東京地方裁判所 昭和53年(ワ)8888号 判決
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【説明】
原告らは被告との間に成立した土地売買契約を解除したいと主張して、支払済代金の返還を請求するのであるが、被告側として右売買の衝に当つた訴外佐藤が被告の従業員及び代理人でなかつたとしても、被告は、次の理由により売主としての責任があるという(請求原因5項)。
「(一) 訴外佐藤は訴外中里伸一(以下訴外中里という)の被用者及び代理人であり、訴外中里の営業として本件土地を含む土地の販売をなすに当り、被告の商号を用いて、原告らとの間で、本件土地につき前記売買契約をした。
(二) 被告は訴外中里に対し、同訴外人が被告の商号を使用して本件土地等の売買契約をなすことを許諾していた。
(三) 原告らは本件土地の売主が被告であると信じて本件売買契約を締結した。
(四) したがつて被告は本件売買契約について商法二三条による責任を負うべきである。」
【判旨】
二請求原因5について
1 同5(一)の事実について判断するに、前記一2の認定事実からみるならば、訴外佐藤は少くとも訴外中里の代理人として原告らとの間に本件売買契約を締結したものと認めることができる。
2 次に同5(二)について検討するに、<証拠>によれば、原告らと同じく本件分譲地を購入した訴外南部修三(以下訴外南部という)は、売買契約を締結した翌月の九月下旬になつても、当初の約定に反し、同人の購人した土地の登記済証が交付されず、また右土地について造成工事もなされなかつたことから不安となり、そのころ、本件分譲が真実被告の関与のもとになされたものか否かを確認するため、被告本社の電話番号を調査のうえ直接被告に対し電話をしたところ、当時被告の取締役として被告代表者の職務を代行し、現在被告の代表取締役である田村利男がその応対に出て、「被告が市川市曽谷の山を売りに出しているが、その件については担当者である訴外中里にすべてを任せてある。」旨述べたことが認められる。
右事実によると、被告は少くとも訴外中里らが本件分譲地を販売することを知り、また右販売にあたつては訴外中里に対し被告の商号を使用することを予め許諾していたものと推認することが可能である。<中略>
そして本件においては、他に、被告の商号の使用許諾に関する前記推認に係る事実を覆すに足りる証拠はない。
3 同5(三)の事実については、原告佐藤文雄本人尋問の結果によると、原告が本件売買契約を締結するにあたつて本件土地の売主が被告であるものと信じ、その点について全く疑いを有していなかつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
4 そうであれば、被告は訴外中里に対し被告の商号を使用して営業をなすことを許諾したものとして、被告を本件土地の売主と誤信した原告らに対し、本件売買契約の解除に基づく本件売買代金の返還債務について訴外中里と連帯して責を負うものというべきである。
(川上正俊 持本健司 林圭介)