大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和53年(特わ)2024号 判決

右被告会社有限会社大陽商事、同大陽観光株式会社、同大陽興業株式会社に対する各法人税法違反、被告人蒔田一之に対する法人税法違反、所得税法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官検事乙部二郎出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社有限会社大陽商事を罰金五〇〇万円に、同大陽観光株式会社を罰金三〇〇万円に、同大陽興業株式会社を罰金一〇〇万円に、被告人蒔田一之を懲役一年及び罰金二五〇万円にそれぞれ処する。

被告人蒔田一之が右罰金を完納することができないときは、金二万五、〇〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人蒔田一之に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社大陽商事は、東京都中野区中野五丁目六二番六号に本店を置き、キヤバレーの経営等を目的とする資本金九〇〇万円の有限会社であり、被告会社大陽観光株式会社は、同都品川区東五反田一丁目一二番九号に本店を置き、キヤバレーの経営等を目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告会社大陽興業株式会社は、同都大田区蒲田五丁目二二番四号に本店を置き、キヤバレーの経営等を目的とする資本金二、〇〇〇万円(昭和五一年六月一六日以前は一、〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人蒔田一之は、右有限会社大陽商事及び大陽興業株式会社の代表取締役並びに右大陽観光株式会社の実質的経営者(昭和五一年八月一二日以降は代表取締役)として右各被告会社の業務全般を統括するとともに、同都大田区蒲田五丁目二二番四号において、「蒲田ヤングヤング一号店」という名称でキヤバレーを経営しているものであるが、

第一  被告人蒔田は、被告会社有限会社大陽商事の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

一  昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一、五六八万二、九四七円あつた(別紙(一)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年一二月一日、東京都中野区中野四丁目九番一五号所在の所轄中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九二万九八一円でこれに対する法人税額が八一万七、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五四三万二、八〇〇円(税額の算定は別紙(六)の一計算書参照)と右申告税額との差額四六一万五、二〇〇円を免れ、

二  昭和五〇年一〇月一日から同五一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四、六一二万一、七〇五円あつた(別紙(二)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年一一月三〇日、前記中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六三一万七、四三九円でこれに対する法人税額が一七六万八、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一、七六〇万八、四〇〇円(税額の算定は別紙(六)の二計算書参照)と右申告税額との差額一、五八三万九、七〇〇円を免れ、

第二  被告人蒔田は、被告会社大陽観光株式会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三、四二四万四、六二二円あつた(別紙(三)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年五月三一日、東京都港区高輪三丁目一三番二二号所在の所轄品川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二七四万五、七八〇円でこれに対する法人税額が七五万九、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一、二八四万八、五〇〇円(税額の算定は別紙(六)の三計算書参照)と右申告税額との差額一、二〇八万九、〇〇〇円を免れ、

第三  被告人蒔田は、被告会社大陽興業株式会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年六月一日から同五一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一、五七三万九、〇六九円あつた(別紙(四)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月三一日、東京都大田区蒲田本町二丁目一番二二号所在の所轄蒲田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五七万八、三〇六円でこれに対する法人税額が七二万一、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五四五万五、六〇〇円(税額の算定は別紙(六)の四計算書参照)と右申告税額との差額四七三万三、八〇〇円を免れ、

第四  被告人蒔田は、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年分の実際総所得金額が三、〇五六万九、〇六六円あつた(別紙(五)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五一年二月二六日、前記蒲田税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が六三五万四、四八七円でこれに対する所得税額が四七万五、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額一、二〇四万九、八〇〇円(税額の算定は別紙(六)の五計算書参照)と右申告税額との差額一、一五七万三、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

第一  判示冒頭事実を含む判示事実全般につき、

一  被告人の当公判廷における供述並びに大蔵事務官に対する申述書(乙4、修正申告書添付)及び検察官に対する供述調書三通(乙5ないし7)

一  登記官作成の登記簿謄本三通(甲一1、3、4)及び閉鎖登記簿謄本(甲一2)

第二  別紙(一)ないし(五)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄記載の数額のうち

(イ)  売上(各<1>)、現場払経費((一)ないし(四)<2>、(五)<3>)につき、

一 大蔵事務官作成の売上金調査書(甲一5)

(ロ)  期首たな卸商品((三)(四)<3>、(五)<4>)、期末たな卸商品((五)<6>)につき、

一 大蔵事務官作成の商品調査書(甲一6)

(ハ)  仕入((一)ないし(四)<4>)、福利厚生費((一)(二)<12>)、家賃貸借料((一)(二)<14>、(三)(四)<11><12>)、交際接待費((一)<20>、(二)<18>)、消耗品費((一)<22>、(二)<19>)、消耗什備費((一)<26>、(二)<24>)、募集費((一)<29>、(二)<27>、(三)(四)<26>)、修繕費((一)<33>、(二)<31>、(三)<30>)、料理飲食税((二)<8>)、労務管理費((二)<11>)、賄費((二)<13>)、水道光熱費((二)<15>、(四)<13>)、通信費((二)<16>)、旅費交通費((二)<17>)、管理費((二)<20>)、公租公課((二)<21>)、衛生費((二)<22>)、顧客サービス費((二)<23>、事務用品費((二)<25>)、広告宣伝費((二)<26>)、新聞図書費((二)<28>)、運搬費((二)<29>)、保険料((二)<30>)、研修費(二<32>)、装飾費((二)<33>)、雑費((二)<35>)につき、

一 大蔵事務官作成の簿外経費等調査書(甲一7)、経費調査書(甲一8)、募集費調査書(甲一9)、「大陽興業(株)51/5期の募集費の金額について」と題する調査報告書(甲一36)

(ニ)  ホステス報酬((一)ないし(四)<6>、(五)<7>)、現場給料((一)ないし(五)各<7>)、給料手当((一)ないし(四)<10>、(五)<9>)、役員報酬((三)(四)<9>)、雑収入((二)<39>)、役員賞与損金不算入((三)<40>、(四)<43>)につき、

一 大蔵事務官作成の簿外ホステス報酬、現場給料、本社分共通給料調査書(甲一10)、役員報酬、本社従業員給料、現場給料、ホステス報酬、雑収入調査書(甲一11)、賞与調査書(甲一12)、簿外給料及び預り金調査書(甲一13)

(ホ)  その他経費((一)(二)<36>、(三)(四)<33>、(五)<22>)につき、

一 大蔵事務官作成のその他の簿外経費調査書(甲一14)

(ヘ)  減価償却費((一)(二)<37>、五<23>)、造作、什器備品除却損(四<45>)につき、

一 大蔵事務官作成の造作調書(甲一15)、什器備品調査書(甲一16)、車輛調査書(甲一17)、冷暖房設備調査書(甲一35)

(ト)  受取利息((一)(二)<38>、(三)(四)<35>)につき、

一 大蔵事務官作成の受取利息調査書(甲一18)

(チ)  支払利息((一)(二)<40>、(三)<37>、(五)<24>)につき、

一 大蔵事務官作成の借入金及び支払利息調査書(甲一19)、蒲田店経費調査書(甲一25)

(リ)  創業費償却((三)(四)<38>)につき、

一 大蔵事務官作成の創業費償却及び開店費用調査書(甲一20)

(ヌ)  手数料((四)<31>)、礼金償却費((四)<44>)につき、

一 大蔵事務官作成の支払手数料及び礼金償却費調査書(甲一21)

(ル)  事業税認定損((一)<46>、(二)<43>、(三)<39>)につき、

一 検察事務官作成の「未納事業税額について」と題する捜査報告書(甲一22)

一 大蔵事務官作成の「大陽観光(株)の昭和五〇年三月三一日決算期の所得金額の変更について」と題する調査報告書(甲一23)

(ヲ)  雑収入((五)<2>)につき、

一 大蔵事務官作成の雑収入調査書(甲一24)

(ワ)  被告人蒔田一之関係の仕入((五)<5>)、料理飲食税((五)<8>)、家賃((五)<10>)、水道光熱費((五)<11>)交際接待費((五)<12>)、消耗品費((五)<13>)、衛生費((五)<14>)、消耗什備費((五)<15>)、広告宣伝費((五)<16>)、募集費((五)<17>)、図書印刷費((五)<18>)、運搬費((五)<19>)、雑費((五)<20>)につき、

一 大蔵事務官作成の蒲田店経費調査書(甲一25)

(カ)  同右の日払経費((五)<21>)につき、

一 大蔵事務官作成の50年分蒲田店における現金払経費算定調査書(甲一26)

(ヨ)  欠損金又は災害損失金の当期控除額((一)<45>、(三)<43>、(四)<42>)につき、

一 後記「公表金額」欄の関係証拠

一 大蔵事務官作成の「大陽興業(株)50/5期の所得金額について」と題する調査報告書(甲一37)

一 検察事務官作成の「未納事業税額について」と題する捜査報告書(甲一22)

第三  別紙(一)ないし(五)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、

一  押収にかかる(有)大陽商事50/9期、51/9期、大陽観光(株)51/3期、大陽興業(株)51/5期各法人税確定申告書各一綴(昭和五三年押第一五九九号の符号1ないし4)、蒔田一之の50年分所得税確定申告書一葉(前同号の符号5)

(法令の適用)

一  判示第一の一、二、第二、第三の各所為

各法人税法第一五九条、第一六四条第一項

一  判示第四の所為

所得税法第二三八条

一  刑の選択(被告人蒔田一之につき)

所定刑中各併科刑

一  併合罪加重

(イ)  被告会社有限会社大陽商事につき、

刑法第四五条前段、第四八条第二項

(ロ)  被告人蒔田一之につき、

刑法第四五条前段、懲役刑につき第四七条本文、第一〇条(犯情最も重いと認める判示第一の二の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき第四八条第二項

一  労役場留置(被告人蒔田一之の罰金刑につき)、

刑法第一八条

一  執行猶予(被告人蒔田一之の懲役刑につき)

刑法第二五条第一項

(裁判官 半谷恭一)

別紙(一) 修正損益計算書

有限会社 大陽商事

自 昭和49年10月1日

至 昭和50年9月30日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

有限会社 大陽商事

自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三) 修正損益計算書

大陽興業株式会社

自 昭和50年4月1日

至 昭和51年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(四) 修正損益計算書

大陽興業株式会社

自 昭和50年6月1日

至 昭和51年5月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(五) 修正損益計算書

蒔田一之

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(六) ほ脱税額計算書(単位円)

一、有限会社 大陽商事

自 昭和49年10月1日

至 昭和50年9月30日

<省略>

二、自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日

<省略>

別紙(六) ほ脱税額計算書(単位円)

三、会社名 大陽観光株式会社

自 昭和50年4月1日

至 昭和51年3月31日

<省略>

四、会社名 大陽興業株式会社

自 昭和50年6月1日

至 昭和51年5月31日

<省略>

別紙(六) ほ脱税額計算書(単位円)

五、 昭和50年分 蒔田一之

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!