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東京地方裁判所 昭和55年(タ)47号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一<証拠>を総合すると、請求の原因事実<後述>を認めることができ、右認定に反する証拠はない。

二本件離婚については、法例一六条により、被告の属する大韓民国の法律によるべきところ、第一項に認定した被告の所為は、同国民法八四〇条二号、五号に該当し、かつ、日本民法七七〇条一項二号、三号にも該当すると認められるので、原告の本件離婚請求は理由がある。

三次に、原告の親権者指定に関する申立について判断する。法例二〇条によれば、親子間の法律関係は父の本国法によつてこれを定めるべきものとされているところ、大韓民国民法九〇九条によれば、離婚に際し、婚姻中に出生した未成年の子の親権者に母を指定することは認められない。しかしながら、本件の場合、前記認定のとおり、母は日本国籍を有し、婚姻届出、婚姻生活すべて日本でなされ、三人の未成年の子は、いずれも日本で出生し父母の監護養育を受けていたが、父たる被告は昭和四九年二月頃家出した後、現在に至るも生死も行方も不明であり、前記三名の子は原告が監護養育しているものであるから、父は親権者として親権を行使することを期待し得ない状況にあることが明らかである。このような場合にまで、父に親権者としての地位を認めることは、親権者の指定は子の福祉を中心に考慮決定すべきものとするわが国の社会通念に反する結果を来たし、法例三〇条にいわゆる公序良俗に反するものということができる。そこで、わが国の民法八一九条二項を適用し、原告を親権者とするのが相当である。

(押切瞳)

請求原因

一 原告と被告とは、昭和四〇年六月二〇日結婚式をあげ、同年七月一日、婚姻届を了し、同四一年一二月二〇日、長女清子、同四五年一〇月一四日次女祐子、同四七年八月一五日三女愛子をもうけた。

二、三<略>

四 被告は、昭和四八年頃、フィリピン人の愛人とフィリピンに渡航する必要上、外国人登録上の国籍を朝鮮から韓国に変更した。

五 被告は、フィリピンから帰国後、日本人の愛人と同棲するようになり、自宅にはあまり帰らなくなつてしまつた。

六 被告は、昭和四九年二月、多額の借金を残したまま行方をくらましてしまい連絡もしてこなくなり、現在に至るも生死も行方も不明である。

七 原告は、前記三人の娘をかかえ実家に戻り、学校給食婦の臨時雇いとして働いて生計を維持している。

八 以上被告は、原告を悪意で遺棄したもので、かつ、被告の生死が三年以上分明でない場合に該当するから、原告は、被告との離婚を求め、前記未成年の子三名の親権者を原告に定める旨の裁判を求める。

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