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東京地方裁判所 昭和53年(特わ)384号 判決 1978年6月16日

被告人 本籍

石川県小松市龍助町五二番地

住居

東京都品川区東五反田五丁目二五番一〇号

職業

医師

徳山倶康

昭和四年一二月一〇日生

右被告人に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官五十嵐紀男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月および罰金六〇〇万円に処する。

右罰金に完納することができないときは、金三万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都足立区東綾瀬一丁目六番六号において「徳山産婦人科医院」の名称で医業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、診療収入の一部を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四九年分の実際所得金額が二七、八七六、一八二円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五〇年三月一五日、同都同区千住旭町四番二一号所在の所轄足立税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が八、五七七、一一一円でこれに対する所得税額が一、三五三、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一一、一一九、五〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額九、七六五、七〇〇円を免れ、

第二、昭和五〇年分の実際総所得金額が四四、三五五、五七三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五一年三月一三日、前記足立税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が一一、七八八、五一一円でこれに対する所得税額が二、一七五、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を従過させ、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二〇、一八二、九〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額一八、〇〇七、九〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実及び全般にわたり(甲、乙各番号は検察官請求番号を示す)

一、被告人の当公判廷における供述

一、収税官吏の被告人に対する各質問てん末書(二九通)(乙1ないし29)

一、被告人の検察官に対する各供述調書(二通)(乙30、31)

一、徳山勢津子の検察官に対する供述調書(甲38)

一、押収してある自由診療メモ等一袋(当庁昭和五三年押第七九七号符三)

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲35)

一、収税官吏杉元龍太郎作成の調査書(甲37)

判示第一、第二の各事実添付別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の各数額につき

(事業所得(昭和四九年分・昭和五〇年分))

<保険料収入につき>

一、収税官吏大木作成の調査書(甲1)

<自由診療収入につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲2)

一、同じく調査書(甲3)

一、同じく調査書(甲4)

一、同じく調査書(甲5)

<雑収入につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲6)

一、検察事務官佐野周二作成の報告書(甲7)

<期首棚卸高・期末棚卸高につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲8)

一、収税官吏の被告人に対する昭和五二年九月二三日付質問てん末書(乙23)

一、被告人の検察官に対する昭和五三年二月二一日付供述調書(乙30)

<収入につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲9)

一、徳山勢津子の検察官に対する供述調書(甲38)

<給与につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲10)

<代診料につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲11)

<広告宣伝費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲12)

<検査料につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲13)

<水道光熱費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲14)

<通信費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲15)

一、検察事務官佐野周二作成の報告書(甲7)

<交通費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲16)

<交際費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲17)

<諸会費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲18)

<学会参加費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲19)

<修繕費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲20)

<支払保険料につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲21)

<手数料につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲22)

<賄費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲23)

<図書費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲24)

<消耗品費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲25)

<雑費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲26)

<租税公課につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲27)

<賃借料につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲28)

<支払利息につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲29)

<減価償却費につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲30)

一、同じく調査書(甲31)

一、同じく調査書(甲32)

<貸倒損失(昭和四九年分のみ)につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲33)

(利子所得(昭和五〇年分のみ)につき)

<利子収入につき>

一、収税官吏大木茂作成の調査書(甲34)

一、同じく調査書(甲36)

各修正損益計算書記載の公表金額並びに過少申告の事実につき

一、押収してある被告人の昭和四九年分、昭和五〇年分各所得税確定申告書(当庁昭和五三年押第七九七号符一、二)

(租税特別措置法二六条経費差額昭和四九年分三一九、六〇五円、昭和五〇年分五、三九六、一三六円の計算内容につき)

別紙(四)措置法二六条経費差額計算書のとおり

(法令の適用)

判示の各所為は、いずれも所得税法二三八条に額当するところ、所定刑中いずれも懲役刑と罰金刑を併科する。以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で主文の刑に処し、罰金刑の換刑処分については同法一八条を、懲役刑の執行猶予については同法二五条一項をそれぞれ適用する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤智)

別紙(一) 修正損益計算書

徳山倶康

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

<省略>

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

徳山倶康

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

別紙(三) ほ脱税額計算書

昭和49年

<省略>

昭和50年

<省略>

別紙(四) 措置法26条経費差額計算書

<省略>

(注)1. <10>自由診療分の経費算出過程は、<2>/<3>の少数点第6位以下を切捨て、これに0.85を乗じて少数点第4位以下を4捨5入し、これに<9>を乗じた。

2. 上記の0.85は、必要経費の自由診療と社会保険診療への配分に当り、自由診療割合を算出するための調整率であり、医師の場合85%、歯科医師の場合75%である。

措置法26条経費差額計算書

右欄<8>その他の経費

<省略>

(注)租税公課50年分は、事業税17,250円を除外した金額である(地方税法第72条の17第1項参照)。

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