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東京地方裁判所 昭和58年(特わ)509号 判決 1983年6月01日

(被告人の表示)

本籍

東京都台東区雷門二丁目二一番地

住居

同区雷門二丁目七番八号

飲食店・遊技場経営

渡邊總二郎

昭和七年一二月一〇日生

主文

1  被告人を懲役一年及び罰金一、七〇〇万円に処する。

2  右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

3  この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都台東区浅草一丁目八番八号において「クラブ松竹」の名称で飲食店を、同区浅草一丁目七番一号において「パチンコ松竹」の名称で遊技場をそれぞれ経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五四年分の実際総所得金額が四、九四〇万〇、四四七円あった(別紙(一)修正損益計算書参照)にかかわらず、同五五年三月一一日、同区蔵前二丁目八番一二号所在の所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額が二、六八二万五、九八四円でこれに対する所得税額が一、〇二四万一、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(昭和五八年押第六七一号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二、三七五万二、〇〇〇円と右申告税額との差額一、三五一万〇、五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五五年分の実際総所得金額が六、四一六万四、四四一円あった(別紙(二)修正損益計算書参照)にかかわらず、同五六年三月一〇日、前記浅草税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額が二、八一七万九、〇三三円でこれに対する所得税額が一、〇九八万五、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三、三三一万七、二〇〇円と右申告税額との差額二、二三三万一、五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第三  昭和五六年分の実際総所得金額が七、五七四万七、一〇三円あった(別紙(三)修正損益計算書参照)にかかわらず、同五七年三月一五日、前記浅草税務署において、同税務署長に対し、同五六年分の総所得金額が三、七七四万三、二六六円でこれに対する所得税額が一、六五五万三、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額四、一一三万四、七〇〇円と右申告税額との差額二、四五八万一、七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

判示各事実につき

一  被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書四通

一  収税官吏の被告人に対する質問てん末書三通

一  次の者の検察官に対する供述調書

荒瀬清(二通)、細谷潔、岡崎高昌、堀田敏夫(二通)

一  収税官吏の次の者に対する質問てん末書

大平啓二、君島正、茂木三重子、渡邊萬利子

一  収税官吏作成の仮払金調査書(以下の調査書も収税官吏作成のもの)

判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)ないし(三)修正損益計算書中の各公表金額欄記載の内容につき

一  押収してある所得税確定申告書(一般用)等三袋(昭和五八年押第六七一号の1、3、4)及び所得税青色申告決算書(一般用)等三袋(同押号の5ないし7)

判示各事実ことに別紙(一)ないし(三)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき

一  検察官作成の捜査報告書(売上)((一)ないし(三)の事業所得の各<1>。以下の捜査報告書も検察官作成のもの)

一  期首たな卸高調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<2>)

一  期末たな卸高調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<4>)

一  捜査報告書(仕入)((一)ないし(三)の事業所得の各<3>)

一  一般経費調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<5>ないし<15>及び<20>ないし<23>、(一)、(二)の事業所得の各<16>、(三)の事業所得の<19>)

一  接待交際費調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<24>)

一  減価償却費調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<25>)

一  捜査報告書(給料賃金)((一)ないし(三)の事業所得の各<26>)

一  ホステス報酬調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<27>)

一  芸能人報酬調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<28>)

一  少額資産調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<29>)

一  除却損調査書((一)、(三)の事業所得の各<30>)

一  ホステス褒賞金調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<31>)

一  青色申告控除額調査書((一)ないし(三)の事業所得の各<32>)

一  浅草税務署長作成の証明書(前同)

一  不動産所得調査書((一)ないし(三)の不動産所得の各<1>ないし<4>)

一  利子所得調査書((一)ないし(三)の利子所得の各<1>)

一  譲渡所得調査書((二)の総合短期譲渡所得の<1>ないし<3>)

一  一時所得調査書((一)の一時所得の<1>ないし<6>)

一  雑所得調査書((二)の雑所得の<1>)

判示各事実ことに別紙(四)税額計算書中の摘要欄記載の内容につき

一  日動火災海上保険株式会社作成の「保険料の支払状況照会に対する回答」と題する書面(同計算書の番号10))

一  源泉徴収税額調査書(同計算書の番号18)

(法令の適用)

一  罰条

判示第一、第二の所為につき、行為時において昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一、二項、裁判時において右改正後の所得税法二三八条一、二項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)、判示第三の所為につき右改正後の所得税法二三八条一、二項

二  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑の併料

三  併合罪

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(最も重い判示第三の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

四  労役場留置

刑法一八条

五  刑の執行猶予

懲役刑につき、刑法二五条一項

(求刑 懲役一年及び罰金二、〇〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

出席検察官 五十嵐紀男

弁護人 伊藤哲

(裁判官 園部秀穂)

別紙(一)

修正損益計算書

渡邊總二郎

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

渡邊總二郎

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

渡邊總二郎

自 昭和56年1月1日

至 昭和56年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(四)

税額計算書

渡邊總二郎

<省略>

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