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東京地方裁判所 昭和55年(ワ)424号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

請求の原因の骨子は、次のとおりである。

「1 原告は宅地建物取引業を営む会社である。

2 被告は昭和五四年八月一〇日頃原告に対し、本件土地の売却の仲介を依頼し、原告はこれを承諾した。

3(一) その際、被告は原告に対し、右仲介により売買が成立したときは、宅建業法四六条に基づく建設大臣告示所定の最高額の仲介料を支払う旨約束した。

(二) 仮りにそうでないとしても、被告は、宅地建物取引業者である原告に、何の留保なく仲介依頼をなしたのであるから、その時点で、売買成立の場合には右の仲介料を支払う旨の黙示の意思表示をなしているものである。

(三) 仮りにそうでないとしても、原告は前記1のとおり商人であり、被告のためにする意思で仲介をなしたのであるから、商法五一二条に基づき当然に相当額の仲介料を請求でき、かつ、その額は、東京都の不動産取引業界の慣行に基づき、前記法定の最高額である。」

【判旨】

四そうすると、被告は原告に対し、本件土地売買の仲介に関して報酬を支払うべき義務を免れない。

そこでその額について検討するに、請求原因3の(一)、(二)の事実を認めるに足る証拠はなく、また同3の(三)にある東京都における不動産取引業界の慣行たるものを認めるに足る証拠もない。

したがつて、右報酬額は結局裁判所の裁量によつて決するほかないのであるが、これを決するための諸事情としてつぎのような事実を認めることができる。

即ち、<証拠>によれば本件土地の売買は最初に原告が買主側から話を持ちこまれてから後、ほぼ三週間という比較的短期間の間に、割合順調な交渉のうちに成立をみたこと(このことからすれば、本件土地売買の仲介はそれ程困難なものではなく、原告のような専門業者にとつてはむしろ容易なものの部類に属するであろうこと、したがつてその成立のために原告が払つた努力と費用はそれ程多大なものではないであろうことが推認されるのである。)、本件土地の所在する六本木三丁目付近の土地はなかなか売り手がなく、適当な土地を入手するのは容易ではないこと、そのため訴外会社も一年位前から適当な土地を物色しており、本件土地購入を強く希望していたこと、その買主である訴外会社が原告に対して支払つた報酬は金二五〇万円であること、しかし、被告の側においても、本件土地を利用した事業計画を既に断念し、売却しようとしていたこと、昭和五四年四月に原告から本件土地を買受け、同年八月にこれを訴外会社に転売したことによつて、単純計算をすればわずか四か月位の間に金二一六〇万円もの差益を得たことが認められる。

右の諸事情を総合すれば、被告が原告に支払うべき報酬は法定の最高限度額を大幅に下回るべきは勿論のこと、買主側からのそれをもかなり下回るのはやむをえないが、かといつて余りに低額にすることもできないというべきであつて、結局金一五〇万円をもつて相当額と思料する次第である。

なお、右報酬の支払時期については、特段の合意の認められない本件にあつては、原告の仲介にかかる本件土地の売買契約が成立した時とするのが相当である。 (西理)

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