東京地方裁判所 昭和54年(特わ)757号 判決 1979年6月18日
被告人
(一)本店所在地
東京都港区浜松町二丁目一番一〇号
株式会社 喜多屋
(右代表者代表取締役 田中忠雄)
(二)本籍
東京都港区浜松町二丁目一番地一二
住所
同都港区浜松町二丁目一番一〇号
会社役員
田中忠雄
昭和一一年一月二〇日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官乙部二郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社喜多屋を罰金八〇〇万円に、
被告人田中忠雄を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人田中忠雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社喜多屋は、東京都港区浜松町二丁目一番一〇号に本店を置き酒類の販売等を営業目的とする資本金二、八〇〇万円(昭和五二年六月一四日以前は、一、六〇〇万円)の株式会社であり、被告人田中忠雄は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人田中は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどして簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八二、九三六、三四〇円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五一年五月三一日、東京都港区芝五丁目八番一号所在の所轄芝税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二、二八七、六八四円でこれに対する法人税額が一一、三八七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告会社の右事業年度の正規の法人税額三一、六三〇、六〇〇円(別紙(三)ノ一税額計算書参照)と右申告税額との差額二〇、二四二、七〇〇円を免れ
第二 昭和五一年四月一日から同五二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五九、〇六七、〇九〇円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五二年五月三一日、前記芝税務署長に対し、その所得金額が三四、二八〇、八二七円でこれに対する法人税額が一二、一三二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告会社の右事業年度の正規の法人税額二二、〇三六、二〇〇円(別紙(三)ノ二税額計算書参照)と右申告税額との差額九、九〇三、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)(甲番号は検察官の証拠請求番号)
判示冒頭の事実及び全般にわたり
一、被告人の当公判廷における供述
一、同じく検察官に対する供述調書
一、東京法務局港出張所登記官作成の被告会社登記簿騰本(甲1)
一、二重作重貞の検察官に対する供述調書(甲27)
一、金子章の検察官に対する供述調書(甲28)
一、榎本光男の検察官に対する供述調書(甲29)
一、渡辺久夫の検察官に対する供述調書(甲30)
一、杉本誠の検察官に対する供述調書(甲31)
判示第一、第二の各事実添付の別紙(一)、(二)各修正貸借対照表に掲げる各勘定科目別過年度金額欄及び当期増減金額欄記載の数額につき
<現金>
一、収税官吏荻原昌次作成の現金残高調査書(甲2)
<普通預金>
一、収税官吏田中修一作成の普通預金(簿外分)調査書(甲3)
<定期積金>
一、収税官吏田中修一作成の定期積金(簿外分)調査書(甲4)
<定期預金>
一、収税官吏田中修一作成の定期預金(簿外分)調査書(甲5)
<割引債券(昭和五二年三月期)>
一、収税官吏田中修一作成の割引商工債券(簿外分)調査書(甲6)
<売掛金>
一、収税官吏田中修一作成の各売掛金調査書(甲7、8、9)
<未収入金>
一、収税官吏田中修一作成の未収入金調査書(甲10)
<貸付金>
一、収税官吏田中修一作成の貸付金調査書(甲11)
<棚卸資産>
一、収税官吏田中修一作成の棚卸資産調査書(甲12)
<建物造作>
一、収税官吏田中修一作成の建物造作調査書(甲13)
一、収税官吏田中修一作成の広田勘定調査書(甲14)
<預け金>
一、収税官吏田中修一作成の預け金調査書(甲15)
<代表者勘定>
一、収税官吏田中修一作成の代表者勘定調査書(甲16)
<買掛金>
一、収税官吏田中修一作成の買掛金調査書(甲17)
一、収税官吏田中修一作成の各期別買掛金調査書(甲18、19、20)
<未払金>
一、収税官吏田中修一作成の未払金調査書(甲21)
<借入金>
一、収税官吏田中修一作成の借入金調査書(甲34)
<預り保証金>
一、収税官吏田中修一作成の預り保証金調査書(甲22)
<価格変動準備金>
一、収税官吏田中修一作成の価格変動準備金調査書(甲23)
一、大蔵事務官細金英男作成の証明書(甲24)
<未納事業税>
一、収税官吏田中修一作成の未納事業税調査書(甲25)
<仮払税金>
一、収税官吏田中修一作成の仮払税金調査書(甲26)
別紙(一)、(二)各修正貸借対照表に掲げた公表金額及び過少申告の事実について
一、押収してある被告会社の昭和五一年三月期法人税確定申告書一綴、同じく昭和五二年三月期法人税確定申告書一綴(当庁昭和五四年押第八八七号符1、2)
(法令の適用)
被告会社につき
いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。
被告人につき
いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪に加重)。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 松澤智)
別紙(一)
修正貸借対照表
株式会社 喜多屋
昭和51年3月31日
<省略>
<省略>
別紙(二)
修正貸借対照表
株式会社 喜多屋
昭和52年3月31日
<省略>
<省略>
別紙(三)の一
税額計算書
株式会社 喜多屋
事業年度分 自 昭和50年4月1日
至 昭和51年3月31日
<省略>
別紙(三)の二
税額計算書
株式会社 喜多屋
事業年度分 自 昭和51年4月1日
至 昭和52年3月31日
<省略>