大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和53年(レ)156号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一<証拠>を総合すると、次の事実を認めることができ<る。>

1 増築前の本件一の建物と本件増築建物とは、ともに木造建物であるが、増築前の本件一の建物は、その外壁は下見板でおおわれていて屋根は本瓦葺であり、他方、本件増築建物は、その外壁はモルタル塗りで屋根はセメント瓦葺であつて、しかも、棟が異なつているため、外観上は、右両建物は明確に識別できること、

2 しかし、増築前の本件一の建物と本件増築建物とは、内部においては、一、二階ともつながつていて、自由に行き来ができるようになつており、被控訴人は、右両建物を一体として倉庫に使用していること、

3 本件増築建物の柱は、増築前の本件一の建物の柱とは別個に建てられていて、本件増築建物は、その梁や桁等を増築前の本件一の建物にいわゆる「はかせる」ようにして建築されたものではないが、その柱を増築前の本件一の建物の柱に接着して並べて建てることによつて、その強度を補強せしめていること、

4 増築前の本件一の建物は、玄関の部分が建物本体から出つ張り瓦葺の平屋根になつていたが、その入口は道路に面しておらず、わきから入るようになつていたところ、被控訴人が本件増築建物を右玄関部分を包み込むようにして建築したため、本件増築建物の入口が増築前の本件一の建物への入口ともなつていること、

5 本件増築建物には、二階へ通じる階段が一か所存在するが、それは幅の狭いものであるため、その二階を家具類の倉庫として有効に利用するためには、増築前の本件一の建物に存在する階段が必要不可欠であること。

以上の認定事実によれば、本件増築建物は、控訴人の所有である増築前の本件一の建物から構造上も利用上も独立したものではなく、増築前の本件一の建物に従とし附合し、これと一体となつたものと判断できるから、本件一の建物の所有権は、控訴人に帰属したというべきである。

もつとも、<証拠>によると、増築前の本件一の建物と本件増築建物とは、昭和四四年度までは別々に固定資産税の課税対象になつていたこと、そして、右両建物の現況床面積を比較すると、本件増築建物の方が若干広いことが認められるが、しかし、<証拠>によれば、翌四五年度からは、不動産登記簿上右両建物が合棟登記されたことを受けて、一つの課税対象に改められたことが認められ、また、増築部分が既存建物に附合するか否かは、その部分が構造上、利用上の独立性を有するか否かの観点から判断すべきであつて、単に既存建物との規模の大小によつて決せられるべきものではないから、附合についての前記判断を何ら左右するものではない。

(山口和男 山口忍 原優)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!