東京地方裁判所 昭和57年(ワ)14188号 判決 1985年12月09日
原告 甲野太郎
右訴訟代理人弁護士 後藤孝典
同 山口紀洋
同 内山成樹
同 安田好弘
同 大津卓滋
同 尾嵜裕
同 三木正俊
被告 東京都
右代表者知事 鈴木俊一
右指定代理人 金岡昭
<ほか三名>
被告 田中義雄
右訴訟代理人弁護士 山下卯吉
同 武藤正敏
同 福田恒二
主文
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、各自金一五万円及びこれに対する本件訴状送達の翌日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
3 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
(被告東京都)
1 主文と同旨
2 担保を条件とする仮執行免脱宣言
(被告田中義雄)
主文と同旨
第二当事者の主張
一 請求原因
1 被告らの違法行為
(一) 警視庁公安部公安第一課所属司法警察員警部である被告田中義雄(以下「被告田中」という。)は、東京簡易裁判所裁判官柏井康夫から、被疑者乙山春夫に対する爆発物取締罰則違反被疑事件(以下「本件被疑事件」という。)につき、犯罪事実を別紙(一)記載のとおりとし、捜索すべき場所を足立区《番地省略》丙川夏子の居室、差し押えるべき物を別紙(二)記載のとおりとする捜索差押許可状(以下「本件令状」という。)の発付を得て、昭和五七年九月二六日、右丙川方に臨み、捜索のうえ、原告名義の旅券(以下「本件旅券」という。)等三八点を差し押えた(以下、本件旅券の差押を「本件差押」という。)。
(二) 本件差押には次の違法が存する。
すなわち、本件令状には、差し押えるべき物として旅券の記載がなく、本件旅券は本件被疑事件との法的関連性もない。したがって本件令状によっては本件旅券を差し押えることは許されず、本件差押は違法である。
2 被告らの責任
(一) 被告田中は、公共団体である被告東京都の公権力の行使に当る公務員で、その職務を行うについて、本件差押をなし、故意又は過失によって原告に対し違法に後記の損害を与えたものであるから、被告東京都は、原告に対し、国家賠償法一条一項により右損害を賠償すべきである。
(二) 被告田中の前記の違法行為は、公務に藉口した不法行為にほかならないから、同被告は、原告に対し、民法七〇九条により後記の損害を賠償すべきである。
3 損害
(一) 原告は、本件差押により、本件旅券の使用を阻害され、いつまでこれを使用し得ないか不明の状態におかれ、これにより精神的苦痛を被ったが、その慰謝料としては、少なくとも一〇万円が相当である。
(二) 原告は、原告訴訟代理人弁護士らに本件訴えの提起と追行を委任し、昭和五七年一〇月五日、右弁護士費用として五万円を支払った。
被告らのなした不法行為により原告の受けた損害のうち、弁護士費用として被告らが賠償すべき金額は五〇万円が相当である。
4 結論
よって、原告は、被告らに対し、各自前記3(一)、(二)の損害賠償金の内金一五万円及びこれに対する不法行為の後である本件訴状送達の翌日から支払ずみに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求原因に対する認否
(被告東京都)
1 請求原因1のうち、(一)の事実は認め、(二)の事実は否認する。
2 同2(一)のうち、被告田中が公共団体である被告東京都の公権力の行使に当る公務員であることは認めるが、その余の事実は否認する。
3(一) 同3(一)の事実は否認する。原告には本件旅券を使用する予定がなかったから、所論の使用阻害による損害は生ずべくもない。
(二) 同3(二)の事実は知らない。
(被告田中)
1 請求原因1のうち、(一)の事実は認め、(二)の事実は否認する。
2 同2(二)は否認する。仮に、被告田中がなした本件差押が違法であったとしても、被告田中が原告に対し個人として直接損害賠償責任を負うべき筋合はない。
3(一) 同3(一)の事実は知らない。原告には本件旅券を使用する予定がなかったから、所論の使用阻害による損害は生ずべくもない。
(二) 同3(二)のうち、原告が原告訴訟代理人弁護士らに本件訴えの提起と追行を委任したことは認めるが、その余の事実は知らない。
三 抗弁
1 正当行為(令状に基づく行為)
(一) 被告田中は、その司法警察員としての刑事警察上の職務行為として、本件令状に基づき本件差押を行ったものであるところ、刑事警察活動としての差押のできる物とは、被疑犯罪の特別構成要件を直接組成し、供用するものに局限されるものでなく、広く動機、背後関係など犯罪の態様、刑責の軽重等に関するものを含むのであって、差押の執行の際、当該差押物と被疑事件との間に客観的関連性があると判断するに足りる合理的な理由が存在すれば差し押えることができる。されば仮に本件令状に旅券の記載がないとしても、本件旅券は本件令状によって差押許可を受けているものの範囲内に含まれ、本件被疑事件と関連性がある被差押対象物である。
(二) ところで、本件被疑事件は、乙山春夫が、東アジア反日武装戦線を救援する会(別称KQ通信社。以下「KQ通信社」という。)の構成員ないし「6・9闘争の会」の構成員と共謀し、又は、東アジア反日武装戦線加盟の在監中の構成員、国外逃亡中の佐々木規夫らと密接な連絡をなしつつ、新たな爆弾闘争に向けて敢行した組織的、計画的犯行であると考えられるところ、被告田中は、捜査によって判明した次の諸状況を総合検討した結果、原告が本件被疑事件に関与している疑いが強く、本件旅券が本件被疑事件の組織的な背景、共謀関係、前後の事情等を解明する上でこれと関連性を有するものと判断して本件差押を行ったものである。すなわち、
(1) 腹腹時計VOL・一(腹腹時計都市ゲリラ兵士の読本VOL一。以下「腹腹時計第一巻」という。)は、東アジア反日武装戦線「狼」グループによって作成発行されたいわゆる爆弾教本である。
(2) 東アジア反日武装戦線「狼」グループ、同「さそり」グループ、同「大地の牙」グループは、相互に密接な連携を保ちながら、腹腹時計第一巻に基づき、一一件にも及ぶ連続企業爆破事件を敢行した。
(3) KQ通信社は、東アジア反日武装戦線の構成員八名の一斉逮捕後に結成され、同戦線の爆弾闘争を全面的に継承した。
(4) 原告らが結成した「6・9闘争の会」も、これに呼応し、東アジア反日武装戦線の爆弾闘争を強力に支持する活動を展開していた。
(5) 原告にはこれまで海外渡航の事実が認められるところ、その目的は本件被疑事件に関して国外逃亡中の東アジア反日武装戦線の構成員やその同調者との連絡を取るためと考えられた。
(6) 本件旅券には、原告の海外渡航の事実を裏付ける多数の出入国印が押捺されていた。
(三) したがって、被告田中が、本件旅券が本件被疑事件と密接な関連性を有するものと判断し、これを差し押えたことには客観的に合理的な理由があり、違法性はない。
2 原告の帰責事由
(一) 被告田中らは、原告に対し、本件差押の際、本件旅券の使用予定を質問したが、原告は回答を拒否し、本件差押終了後その場での還付による受領勧告を拒絶し、その後、警視庁公安部公安第一課所属石田勝彦警部補による二回の受領勧告に対しても受領を峻拒した末、昭和五七年一〇月六日に至って自ら返還を申し出て還付を受けたものである。
(二) したがって、原告が本件旅券の押収期間中これを使用できなかったとしても、その使用不能は受領を拒絶した自らの態度に起因するものであるから、原告の損害賠償請求は理由がない。
四 抗弁に対する認否
1(一) 抗弁1(一)の事実は否認する。
(二) 同1(二)前文の事実は否認する。
同1(二)(1)及び(2)の各事実は認める。
同1(二)(3)の事実は否認する。KQ通信社は単なる救援組織にすぎない。
同1(二)(4)の事実は否認する。なお、「6・9闘争の会」と東アジア反日武装戦線の革命理論とは一致しない。
同1(二)(5)のうち、原告が海外渡航したことは認めるが、その余の事実は否認する。原告の渡航目的は反核運動や国情を見ることにあった。
同1(二)(6)の事実は認める。
(三) 同1(三)の事実は否認する。
2(一) 同2(一)の事実は認める。
(二) 同2(二)の事実は否認する。原告としては、本件旅券の受領によって、本件差押を容認し、ひいてその違法性を解消する至儀となることをおそれ、準抗告の正当手続により返還を受けるべく、石田警部補による受領勧告を拒絶したものである。
第三証拠《省略》
理由
一 請求原因1(一)(本件差押)の事実は、当事者間に争いがない。
二 まず本件差押に至る経緯等について検討するのに、《証拠省略》を総合すると、次の各事実が認められ(る。)《証拠判断省略》
1(一) 腹腹時計第一巻は、昭和四九年三月ころ、東アジア反日武装戦線「狼」グループの大道寺将司、片岡利明らが発行し、同戦線の武装闘争の必要性や正当性を主張し、爆弾の製造方法等を図解入りで詳細に記載したものであって、いわゆる爆弾教本として周知の刊行物であること(腹腹時計第一巻が東アジア反日武装戦線「狼」グループによって作成発行された爆弾教本であることは、当事者間に争いがない。)。
(二) 東アジア反日武装戦線「狼」グループ、同「さそり」グループ、同「大地の牙」グループは、相互に密接な連携を保ちながら、腹腹時計第一巻に基づき、一一件にも及ぶ連続企業爆破事件を敢行したこと(この事実は当事者間に争いがない。)。
(三) しかし、東アジア反日武装戦線の構成員八名が、昭和五〇年五月一九日、右事件の犯人として逮捕され、同戦線の爆弾闘争は一応終息したこと。
2(一) KQ通信社は、逮捕された東アジア反日武装戦線の構成員を救援する目的で結成され、同戦線による爆弾闘争の正当性を主張し、その実践方をも示唆する団体であって、乙山春夫は、昭和五四年二月ころからその実質的責任者として活動していたこと。
(二) 東アジア反日武装戦線K・F部隊(準)と称する団体は、昭和五四年二月以降、自己の連絡先をKQ通信社と明示して、本件被疑事実の手段とされた「腹腹時計VOL・二」なる刊行物(以下「腹腹時計第二巻」という。)や「東アジア反日武装戦線獄中兵士への死刑重刑攻撃粉砕緊急アピール」と題するビラを作成発行したこと。
(三) そして腹腹時計第二巻は、腹腹時計第一巻の続編として、爆弾闘争の正当性を力説し、その誌中に「腹腹時計第一巻を必要とする友人はKQ通信社に問い合わせて欲しい」旨の広告文を掲載し、これに応じて腹腹時計第一巻の入手を希望してKQ通信社宛に申込んだ者に対し腹腹時計第一巻のコピーが送付されていたこと。
3(一) 最下層労働者である山谷地区の日雇労働者こそが真の労働者革命の主体たりうるとの主張を掲げた山谷地区現場闘争委員会の磯江洋一は、昭和五四年六月九日、警視庁浅草警察署山谷地区派出所の警察官を出刃包丁で刺殺したが、原告は、右磯江を救援するため「6・9闘争の会」を結成したこと。
(二) 「6・9闘争の会」とKQ通信社は、昭和五四年一二月ころ、「12・27越冬闘争貫徹・東アジア反日武装戦線獄中兵士への死刑・重刑攻撃粉砕集会――獄中アピール集――」と題する冊子を連名で作成したり、共同でビラを配布するなどの活動をなし、原告自身も、KQ通信社の事務所を何度か訪れていたこと。
4(一) いわゆる連続企業爆破事件の犯人として逮捕された東アジア反日武装戦線の構成員のうち、佐々木規夫は、昭和五〇年八月四日に発生したいわゆるクアラルンプール事件により、大道寺あや子及び浴田由紀子は、昭和五二年九月二八日に発生したいわゆるダッカ事件により、それぞれ超法規的措置によって身柄の拘束を解かれ、国外に逃亡したものの、同人らは、昭和五五年ころ、日本赤軍の一員としてレバノンのベイルート周辺にいたこと。
(二) KQ通信社の構成員である丁原秋夫、戊田冬子は、昭和五五年ころ、レバノンに渡航したことがあり、更に丁原秋夫は、同五七年七月ころ、東アジア反日武装戦線の構成員である宇賀神寿一と接触したこと。
(三) 本件旅券には多数の出入国印が押捺顕出されているが、その中には原告が、昭和五五年、レバノンに入国したことが記載されていること(本件旅券に多数の出入国印が押捺されていたことは、当事者間に争いがない。)。
5 被告田中は、本件被疑事件は、国外に逃亡した東アジア反日武装戦線の構成員などと密接な連絡を取りながら行った組織的・計画的な犯行であって、原告がこれに関与している疑いが強く、原告の海外渡航も連絡のためではないかと考え、本件令状執行の際、本件旅券と他の証拠資料等を比較検討すれば本件被疑事件の組織的背景、共謀関係、前後の事情等を解明し得るものと判断して本件差押を行ったこと。
6 被告田中は、原告に対し、本件差押終了後押収品目録交付書を交付する際、本件旅券を還付しようとしたが、原告はその受領を拒絶し、更に本件差押の翌日である昭和五七年九月二七日及び翌二八日の二回にわたり、警視庁公安部公安第一課所属石田警部補において本件旅券を還付しようとしたところ、当初から本件捜査の不当性を準抗告等の裁判手続によって弾劾主張すべく考えていた原告は、「弁護士を通じてでなければ還付には応じない。」「受領書を書かなければならないのならば還付に応じない。」などと述べて、いずれもその受領を拒絶したこと(本件差押終了後及びその後二回にわたり本件旅券を還付しようとしたが原告が受領を拒絶したことは、当事者間に争いがない。)、しかし原告は、その後考えを変え、同年一〇月六日、右石田警部補に本件旅券の返還を求め、同日、還付を受けたこと。
三 そこで本件差押の違法性の有無について判断する。
1 原告は、本件令状には差し押えるべき物として旅券の記載がないから、本件差押は違法であると主張するところ、本件令状中の差し押えるべき物の記載が別紙(二)記載のとおりであることは当事者間に争いがないのであるから、本件令状の差し押えるべき物として旅券が明示的に記載されていないことは所論のとおりである。
しかしながら、別紙(二)四項の「住所録、私製電話帳、日記及びメモ類」にいう「類」なる辞句は、一般に、叙上明記のものと性状において近似した同類のものを意味するのであるから、結局、右四項は、住所録、私製電話帳、日記及びメモのほか、これらと性質及び状態ないし属性もしくは用途において近似した同類のもの、すなわち、個人の交遊関係、行動記録、心境等の主観の表明、将来の行動計画等を記載した文書等をも含むものと解され、また、別表(二)五項の「組織図、活動方針、犯行計画等」にいう「等」なる接尾辞も、一般に、叙上明記のものと類似するものを指しながら、その明記方を省略する用語であるから、結局、右五項は、組織図、活動方針、犯行計画のほかこれらに準ずべきもの、すなわち、組織の構成、いわゆる人脈、活動の記録、将来の行動計画等を記載した文書等も含むものと解するのが相当である。
ところで、旅券は、国民の外国旅行にあたって、その本国が本人の身分及び国籍を証明し、あわせて外国官憲に本人に対する便宜供与及び保護を依頼する文書であって、出入国の際、入国審査官により出国及び帰国の確認を受け、また行先国の駐在領事により査証を受け、これらによってその者のある外国への入国及び出国の年月日が記録されるものであるから、個人の過去における行動ひいては交遊関係等を推認させる文書というべきである。
そうすると、本件旅券は、別紙(二)四項又は五項に記載のものに該当する文書というべく、本件令状によって差し押えることができる物であって、本件令状中に旅券が明示的に記載されていないことをもって、直ちに本件差押が違法であるとはいえない。
2 次に原告は、本件旅券は、本件被疑事件との法的関連性を欠くから本件差押は違法である旨を主張する。
ところで、刑事警察活動としての差押のできる物とは、被疑犯罪の特別構成要件を直接組成し、供用するものに限定されるものではなく、広く、動機、共謀関係、背後関係など犯罪の態様に関連する物のほか、犯罪の罪質、刑責の軽重等に関連する物をも包含すべく、右関連性については、捜査官において、差押の執行の際、当該差押物と被疑事件との間に関連性があると判断するに足りる合理的な理由が存在すれば足りるものと解するのが相当である。
かかる見地によって以下判断するのに、本件被疑事件が別紙(一)記載のとおりであることは当事者間に争いがなく、これによれば、本件被疑事件は、KQ通信社の中心人物である乙山春夫が、爆弾闘争を実践させる目的をもって、腹腹時計第一巻のコピーを多数の者に送付し、もって爆発物の使用を教唆煽動したというものであることが明らかである。そして前記二認定の各事実、就中、KQ通信社は、連続企業爆破事件の犯人として逮捕された東アジア反日武装戦線の構成員を救援する目的で結成された団体であって、腹腹時計第二巻等においては、東アジア反日武装戦線K・F部隊(準)と称する団体の連絡先となっていること、現に腹腹時計第二巻の広告を見て腹腹時計第一巻の入手を希望するものがKQ通信社に申し込むと、腹腹時計第一巻のコピーが申込者に送付されていたこと、原告らが結成した「6・9闘争の会」は、冊子の作成やビラの配布等でKQ通信社と共同行動をとり、原告自身もKQ通信社の事務所を何度か訪れていること、日本を脱出した佐々木規夫らが日本赤軍の一員としてレバノンにいた昭和五五年、KQ通信社の構成員である丁原秋夫らがレバノンに入国していること、同じころ原告もまたレバノンに入国していること等を勘案すると、本件差押当時、被告田中が、本件被疑事件は国外に逃亡した東アジア反日武装戦線の構成員などと密接な連絡を取りながら行った組織的・計画的な犯行であるとの認識のもとに、原告が、KQ通信社もしくは海外の関係者と何らかの関係を有しており、その渡航も右関係者との連絡のためではないかと疑い、かつ、本件旅券が本件被疑事件の組織的背景、共謀関係、前後の事情等を解明する上で有用な資料になるものと判断したことには合理的理由があるといわなければならない。そうすると、被告田中が、本件旅券を、本件被疑事件と関連性を有するものとして差し押えたことにも違法性は見出し難い。
3 以上のとおり、本件旅券は本件令状の文旨からも差押を許された範囲に含まれ、本件差押の際、本件旅券が本件被疑事件と関連性を有すると判断した被告田中の行為は合理的理由があるので、本件差押は適法というべきである。
なお、原告は、被告田中の本件差押は公務に藉口した不法行為である旨を主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
四 結論
よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の被告らに対する本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 薦田茂正 裁判官 大橋弘 高部眞規子)
<以下省略>