大判例

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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)3461号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

ところで、民法五七〇条にいわゆる売買目的物の隠れたる瑕疵とは、その物が通常保有する性質を欠いていることをいうのであるが、右目的物が土地である場合、当該土地から公路にいたるまで、自動車で進入できないときには、その土地の利用を、事実上、制限し、その取引価格を引き下げるのであるから、土地の有体的欠陥の一種としての瑕疵と解することができるので、本件通路を本件土地の所有者が、自動車を以つて通行できないのは瑕疵に該るというべきである。しかしながら、前掲乙第二号証の一ないし三、証人玉野三男の証言原告代表者の供述によると、本件通路には、甲州街道の入口に「この道は私道」と表示のある立札が掲げてあるほかに、その舗装は途中で跡切れるのであるが、その跡切れたところに、本件土地の方からの自動車の進入を拒むように、コンクリート・ブロックが置かれ、「ここから車両」とある立札が立つていること、その状況をみて、原告の代表者も、原告に本件土地を仲介した小田静男も、本件通路の通行権について不安を感じているにもかかわらず、この点について、付近の地主、或いは公的機関に疑問を質すようなことをしていないこと、原告は、自らも不動産の分譲等を行なつている業者であるが、ただ漫然と右小田に委せるだけで、それ以上、自ら調査に担るようなことはしていないこと、が認められ、右認定を妨げるような証拠はない。

また、<証拠>によると、原告が本件通路を自動車では進行できないことが、はつきりしてから、被告を訪れ通行権について質したところ、被告は事情を淡々と説明し、殊更に自分の方に手落ちがあると考えているようにはみえなかつたこと、却つて、被告の仲介人である玉野三男は、本件土地には東側に公路に至る通路があるから、本件通路について触れる必要がないと判断していたことを認めることができ、これらの事実からは、被告が故意にこれを隠していたような事情は窺えない。他に、被告が本件通路を利用できる旨請負つていたことを推認させるような証拠はない。

以上の事実によれば、原告側の仲介人である小田には本件通路の通行権について調査不十分の謗りを免れず、原告の営業目的に鑑みると、原告の代表者が安易に右小田の言うことを信じ、また被告が本件通路の通行を請負つたものと信じたことについて、原告には普通になすべき注意を著しく欠いていたということができる。結局本件通路を自動車では通行できないことは、本件土地の瑕疵であるが右瑕疵は民法五七〇条にいう「隠れたる」瑕疵に当るものということはできない。

(畔柳正義)

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