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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)8237号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

1 原告は、昭和四六年八月二三日、訴外会社に対し、一五〇〇万円を、貸渡した。

2 訴外会社は、本件消費貸借契約上の原告の債権を担保するため、同日、原告に対し、訴外会社が被告との間における東京都新宿区歌舞伎町所在今宮ビル(地下一階地上七階建)三、四階(本件建物部分)の賃貸借契約の締結に際し、本件建物部分の明渡を停止条件として返還を受けるべく被告に差し入れた保証金(敷金)のうちの一三〇〇万円の返還請求権につき質権を設定する旨約した。

3 被告と訴外会社とは、本件建物部分の明渡請求訴訟の控訴審において、昭和五一年七月三〇日、次の条項による裁判上の和解を成立させた。

和解条項

(一) 訴外会社及び被告は、両者間に関する本件建物部分の賃貸借契約を本日(昭和五一年七月三〇日)合意解約する。

(二) 訴外会社は、昭和五一年八月二〇日限り本件建物部分から退去して、現状のまま、右建物部分を被告に明け渡す。

(三) 訴外会社が、前項の期限内に本件建物部分内の動産に対して新宿都税事務所及び有限会社愛知畜産のした各差押の解放手続を受けた上、本件建物部分の一括明渡を完了するのと引換えに、被告は訴外会社に対し三〇〇〇万円を訴外会社代理人事務所に持参又は送金して支払う。

(四) 略(告訴の取下)

(五) 被告は、その余の請求を放棄する。

(六) 当事者双方は、本件建物部分の賃貸借契約に関し、本条項に定めるほか、相互に何らの請求をしない。

(七) 当事者双方は、本件に関し、他に何らの債権債務のないことを確認する。

(八) 略(訴訟費用の負担)

【判旨】

以上の事実によると、本件和解条項第六項において、被告は訴外会社に対する未払賃料等の請求権を放棄又は免除し、訴外会社は被告に対し生ずることあるべき敷金返還請求権を放棄又は免除することとして、相互にその債権を消滅させたものと認められるところ、質入れされた債権については、その債権者と債務者との間における債権を消滅させる行為は質権者に対抗できないものであるから、本件において敷金の額が右未払賃料等の額を超える場合においては、質権の設定された一三〇〇万円の限度において質権者である原告に対抗できないものというべきである。

(久保内卓亜)

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