東京地方裁判所 昭和56年(ワ)973号 判決
本件発明においては、排品口より大なる開口部を有する環状の邪魔板を原水導入管を囲繞するように螺旋羽根上にドラム本体の長手方向に対し直角に取付けることが、発明の構成に欠くことができない事項とされているのに対し、被告機械においては、邪魔板は、螺旋羽根上ではなく原水導入管上に取付けられており、開口部を有さず周辺に開端部を有する構成とされているものであり、本件発明と被告機械とは、右の点において、その構成を異にしていることが明らかである(この点は、原告の自認するところである。)。
原告は、右の構成の相違について、設計上の微差であり、又は均等と目すべきである旨主張するので、右の構成の相違により作用効果上も相違を生じるか否かについて検討する。
成立に争いのない甲第一号証(本件特許公報。別添特許公報と同じ。)及び第二号証によれば、本件発明においては、前記の構成をとることにより、上澄水が開口部の口縁を越えて排水口に向かつて流動する一方、螺旋羽根の働きにより邪魔板の外周端とこれに接して存する各螺旋羽根とのすき間においては、沈殿物と共に水が逆に排品口に向かつて流動するものと認められる。これに対し、別紙物件目録の記載によれば、被告機械においては、ドラム内の水は、邪魔板の開端部すなわち邪魔板の外周端とこれと離れて存する螺旋羽根との間のみを通つて排水口に向かつて流動するものと認められる。したがつて、被告機械は、ドラム内の水の流動の仕方において、本件発明に係る分級機とその作用が異なるものであり、また、そのことにより、水に含まれている砂の沈降の仕方も異なるものであることは、おのずから明らかであるから、本件発明と被告機械とは、前記構成上の差異により、異なる作用効果を奏するものであると認められる。以上の認定を左右するに足りる証拠はない。
以上のとおり、被告機械と本件発明との前記構成の差異により、作用効果においても差異が生ずるのであるから、前記の構成の差異をもつて設計上の微差又は均等ということはできない。したがつて、その余の構成について対比するまでもなく、被告機械は、本件発明の技術的範囲に属するものと認めることはできない。
よつて、その余の点につき判断するまでもなく、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却する。