東京地方裁判所 昭和54年(刑わ)351号 判決 1979年3月27日
主文
被告人を懲役八月に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は
第一 公安委員会の運転免許を受けないで(運転免許の効力停止中)、昭和五三年一〇月一八日午前零時三〇分ころ、東京都目黒区駒場四丁目一番付近道路において、普通乗用自動車を運転し
第二 前記日時ころ、前同所において、警視庁第二交通機動隊勤務巡査小山国治から無免許運転の取締りを受けた際、公安委員会の運転免許を有する花村貞夫の氏名を詐称して自己の道路交通法違反(無免許運転)の刑責を免れようと企て、同巡査に対して氏名を「花村貞夫」と詐称し、同巡査が道路交通法違反(免許証不携帯)の交通事件原票一通(昭和五四年押第四二一号符号1)を作成するにあたり、行使の目的をもつて、ほしいままに、右交通事件原票中の、道路交通法違反現認報告書記載のとおり違反したことに相違ない旨記載のある「供述書」欄の末尾に「花村貞夫」と冒書し、もつて、事実証明に関する私文書一通を偽造し、これをその場で同巡査に対しあたかも真正に成立したもののように装い提出して行使し
たものである。
(証拠の標目)(省略)
(法令の適用)
罰条
判示第一の所為につき 道路交通法六四条、一一八条一項一号(昭和五三年法律第五三号による改正前のもの)
判示第二の所為中
有印私文書偽造の点につき 刑法一五九条一項
偽造私文書行使の点につき 刑法一六一条一項、一五九条一項
科刑上一罪の処理
判示第二につき刑法五四条一項後段、一〇条(犯情の重い偽造私文書行使罪の刑で処断)
刑の選択
判示第一の罪につき懲役刑
併合罪加重
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四七条但書(重い判示第二の偽造私文書行使罪の刑に法定の加重)
(公判出席検察官宮下巖、求刑懲役一年)