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東京地方裁判所 昭和53年(特わ)67号 判決 1978年7月07日

本籍

東京都武蔵野市吉祥寺本町一丁目二、一一五番地

住居

同都同市吉祥寺本町一丁目二四番六号

職業

会社役員

木村四郎雄

大正八年二月九日生

本籍

東京都武蔵野市吉祥寺本町一丁目二、一一五番地

住居

同都同市吉祥寺本町一丁目二四番六号

職業

会社役員

木村基子

大正九年二月二二日生

右両名に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官五十嵐紀男出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人木村四郎雄を懲役一年及び罰金一、三〇〇万円に、同木村基子を懲役八月及び罰金七〇〇万円にそれぞれ処する。

被告人らにおいて右各罰金を完納することができないときは、各金五万円を一日に換算した期間、当該被告人を労役場に留置する。

被告人両名に対し、この裁判確定の日から各三年間、右各懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人木村四郎雄は、東京都武蔵野市吉祥寺本町一丁目二四番六号において「東口一休ホテル」、「サパークラブ城」、同都武蔵野市御殿山一丁目三番五号において「ホテル井の頭」及び同都武蔵野市吉祥寺本町一丁目一六六号において「純喫茶クラウン」の名称で旅館、飲食業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ、

一、昭和四九年分の実際総所得金額が三四、九三〇、七六五円あった(別紙(一)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五〇年三月一五日、同都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号所在の所轄武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が一、六五〇、〇〇〇円でこれに対する所得税額一〇六、二〇〇円と木村敏雄名義で申告した税額三九、八〇〇円の合計額一四六、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一五、七二四、八〇〇円(税額の計算は別紙(七)の一計算書参照)と右申告税額及び木村敏雄名義による申告税額の合計額との差額一五、五七八、八〇〇円を免れ

二、昭和五〇年分の実際総所得金額が四三、七六〇、三九八円あった(別紙(二)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五一年三月一五日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が三、〇二五、四五三円でこれに対する所得税額二八四、九六〇円及び租税特別措置法第二五条の二第二項第一号(みなし法人課税を選択した場合の課税の特例)を適用したみなし法人所得税額四九六、四〇七円の計七八一、三〇〇円と木村敏雄名義で申告した税額一九九、九〇〇円の合計額九八一、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二〇、六一一、八〇〇円(税額の計算は別紙(七)の二計算書参照)と右申告税額及び木村敏雄名義による申告税額の合計額との差額一九、六三〇、六〇〇円を免れ、

三、昭和五一年分の実際総所得金額が四〇、三〇三、五八八円あった(別紙(三)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五二年三月一四日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が一、五八七、一三三円でこれに対する所得税額七八、八八七円及び租税特別措置法第二五条の二第二項第一号(みなゑ法人課税を選択した場合の課税の特例)を適用したみなし法人所得税額一八、九六五円の計九七、八〇〇円と木村敏雄名義で申告した税額一九九、九〇〇円の合計額二九七、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一八、三七九、〇〇〇円(税額の計算は別紙(七)の三計算書参照)と右申告税額及び木村敏雄名義による申告税額の合計額との差額一八、〇八一、三〇〇円を免れ、

第二  被告人木村基子は、東京都武蔵野市吉祥寺南町一丁目九番八号において、「南口一休ホテル」の名称で旅館業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ、

一、昭和四九年分の実際総所得金額が二二、七三一、三五八円あった(別紙(四)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五〇年三月一四日、同都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号所在の所轄武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が七、一二三、九五四円でこれに対する所得税額が一、四九九、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額八、九七三、九〇〇円(税額の計算は別紙(七)の四計算書参照)と右申告税額との差額七、四七四、七〇〇円を免れ、

二、昭和五〇年分の実際総所得金額が二六、一三四、六九一円あった(別紙(五)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五一年三月一五日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が六、一九一、六四三円でこれに対する所得金額が一、〇九五、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一〇、四三七、三〇〇円(税額の計算は別紙(七)の五計算書参照)と右申告税額との差額九、三四二、二〇〇円を免れ、

三、昭和五一年分の実際総所得金額が三〇、七八九、六八三円あった(別紙(六)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五二年三月一四日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が七、二九八、一一九円でこれに対する所得税額が一、四二九、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一三、〇一〇、二〇〇円(税額の計算は別紙(七)の六計算書参照)と右申告税額との差額一一、五八〇、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

第一  判示事実全般につき、

一、被告人両名の当公判廷における各供述

一、被告人木村基子の検察官に対する供述調書(乙18)及び大蔵事務官に対する昭和五二年五月二七日付、同年七月一四日付、同年九月二九日付、同月三〇日付、同年一〇月一七日付各質問てん末書(乙10ないし14)

一、金崎義徳の検察官に対する供述調書(甲6)及び大蔵事務官に対する質問てん末書五通(甲1ないし5)

第二  判示第一(冒頭部分)及び第一の一ないし三の各事実につき、

一、被告人木村四郎雄の検察官に対する供述調書(乙9)及び大蔵事務官に対する質問てん末書八通(乙1ないし8)

一、木村敏雄の検察官に対する供述調書(甲7)

第三  別紙(一)ないし(三)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄又は「差引修正金額」欄記載の数額のうち、

(事業所得)

(イ)  売上(各<1>)、雑収入(各<2>)、仕入(各<4>)、租税公課(各<6>)、旅費交通費(各<8>)、損害保険料(各<12>)、給料賃金(各<17>)、地代家賃(各<19>)、事務費((一)<20>、(二)<21>、(三)<22>)、組合費((一)<21>、(二)(三)<20>)、衛生費((一)(二)<22>、(三)<21>)につき、

一、大蔵事務官作成の金銭出納簿仕訳合計表(損益)(甲8)

(ロ)  水道光熱費(各<7>)、通信費(各<9>)、広告宣伝費(各<10>)、接待交際費(各<11>)、修繕費(各<13>)、消耗品費(各<14>)、減価償却費(各<15>)、福利厚生費(各<16>)、利子割引料(各<18>)、募集費((一)<23>)、雑費((一)<25>、(二)(三)<23>)につき、

一、前掲甲8

一、大蔵事務官作成の検察官に対する回答書(甲9)

(ハ)  除却損((一)<24>)につき、

一、前掲甲8

一、大蔵事務官作成の純喫茶クラウン建物等除却損計算書(甲10)

(ニ)  みなし法人課税による給与((一)<27>、(二)(三)<25>)、みなし法人課税によるみなし法人損失額及び所得額((一)<28>、(二)(三)<26>)につき、

一、武蔵野税務署長作成の証明書(甲18)

(不動産所得)

(イ)  不動産収入(各<1>)、整地料((二)<2>)につき、

一、前掲甲8

(ロ)  減価償却費((二)<3>、(三)<2>)につき、

一、前掲甲8

一、大蔵事務官作成の建物減価償却費調査書(甲11)

(給与所得)

(イ)  みなし法人課税による給与収入(各<1>)、給与所得控除(各<2>)につき、

一、前掲甲18

(雑所得)

(イ)  給付ほてん備金(各<1>)につき、

一、大蔵事務官作成の預金・受取利息調査書(甲12)

(配当所得)

(イ)  みなし法人の配当((二)(三)<1>)につき、

一、前掲甲18

第四 別紙(一)ないし(三)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び被告人木村四郎雄の過少申告の事実につき、

一、押収にかかる被告人木村四郎雄名義及び木村敏雄名義の各年分の所得税確定申告書計六袋(昭和五三年押第五七六号の符号一ないし六)並びに各年分の所得税青色申告決算書計三袋(前同号の符号七ないし九)

第五 判示第二(冒頭部分)及び第二の一ないし三の各事実につき、

一、被告人木村基子の大蔵事務官に対する昭和五二年一一月四日付、同月一五日付、同月二四日付各質問てん末書(乙15ないし17)

第六 別紙(四)ないし(六)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄又は「差引修正金額」欄記載の数額のうち、

(事業所得)

(イ)  売上(各<1>)、雑収入(各<2>)につき、

一、大蔵事務官作成の南口一休ホテル売上調査書(甲13)

(ロ)  仕入((四)<3>、(五)(六)<4>)、租税公課((四)<4>、(五)(六)<6>)、水道光熱費((四)<5>、(五)(六)<7>)、旅費交通費((四)<6>、(五)(六)<8>)、通信費((四)<7>、(五)(六)<9>)、広告宣伝費((四)<8>、(五)(六)<10>)、損害保険料((四)<10>、(五)(六)<12>)、修繕費((四)<11>、(五)(六)<13>)、消耗品費((四)<12>、(五)(六)<14>)、福利厚生費((四)<14>、(五)(六)<16>)、給料賃金((四)<15>、(五)(六)<17>)、地代家賃((四)<17>、(五)(六)<19>)、諸会費((四)<18>、(五)(六)<22>)、衛生費((四)<21>、(五)(六)<24>)、雑費((四)<24>、(五)<27>、(六)<25>)につき、

一、大蔵事務官作成の南口一休ホテル経費調査書(甲14)

(ハ)  接待交際費((四)<9>、(五)(六)<11>)、事務消耗品費((四)<19>、(五)(六)<20>)、新聞図書費((四)<20>、(五)(六)<21>)、報酬((四)<22>)賄費((四)<23>、(五)<25>)、燃料費((五)(六)<23>)につき、

一、大蔵事務官作成の検察官に対する回答書(甲15)

(ニ)  減価償却費((四)<13>、(五)(六)<15>)につき、

一、大蔵事務官作成の南口一休ホテル固定資産、減価償却費調査書(甲16)

(ホ)  利子割引料((四)<16>、(五)(六)<18>)につき、

一、大蔵事務官作成の借入金、支払利息調査書(甲17)

(ヘ)  青色申告控除額((四)<25>、(五)<28>、(六)<26>)につき、

一、武蔵野税務署長作成の証明書(甲19)

(雑所得)

(イ)  給付ほてん備金(各<1>)につき、

一、前掲甲12

第七 別紙(四)ないし(六)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び被告人木村基子の過少申告の事実につき、

一、押収にかかる被告人木村基子名義の各年分の所得税確定申告書計三袋(前同号の符号一〇ないし一二)及び各年分の所得税青色申告決算書計三袋(前同号の符号一三ないし一五)

(法令の適用)

一、判示各所為

各所得税法第二三八条第一項、第二項(いずれも併科刑選択)

一、併合罪加重

刑法第四五条前段、懲役刑につき第四七条本文、第一〇条(被告人木村四郎雄につき犯情最も重いと認める判示第一の二の罪の刑、被告人木村基子につき同じく判示第二の三の罪の刑にそれぞれ法定の加重)、罰金刑につき第四八条第二項

一、労役場留置

各刑法第一八条

一、懲役刑の執行猶予

各刑法第二五条第一項

(裁判官 半谷恭一)

(注) 木村四郎雄は控訴

別紙(一)

修正損益計算書

木村四郎雄

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

木村四郎雄

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

木村四郎雄

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(四)

修正損益計算書

木村基子

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

<省略>

<省略>

別紙(五)

修正損益計算書

木村基子

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

別紙(六)

修正損益計算書

木村基子

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

<省略>

別紙(七)の一

ほ脱税額計算書

木村四郎雄

(昭和49年分)

<省略>

別紙(七)の二

ほ脱税額計算書

木村四郎雄

(昭和50年分)

<省略>

別紙(七)の三

ほ脱税額計算書

木村四郎雄

(昭和51年分)

<省略>

別紙(七)の四

ほ脱税額計算書

木村基子

(昭和49年分)

<省略>

別紙(七)の五

ほ脱税額計算書

木村基子

(昭和50年分)

<省略>

別紙(七)の六

ほ脱税額計算書

木村基子

(昭和51年分)

<省略>

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