東京地方裁判所 昭和58年(特わ)2433号 判決 1983年12月21日
裁判所書記官
萩原房男
本店所在地
東京都港区西麻布三丁目二一番二五号
株式会社クリエイトサウンド
(右代表者代表取締役木村明子)
本店所在地
東京都港区西麻布三丁目二一番二五号
有限会社ラビツトパブリツシヤーズ
(右代表者代表取締役木村明子)
本籍
東京都文京区弥生二丁目三番地
住居
同都目黒区目黒四丁目一七番二四号
会社役員
木村明子
昭和一八年二月二一日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
一 被告人株式会社クリエイトサウンドを罰金五〇〇万円に、被告人有限会社ラビツトパブリツシヤーズを罰金一、一〇〇万円に、被告人木村明子を懲役一〇月にそれぞれ処する。
二 被告人木村明子に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社クリエイトサウンド(以下、「被告会社クリエイトサウンド」という。)は、東京都港区西麻布三丁目二一番二五号に本店を置き、音楽家の斡旋及び音楽制作等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社、被告会社有限会社ラビツトパブリツシヤーズ(以下、「被告会社ラビツトパブリツシヤーズ」という。)は、前同所に本店を置き、レコード原盤の企画製作・書籍の販売等を目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告人木村明子(以下、「被告人」という。)は、右各被告会社の代表取締役として、右各会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、右各被告会社の業務に関し、各被告会社の法人税を免れようと企て、架空の経費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五四年八月一日から同五五年七月三一日までの事業年度における被告会社クリエイトサウンドの実際所得金額が四八、二四九、四三七円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五五年九月三〇日、東京都港区西麻布三丁目三番五号所在の所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、三九〇、三三一円でこれに対する法人税額は源泉徴収所得税額を控除すると納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一〇、五五九、二〇〇円(別終(三)税額計算書参照)を免れ、
第二 昭和五五年八月一日から同五六年七月三一日までの事業年度における被告会社クリエイトサウンドの実際所得金額が四七、四二七、〇九七円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五六年九月二九日、前記麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、七九三、六七七円でこれに対する法人税額は源泉徴収所得税額を控除すると納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額九、〇〇五、〇〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ、
第三 昭和五四年一〇月一日から同五五年九月三〇日までの事業年度における被告会社ラビツトパブリツシヤーズの実際所得金額が五〇、四七八、四〇〇円(別紙(四)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五五年一一月二八日、所轄の前記麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、二四九、八一五円でこれに対する法人税額が五九二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一九、三一四、三〇〇円と右申告税額との差額一八、七二一、五〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ、
第四 昭和五五年一〇月一日から同五六年九月三〇日までの事業年度における被告会社ラビツトパブリツシヤーズの実際所得金額が五四、三九八、九一一円(別紙(五)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五六年一一月二七日、前記麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、三五六、八〇七円でこれに対する法人税額が一六〇四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二一、六四〇、七〇〇円と右申告税額との差額二一、四八〇、三〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全般につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書四通
一 木谷直枝(二通)、池田むつ子、渡辺正文の検察官に対する各供述調書
一 登記官作成の登記簿謄本二通
判示第一、第二の各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)、(二)修正損益計算書の公表金額につき
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲46)
一 被告会社クリエイトサウンドの法人税確定申告書二袋(昭和五八年押第一六五六号の1、2)
判示第一、第二の事実ことに別紙(一)、(二)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき
一 収税官吏作成の営業部収入調査書(甲1以下調査書は、いずれも収税官吏が作成したものである。)
一 企画製作費調査書(甲2)
一 検察官作成の捜査報告書(甲3)
一 木谷直枝作成の申述書(甲4)
一 タレント費調査書(甲5)
一 プロモート料調査書(甲6)
一 企画構成料調査書(甲7)
一 翻訳料調査書(甲8)
一 給料手当調査書(甲9)
一 福利厚生費調査書(甲10)
一 旅費交通費調査書(甲11)
一 交際接待費調査書(甲12)
一 検察官作成の捜査報告書(甲13)
一 被告人作成の申述書(甲14)
一 会場費調査書(甲15)
一 賃借料調査書(甲16)
一 受取利息調査書(甲17)
一 支払利息調査書(甲18)
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲19)
一 事業税認定損調査書(甲20)
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲21)
一 賞与引当金繰入損調査書(甲22)
一 役員賞与調査書(甲23)
一 損金不算入役員賞与調査書(甲24)
判示第三、第四の事実ことに過少申告の事実及び別紙(四)、(五)修正損益計算書の公表金額につき
一 被告会社ラビツトパブリツシヤーズの法人税確定申告書二袋(昭和五八年押第一六五六号の3、4)
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲46)
判示第三、第四の事実ことに別紙(四)、(五)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき
一 検察官作成の捜査報告書(甲13、32)
一 被告人作成の申述書(甲14)
一 検察事務官作成の捜査報告書二通(甲19、21)
一 交際接待費調査書(甲25)
一 会議費調査書(甲26)
一 福利厚正費調査書(甲27)
一 給料手当調査書(甲28)
一 企画製作費調査書(甲29)
一 賃借料調査書(甲30)
一 会場費調査書(甲31)
一 プロモート料調査書(甲33)
一 タレント費調査書(甲34)
一 広告宣伝費調査書(甲35)
一 旅費交通費調査書(甲36)
一 給料手当調査書(甲37)
一 印刷費調査書(甲38)
一 受取利息調査書(甲39)
一 支払手数料調査書(甲40)
一 支払利息調査書(甲41)
一 事業税認定損調査書(甲42)
一 賞与引当金戻入調査書(甲43)
一 賞与引当金繰入損調査書(甲44)
一 支払税金調査書(甲45)
(法令の適用)
一 罰条
(一) 被告両会社
判示第一、第三の所為につき、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項、判示第二、第四の所為につき、右改正後の法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項
(二) 被告人
判示第一、第三の所為につき、行為時において右改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において右改正後の法人税法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)、判示第二、第四の所為につき、右改正後の法人税法一五九条一項
二 刑種の選択
被告人につき、いずれも懲役刑選択
三 併合罪の処理
(一) 被告両会社
刑法四五条前段、四八条二項
(二) 被告人
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(刑及び犯情の最も重い判示第四の罪の刑に加重)
四 刑の執行猶予
被告人につき、刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 羽渕清司)
別紙(一) 修正損益計算書
株式会社クリエイトサウンド
自 昭和54年8月1日
至 昭和55年7月31日
<省略>
<省略>
別紙(二) 修正損益計算書
株式会社クリエイトサウンド
自 昭和55年8月1日
至 昭和56年7月31日
<省略>
<省略>
別紙(三) 税額計算書
株式会社クリエイトサウンド
自 昭和54年8月1日
至 昭和55年7月31日
<省略>
自 昭和55年8月1日
至 昭和56年7月31日
<省略>
別紙(四) 修正損益計算書
有限会社ラビットパブリッシャーズ
自 昭和54年10月1日
至 昭和55年9月30日
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(五) 修正損益計算書
有限会社ラビットパブリッシャーズ
自 昭和55年10月1日
至 昭和56年9月31日
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(六) 税額計算書
有限会社ラビットパブリッシャーズ
自 昭和54年10月1日
至 昭和55年9月30日
<省略>
自 昭和55年10月1日
至 昭和56年9月30日
<省略>