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東京地方裁判所 昭和55年(ワ)11643号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

事実関係の骨子は、次のとおりである。

一 丙事件請求原因

1 原告は、昭和四一年一〇月二〇日訴外鄭二亀より、「本件土地」を買い受けた。

2 参加人は、「本件建物」を本件土地上に所有している。

3 よつて、参加人は、原告に対し本件建物を収去し、同土地の明渡しを求める。

二 丙事件抗弁

1 参加人は、昭和三一年三月二八日訴外増田有吉から、本件土地を地代一ケ月金七四五円、毎月末払期間昭和三一年四月五日から一〇年間の約で賃借した。

三 丙事件再抗弁

仮に右抗弁事実が認められるとしても、

1 原告が本件土地を取得した昭和四一年一〇月二〇日当時、本件建物の登記は裵允助名義であつて参加人名義ではない。

2 よつて、参加人は土地所有者である原告に対して、対抗力ある借地権を有しない。

【判旨】

(丙事件について)

一請求原因事実は当事者間に争いがない。

二<証拠>を総合すれば参加人は昭和三一年三月二八日当時の本件土地の所有者増田から右土地を左記の条件で賃借したことが認められる。

(一) 目的 非堅固建物所有

(二) 賃料 一ケ月七四五円 毎月末日払

(三) 期間 昭和三一年四月五日から同四一年三月末日まで

但し、前記丙第四号証には右賃貸借契約の当事者は裵允助である旨の記載があるが、前掲各証によれば参加人は昭和二九年八月二六日高橋より本件建物を一三〇万円で買受けたこと、右売買当時の所有者は羽賀厚であつたが、同人と参加人は右売買後本件土地を賃料月七〇〇円で賃貸借する旨の契約を締結していること、また前記丙第四号証の契約当事者を裵允助とした理由は、参加人が本件建物を買受けるに際し、裵允助から一五万円を借入れ、右債務を担保するために、本件建物を譲渡担保としたことそして昭和二九年一〇月一四日付で代物弁済を原因とし同人のため所有権移転登記を了していたので、本件建物の名義と借地人の名義を一致させる必要があつたためであることが認められる。

従つて丙第四号証の右記載は前記認定を覆えすに足りる証拠とはなしがたい。そして、他に前記認定を覆えすに足りる証拠はない。

なお、右賃貸借契約は期間について昭和四一年三月末日までの約一〇年間と約定されているが、右は借地法第二条の規定に反する約定であるので、同法第二条第一項によりその期間は三〇年即ち昭和六一年四月四日までである。

また、<証拠>によれば本件土地の賃料として昭和四一年一一月分以降一ケ月二七九〇円(同五二年三月まで裵允助名義、同年四月以降参加人名義)で供託していることが認められるが、参加人本人尋問の結果によれば右賃料額は世間相場によつて算定したものであることが認められ、右賃料額が従前の約定賃料であつたとは認めがたい。前記認定のとおり契約当初の賃料は一ケ月七四五円であるが、右時点から一〇年以上も経過しているので、数次の賃料増額があつたものとも考えられるので右賃料を基準とすることもできない。従つて本件土地の賃料額を確定するに足りる証拠はないといわざるを得ない。

三前記のとおり原告が本件土地を買受けた当時本件土地の賃借人が参加人であり、同地上に存する本件建物の登記名義人は右建物を譲渡担保にとつた裵允助であるが、借地人と建物名義人とが異なつても新地主にとつて不利な点はないので、右登記によつて本件借地権は対抗力を有するを相当とする。 (青山邦夫)

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