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東京地方裁判所 昭和54年(特わ)1341号 判決 1979年7月16日

被告人

(一)本店所在地

東京都渋谷区代々木三丁目二番六号

株式会社 アートネイチャー

(右代表者代表取締役阿久津三郎)

(二)本籍

東京都渋谷区代々木三丁目二番地

住居

東京都世田谷区成城二丁目二九番六号

会社役員

阿久津三郎

昭和一二年三月一三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官乙部二郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社アートネイチャーを罰金三、〇〇〇万円に、

被告阿久津三郎を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人阿久津三郎に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社アートネイチャーは、東京都渋谷区代々木三丁目二番六号に本店を置き、男性用かつらなどの毛髪製品の製造販売等を目的とする資本金九、〇〇〇万円(昭和五四年二月五日以前は四、五〇〇万円、同五二年四月四日以前は二、四〇〇万円、同五一年五月五日以前は、一、一七〇万円、同五〇年一〇月二七日以前は八〇〇万円)の株式会社であり、被告人阿久津三郎は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人阿久津は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空広告宣伝費を計上して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六二、三八四、五八六円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五一年五月三一日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四九、七七〇、五二八円でこれに対する法人税額が一七、九九八、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六三、〇一三、九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額四五、〇一五、六〇〇円を免れ

第二  昭和五一年四月一日から同五二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六九、五〇五、九三六年(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五二年五月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八一、三一七、四三六円でこれに対する法人税額が三〇、三五八、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六五、六一三、九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額三五、二五五、〇〇〇円を免れ

第三  昭和五二年四月一日から同五三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一八三、六三三、七二三円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五三年五月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一九、七五三、三三八円でこれに対する法人税額が四三、九三〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六九、四六四、三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額二五、五三三、八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)(甲、乙番号は検察官証拠請求番号を示す)

判示冒頭の事実及び全般にわたり

一、被告人の当公判延における供述

一、同じく検察官に対する各供述調査書(乙2、3、4)

一、東京法務局渋谷出張所登記官作成の被告会社登記簿謄本(甲1)

一、大阪法務局登記官作成の登記簿謄本(甲3)

一、五十嵐祥剛の検察官に対する昭和五四年四月一一日付供述調書(甲21)

判示第一、第二、第三の各事実添付の別紙(一)、(二)、(三)の各修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額につき

<売上>

一、収税官吏土谷信雄作成の売上調査書(甲4)

一、五十嵐祥剛の検察官に対する昭和五四年四月一二日付供述調書(甲22)

<給料手当>

一、収税官吏土谷信雄作成の給料手当調査書(甲5)

一、東京法務局渋谷出張所登記官作成の閉鎖登記簿謄本(役員欄)(甲2)

<損益計上役員賞与(昭和五一年三月期・昭和五二年三月期)>

一、五十嵐祥剛の検察官に対する昭和五四年四月一二日付供述調書(甲22)

<福利厚生費>

一、収税官吏土谷信雄の福利厚生費調査書(甲6)

一、五十嵐祥剛の検察官に対する昭和五四年四月一二日付供述調書(甲22)

<広告宣伝費(昭和五一年三月期・昭和五三年三月期)>

一、収税官吏松平邦夫作成の架空広告宣伝費調査書(甲7)

一、収税官吏の吉野豊之進に対する昭和五四年一月一六日付、同月一八日付各質問てん末書(甲8、9)

<交際費、交際費損金不算入額(昭和五一年三月期・昭和五三年三月期)>

一、収税官吏松平邦夫作成の交際接待費及び交際費損金不算入額調査書(甲10)

<受取利息>

一、収税官吏土谷信雄作成の預金等及び受取利息調査書(甲11)

一、収税官吏土谷信雄作成の仮払源泉所得税調査書(甲12)

<雑収入(昭和五三年三月期)>

一、収税官吏土谷信雄作成の雑収入調査書(甲13)

<支払利息(昭和五三年三月期)>

一、収税官吏松平邦夫作成の支払利息調査書(甲14)

<価格変動準備金戻入益(昭和五二年三月期・昭和五三年三月期)、価格変動準備金繰入損>

一、大蔵事務官伊藤貢作成の証明書(甲15)

<貸付利息>

一、収税官吏松平邦夫作成の貸付金及び貸付利息調査書(甲16)

<期首たな卸、前期損益修正益、前受金当期認容、たな卸当期認容、未収入金当期認容(各昭和五二年三月期)>

一、収税官吏土谷信雄作成の前期損益修正益等調査書(甲17)

<事業税認定損>

一、収税官吏土谷信雄作成の未納事業税認定損調査書(甲18)

一、検察事務官一色潔作成の捜査報告書(甲23)

別紙(一)、(二)、(三)各修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について

一、押収してある被告会社の昭和五一年三月期、昭和五二年三月期、昭和五三年三月期各法人税確定申告書一袋(当庁昭和五四年押第一〇三四号符1、2、3)

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)。刑法二五条一項。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤智)

別紙(一)

修正損益計算書

株式会社 アートネイチャー

自 昭和50年4月1日

至 昭和51年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

株式会社 アートネイチャー

自 昭和51年4月1日

至 昭和52年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

株式会社 アートネイチャー

自 昭和52年4月1日

至 昭和53年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(四)

税額計算書

<省略>

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