無償使用の開始があつたものについては相続の際に当該土地には借地権の制限があるものとして評価することとしたのである。

ところで、本件建物は、昭和三三年一一月にすみ名義で建築確認申請がされ、その後昭和三四年一一月小池の申請により建築主の名義が田中友章に変更されているのであつて、このことからも明らかなように本件建物は少なくとも建設当初はすみの所有であり、昭和三三年中における本件土地の使用者もすみであつた。従つて、本件土地について小池に対しては贈与税を課しておらず、その後も借地権の設定はなかつたのであるから、本件土地を自用地として評価した点に何ら違法はない。

なお、東京国税局管内における土地の無償借受けがあつた場合の課税上の取扱いが昭和三三年以前と同三四年以降とで異なるとしても、右相違は当該土地に対する課税を右使用権の設定時に行なうか、或いは右土地の相続時に自用地価格で評価することにより行なうかによつて生ずるのであつて、何ら違法な点はない。

3  被告の主張に対する原告らの認否及び反論

被告の主張(一)の事実は、本件土地を自用地として評価すべきであるとの点及びこれを自用地であるとしてなされた本件土地の価額の点は争い、その余は土地価額の算出方法及び税額の計算方法を含めすべて認める。

同(二)の(1)の事実中、本件相続開始時小池が本件土地に使用借権を有していたとの点は認めるが、その余は争う。

同(二)の(2)のうち、本件建物について昭和三三年一一月すみ名義で建築確認申請がされたこと、その後小池の申請により右名義が田中友章に変更されたこと及び小池に対して贈与税が課税されていないことは認めるが、本件建物の所有者が建築当初はすみであつたとの点は否認する。本件建物は当初から小池の所有に属するものであり、建築確認申請も本来は小池名義ですべきであつたので、その後錯誤を理由として申請人名義を当時田中友章と称していた小池に変更するよう届出をし、建築確認の建築主も田中友章と訂正されたものである。

第三証拠関係<省略>

理由

一  請求原因1の事実並びに原告らがすみの相続人として相続財産のうち本件土地のA部分の持分各三分の一を取得したこと、小池がその地上に本件建物を所有することによつて本件土地を無償で使用していたこと及び被告が右使用権の経済的価値を零と評価し本件土地を自用地と評価して本件各更正をしたものであつて、かかる評価方法の当否の点を除き本件各更正の根拠として被告の主張する2(一)の事実については、当事者間に争いがない。

二  原告らは使用借権であつても借地権と同等の評価をすべきであつて、原告らが取得した相続財産の価額を算出するに際しては本件土地の更地価格からこれに借地権割合七割五分を乗じた借地権価格を控除すべきであるから、この点において本件各更正は違法である旨主張するので、右主張の当否について検討する。

1  本件建物について昭和三三年一一月すみ名義で建築確認申請がされたが、その後小池の申請により建築主の名義が田中友章に変更されたこと、小池とすみは昭和四三年九月二〇日確定の判決により裁判上の離婚をしたこと、すみは昭和四七年一二月五日死亡したが、その当時本件土地上には小池所有の本件建物があり小池は本件土地を無償で使用していたものであること、本件調停の成立により利害関係人として本件調停に参加していた小池は財産分与として本件土地のうちA部分の持分三分の一を取得し、本件建物の所有者も小池と確認されるとともに本件建物のうちB部分上の部分は収去されることとなつたが、A部分上の部分は存置され、その後小池は右存置された建物を居宅兼事務所として使用していること及び原告らが小池とすみの間の子であることについては当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第一九、二〇号証、乙第一、第二号証及び第六号証の七、原本の存在及び成立に争いのない甲第一、第六及び第一〇号証、証人小池与市の証言によつて真正に成立したと認められる甲第九号証、弁論の全趣旨によつて真正に成立したと認められる乙第八号証の一並びに証人小池与市及び同田中隆久の各証言を合わせると、以下の事実を認めることができる。すなわち、

<1>  昭和三三年一二月には本件建物のうち母屋が完成し、小池、すみ、俊久が入居した。

<2>  昭和三四年一一月二六日付で本件建物の建築確認申請のうち建築主がすみから田中友章に変更されたが、その後も本件建物は未登記のままであつたところ、同三五年五月二四日本件建物建築の請負人である清水岩雄を債権者とする仮差押の登記をするため田中友章名義で本件建物の所有権保存登記がされた(本件建物の建築主がすみから田中友章に変更されたこと自体については当事者間に争いがない。)。

<3>  昭和三五年秋頃すみと不仲になつた小池は本件建物を出、それ以来小池とすみは別居状態を続け、すみは本件建物に間借人を置いて生計の一助としていた。

<4>  昭和三六年三月二二日、小池はすみ、隆久及び俊久を債務者とする本件建物についての占有妨害禁止の仮処分を得たが、右仮処分は結局その実効があがらなかつた。

<5>  昭和四五年小池はすみを相手方として東京家庭裁判所に財産分与の申立てをし財産分与として本件土地の半分を分与するよう要求していたが、右事件が係属中の昭和四七年一二月五日すみは死亡し、昭和四八年七月原告らが隆久及び俊久を相手方として同裁判所に遺産分割の調停を申立て、小池が利害関係人としてこれに参加した(すみが昭和四七年一二月五日死亡したこと及び原告らが遺産分割の調停を申立て、小池が利害関係人として参加したことについては当事者間に争いがない。)。

<6>  右調停事件においてはすみの共同相続人である原告ら及び隆久、俊久が本件土地を平等に分ける方法について主として話合いがされ、小池は本件土地についての自己の使用権についての主張はしておらず、本件土地のうちA部分とB部分とが等価値であるという前提のもとにA部分を原告らが、B部分を隆久及び俊久が共有取得するという案で話合いがまとまりかけた段階になつて小池から本件土地のうちA部分の持分三分の一を同人が取得したいという申入れがされた。

<7>  本件調停の成立により、隆久及び俊久は本件土地のうちB部分を取得し、本件建物のうちB部分上の部分は小池の費用で収去することとされ、一方当事者間に争いのあつた本件建物の所有者が小池であると確認されたほか、当時本件建物の一部を間借りしていた上石省三の立退料一〇〇万円のうち五〇万円は隆久及び俊久が連帯して負担し、残りの五〇万円は原告ら及び小池が連帯して負担することとされ、小池は前記財産分与審判事件を取り下げることとされた。

<8>  原告らは小池とすみが別居した後は小池のもとで養育され、小池とすみの離婚に際しては小池が原告らの親権者と定められた。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

ところで、相続税法第二二条は相続財産の価額は取得時の時価による旨規定しているが、右時価とは課税時期においてそれぞれの財産の現況に応じ不特定多数の当事者間で自由な取引が行なわれる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち客観的な交換価格をいうものと解されるところ、小池が本件土地について有していた使用権は、前記事実関係のもとにおいては使用借権と推認されるところ、使用貸借は通常知人、友人、親族間或いは法人と法人代表者間のような特殊な関係を有する者の間に設定され、当事者間の好意、信頼関係等にその基盤をもつものであるから、通常の経済取引ないしは交換経済とは無縁であり、また、不動産を目的とする使用借権についても法は借地権、借家権のように手厚い保護を与えておらず、ことに不動産の所有権が第三者に移転された場合その第三者に対しては使用借権をもつて対抗することができないのであり、従つて、不動産所有権を制限する程度も借地権、借家権に比し極めて小さいものであるから、相続財産の価額を評価するにあたつて不動産の使用借権をどのように評価すべきかは各場合の具体的な判断によるとしても、借地権、借家権と同等に評価しなければならないものとは到底いえない。そして、財産の評価は課税実務上「相続税財産評価に関する基本通達」によつて統一的に運用されていることは公知の事実であるが、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第九号証の一、二によれば、本件相続開始当時の同通達には、地上権又は借地権が設定されている宅地の評価方法は自用地の価額から地上権又は借地権の価額を控除した金額によつて評価するものとされているが、宅地上に存する利用権として使用借権は掲げられておらず、従つて使用借権には宅地の価額に影響を及ぼす程の経済的価値はないものとして運用されていたことが認められるところ、このような運用は右のような使用借権の性質にも合致し、当該使用借権が借地権にも比すべき経済的価値を有している等特段の事情が存する場合でない限り妥当なものとして是認することができる。本件の場合右争いのない事実及び右認定の事実によれば、小池が本件相続開始当時有していた使用借権が借地権にも比すべき程の経済的価値を有していたとは認められず、他にこれを肯認するに足りる証拠もないから、被告がその経済的価値を零として本件土地を評価したのは相当である。

2  原告らは、東京国税局管内においては昭和二二年五月三日から同三三年一二月三一日までの間に親族間において土地の無償借受けがあつた場合には当該土地には借地権の設定があつたものとして取り扱われているから、本件土地についても右取扱いをすべき旨主張し、被告も右取扱いがされていることを認めるので、この点について検討する。

東京国税局管内においては昭和二二年五月三日から同三三年一二月三一日までの間は夫婦、親子等の特別近親関係者間において居住用建物の所有を目的とした土地の無償借受けがあつた場合にその土地の無償借受者に対しては借地権相当額の利益を受けたものとして贈与税の課税を行なつていた地域があつたが、昭和三四年一月一日以降右のような土地の無償借受けがあつた場合には一律に贈与税を課さず当該土地の貸主について相続の開始があつた場合に当該土地を自用地と評価して相続税を課すこととされたことについては原告らが明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。ところで、原告ら主張の取扱いは右のような課税庁の取扱いの変更に伴つて生ずる重複課税を避けるために行なわれていると解されるのであるが、本件土地の無償借受けについては贈与税が課税されていない(このことについては当事者間に争いがない。)のであるし、前記判示のとおり小池の有する使用借権の経済的価値は零と評価すべきであるから、原告ら主張のような取扱いがされていないからといつて違法な点はないというべきである。

また、原告らは課税庁が昭和三三年以前と同三四年以降とで夫婦、親子等の特別近親者間で土地の無償借受けがあつた場合における取扱いを異にすることは許されない旨主張するが、単に昭和三三年以前と同三四年以降とで課税庁の取扱いが変わつたということだけで本件各更正が違法となるものではないから原告らの主張はそれ自体失当である。

3  以上の次第であるから、本件各更正には原告ら主張の違法事由はないというべきである。

三  よつて、原告らの本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九三条第一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 藤田耕三 原健三郎 北澤晶)

別表一

原告植松やよい分

(単位 円)

区分

年月日

課税価格

納付税額

申告

四八・六・五

一、八五六、〇〇〇

五 六〇〇

更正

五一・五・二四

五、一一七、〇〇〇

六七九、三〇〇

別表二

原告今村富貴子分

(単位 円)

区分

年月日

課税価格

納付税額

申告

四八・六・五

一、八五六、〇〇〇

五、六〇〇

更正

五一・五・二四

五、一一七、〇〇〇

六七九、三〇〇

物件目録、別紙及び別表三~五(省略)

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