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東京地方裁判所 昭和57年(ワ)94号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

当事者の求めた裁判は、次のとおり。

「一 請求の趣旨

(原告湯浅猪平)

主文第一、第四項と同旨

(原告森藤久男)

1 主位的請求

被告は、原告森藤久男に対し、別紙物件目録記載の土地に対する被告の持分三分の一のうち、その二分の一につき、昭和一八年二月一二日時効取得を原因とする共有持分一部移転登記手続をせよ。

2 予備的請求

主文第三項と同旨

3 主文第四項と同旨

二 請求の趣旨に対する答弁

原告らの請求をいずれも棄却する。」、

【判旨】

一請求原因について

1 請求原因1の事実は、<証拠>によれば、これを認めることができる。

2 原告らがその主張の取得時効を援用したことは記録上明らかであり、<証拠>を総合すれば次の事実が認められる。

(一) 昭和一五年頃を最後に被告から凡平、原告猪平に対し何の連絡もないこと。

(二) 本件土地上に凡平がアパートを建てたが、昭和二〇年頃戦災で焼失したこと。

(三) 昭和一八年二月一二日凡平は隠居し、原告猪平はその家督相続人として、本件土地についての凡平の持分権を承継したが、凡平から本件土地は凡平と幸松の二人の共有である旨聞いたのでそう信じ、また、幸松から本件土地の管理を任されたので、アパート焼失後は本件土地を賃貸し、地代から公租公課を差引いた残りの二分の一を年二回に分けて幸松(幸松の死亡後は原告久男)に送金していること。

(四) 幸松は昭和三五年三月二一日死亡し、原告久男が同人の相続人として本件土地についての幸松の持分権を承継したが、原告久男は、幸松が本件土地を二分の一の持分で原告猪平と共有していると信じ、原告猪平に本件土地の管理を依頼し、前記(三)記載の送金を受けていること。

3 右認定事実によれば、原告猪平は、相続により本件土地の持分二分の一を取得したと信じ、以後幸松ないし原告久男と持分各二分の一の割合により共有する意思で本件土地を平穏かつ公然と占有し、右持分二分の一を取得したと信じるにつき過失はなかつたと認められるから、占有を取得した日から一〇年を経過した昭和二八年二月一二日に本件土地の被告の持分三分の一のその二分の一を時効により取得したというべきである。

4 次に前記認定の事実によれば、幸松が原告猪平に本件土地の管理を依頼し、本件土地の収益の二分の一を受領していることが認められるが、右事実のみでは幸松が被告に対し本件土地を猪平と持分各二分の一の割合で共有する意思を表示したものと認めることはできず、他に幸松が持分二分の一の割合による共有者としての自主占有を取得したと認めるに足る証拠はない。そうすると、幸松が本件土地につき持分二分の一の割合で自主占有したことを前提とする原告久男の主位的請求は理由がない。

そこで、進んで原告久男の予備的請求について判断するに、前記認定事実によれば、原告久男は、相続により本件土地の持分二分の一を取得したと信じ、以後原告猪平と持分各二分の一の割合で共有する意思をもつて平穏かつ公然と本件土地を占有し、右持分二分の一を取得したと信じるにつき過失はなかつたと認められるから占有を取得した日から一〇年を経過した昭和四五年三月二一日に被告の本件土地に対する三分の一の持分のうちその二分の一を時効により取得したというべきである。

二結論

以上の事実によれば、原告猪平の本訴請求並びに原告久男の予備的請求はいずれも理由があるからこれを認容し、原告久男の主位的請求は理由がないからこれを棄却する。

(根本久 青栁馨 都築民枝)

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