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東京地方裁判所 昭和56年(ワ)9863号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

四請求原因10について

<証拠>によると、本件(一)建物は、国電中央線中野駅の北東方で、同駅から徒歩約七分に所在する通称中央マンションの六階の一室で、同階層の北東部に位置し、東側にサンテラスを控え、六畳、4.5畳の各居間、八畳のダイニングキッチンを擁するもの(床面積合計52.62m2)であること、右マンションは、太洋漁業株式会社からの借地上に、昭和四〇年築造されたもので、その地代は昭和五二年一〇月改定以来、月額三〇〇〇円であり、管理費は月額七一〇〇円であること、近隣地域は、商業地域、防火地域(建ぺい率八〇%、容積率三〇〇%)に属し、交通頻繁な商店街を形成するが、本件(一)建物自体は前記位置関係から、冬期には午前八時頃から陽光の照射を受け得ず、その快適性はやや減少すること、かくして本件(一)建物の昭和五六年一一月二日現在における素評価額は約一八五四万円を算出しうるも、叙上事実(月額賃料二〇〇〇円の登記を経由した短期賃貸借があり、前記地代にも充たず、前叙位置関係及び該賃貸借の存在による市場性の減弱、明渡費用の想定等)に照らすと、約二〇%にあたる約三七一万円を減額した一四八三万円程度と評価されるが、競売の際にはさらに五%程度低減評価すべきこと、本件(二)建物は、国鉄内房線五井駅から徒歩約二〇分所要の低廉地帯に昭和五四年建築された二階は屋根裏形式の居宅であるが、その敷地である本件(三)、(四)各土地は、前記五井駅にさして遠からざる割には発展が遅れており、人家も少く、都市ガス、水道の各施設や、側溝による下水処理さえ未だない所であること、本件(二)建物の月額賃料は二〇〇〇円であるが、この額をもつてしては、公租公課、火災保険料さえも賄えないこと、昭和五六年一〇月二一日現在におけるその素評価は七八〇万円(なお、本件(三)、(四)各土地のそれは七一四万八〇〇〇円とみられ、その合計は一四九四万八〇〇〇円)とされるも、右内容の登記を経由した短期賃貸借の存在によつて約一〇%(七八万円)減価して約七〇〇万円(右各土地とあわせると、約一五〇万円の減価)と評価されるが、競売に際してはさらに約一〇%の減価を蒙るものと推定されることが認められ、以上の認定を左右するに足りる証拠はない。

五結論

以上認定事実を要するに、訴外会社に対し、原告は昭和五六年七月四日現在、請求原因6のとおり、合計三七六九万九〇〇〇円、原告補助参加人は極度額一〇〇〇万円の各債権を有するが、同7のとおり、訴外会社は倒産して無資力であり、その代表者(原告の債権についての連帯保証人)樫野繁昌は行方不明であつて、右の者らからの債権の回収は殆んど期待し得ず、本件不動産の競売による回収を期するのみであるところ、前記四認定のとおり、本件不動産には短期賃貸借があつて、その売買等の処分、競売の早期完結(競落)を阻害し、あわせて価額の相当の低減方を招来しているばかりか、前叙のように地代、公租公課等にもみたない額の低廉な賃料を収受しうるだけの地位を賃貸人は甘受し、しかも賃貸人と現在の賃借人らとの間には親密な身分関係が存することが明らかなので、本件各賃貸借契約は、根抵当権者である原告(及び原告補助参加人)に損害を及ぼすものというべきであるから、民法三九五条但書によりその解除を命ずるのが相当であり、ひいてこの解除の結果、被告大和、同中村、同ひで子、同孝子のためになされた各仮登記及び登記の各抹消登記手続を求める原告の請求も理由がある。 (薦田茂正)

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