東京地方裁判所 昭和54年(特わ)133号 判決 1979年4月06日
本店所在地
東京都豊島区南池袋一丁目一七番三号
ハンドーザー工業株式会社
(右代表者代表取締役 廣川昌)
本籍
新潟県燕市秋葉町二丁目五二二三番地
住居
埼玉県上福岡市大字中福岡一二三〇番地の一
会社役員
廣川昌(サカエ)
昭和九年四月一二日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官五十嵐紀男出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人ハンドーザー工業株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人廣川昌を懲役一年二月にそれぞれ処する。
被告人廣川昌に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人ハンドーザー工業株式会社(以下「被告会社」という。)は、肩書地に本店を置き、土木建設の機械並びに資材の製造及び販売等を目的とする資本金三五〇〇万円の株式会社であり、被告人廣川昌(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入、架空給与の計上及びたな卸の除外などをして簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八四八六万八七九〇円あった(別紙(一)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同五一年三月一日、東京都豊島区西池袋三丁目三三番二二号所在の所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五一四万六六三七円でこれに対する法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五四年押第四五七号の符号一)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二九六七万〇六〇〇円(税額の算定は別紙(四)の一計算書参照)を免れ、
第二 昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九五五七万七一六七円あった(別紙(二)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同五二年三月三一日、前記豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二五〇万二五三五円でこれに対する法人税額が五八二万七七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号三)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三五〇二万四五〇〇円(税額の算定は別紙(四)の二計算書参照)と右申告税額との差額二九一九万六八〇〇円を免れ、
第三 昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六〇二七万三五四一円あった(別紙(三)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同五三年三月三一日、前記豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七三七〇万二七三三円でこれに対する法人税額が二六〇二万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号四)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額六〇四七万四八〇〇円(税額の算定は別紙(四)の三計算参照)と右申告税額との差額三四四四万九二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
第一 判示冒頭事実を含む判示事実全般につき、
一 被告人の当公判廷における供述並びに大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書(乙1、2)
一 金子謙二の検察官に対する供述調書(甲一31)
一 登記官作成の登記簿謄本(甲一32)
第二 別紙(一)ないし(三)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄記載の数額のうち、
(イ) 期首棚卸高((一)<2>、(二)(三)<3>)、期末棚卸高((一)(三)<5>、(二)<6>)につき、
一 大蔵事務官作成の昭和四九年度分ないし昭和五二年度分たな卸調査書四通(甲一1ないし4)
(ロ) 当期仕入高((一)<3>、(二)(三)<4>)につき、
一 大蔵事務官作成の架空仕入、買掛金、支払手形調査書及び実際取引のある取引先に計上した架空仕入調査書(甲一5、6)
(ハ) 給料手当((一)<8>、(二)<7>、(三)<6>)につき、
一 大蔵事務官作成の架空給料手当の明細調査書及び簿外給料手当調査書(甲一7、8)
(ニ) 福利厚生費((一)<10>、(二)<9>、(三)<8>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外福利厚生費調査書(甲一9)
(ホ) 交際接待費((一)<14>、(二)<10>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外交際接待費調査書(甲一10)
(ヘ) 租税公課((一)<17>、(二)<12>、(三)<11>)につき、
一 大蔵事務官作成の定期預金にかかる受取利息調査書(甲一11)
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲一35)
(ト) 旅費交通費((一)<18>、(二)<13>、(三)<12>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外旅費交通費調査書(甲一12)
(チ) 通信費((二)<14>、(三)<13>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外通信費調査書(甲一13)
(リ) 受取利息((一)<35>、(二)<28>、(三)<27>)につき、
一 前掲甲一11
一 大蔵事務官作成の簿外受取利息調査書及び簿外預貯金の各期末残高と受取利息調査書(甲一14、15)
(ヌ) 雑収入((二)<30>、(三)<29>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外雑収入調査書(甲一16)
(ル) 支払利息割引料((二)<31>、(三)<30>)につき、
一 大蔵事務官作成の架空支払利息調査書及び簿外支払利息調査書(甲一17、18)
(ヲ) 価格変動準備金((一)<45>)、価格変動準備金繰戻((二)<33>、(三)<32>)、価格変動準備金繰入((二)<40>、(三)<36>)につき、
一 大蔵事務官作成の価格変動準備金調査書(甲一19)
一 豊島税務署長作成の証明書(甲一20)
(ワ) 前期棚卸修正益((二)<35>)、前期棚卸修正損((二)<42>)、棚卸計上洩((二)<54>)につき。
一 大蔵事務官作成の前期棚卸修正調査書(甲一21)
(カ) 雑損失((三)<39>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外前渡金、雑損失調査書(甲一22)
(ヨ) 損金不算入役員賞与((一)(二)<57>、(三)<51>)につき、
一 大蔵事務官作成の役員賞与損金不算入調査書(甲一23)
一 前協甲一35
(タ) 損金不算入交際費((三)<52>)につき、
一 大蔵事務官作成の損金不算入交際費調査書(甲一24)
(レ) 事業税認定損((一)(二)<58>、(三)<53>)につき、
一 大蔵事務官作成の事業税認定損調査書(甲一25)
(ソ) 事務用品費((二)<59>)につき、
一 大蔵事務官作成の簿外事務用品費調査書(甲一26)
第三 別紙(一)ないし(三)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、
一 押収にかかる被告会社の法人税確定申告書三袋(昭和五四年押第四五七号の符号一、四、七)
(法令の適用)
法律に照すと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法第一五九条第一項(被告会社については、さらに同法第一六四条第一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法第一五九条第二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法第四八条第二項により合算した金額の範囲内において罰金二五〇〇万円に、被告人については同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役一年二月にそれぞれ処し、被告人に対し同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 半谷恭一)
別紙(一)
修正損益計算書
ハンドーザー工業(株)
自 昭和50年1月1日
至 昭和50年12月31日
<省略>
修正損益計算書
自 昭和50年1月1日
至 昭和50年12月31日
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
ハンドーザー工業(株)
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
<省略>
修正損益計算書
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
<省略>
別紙(三)
修正損益計算書
ハンドーザー工業 (株)
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
<省略>
修正損益計算書
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
<省略>
別紙(四)の一
税額計算書
ハンドーザー工業 (株)
自 昭和50年1月1日
至 昭和50年12月31日
事業年度分
<省略>
別紙(四)の二
税額計算書
ハンドーザー (株)
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
事業年度分
<省略>
別紙(四)の三
税額計算書
ハンドーザー工業 (株)
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
事業年度分
<省略>