大判例

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東京地方裁判所 昭和59年(ワ)1602号 判決

【主文】

一  被告は、看板、包装及び広告に、別紙目録(一)ないし(四)の各標章を使用してはならない。

二  被告は、別紙目録(一)(三)の標章を附した看板を撤去せよ。

三  被告は、「こがね弁当」及び「こがねちやん弁当」の商号を使用してはならない。

四  被告は、釧路地方法務局帯広支局昭和五八年一〇月八日受付の「こがね弁当緑ケ丘店」の商号登記の抹消登記手続をせよ。

五  被告は、原告に対し、金二二八万円及び昭和五九年二月一日以降被告が右第二項記載の看板を撤去するに至るまで一ケ月金二四万円の割合による金員を支払え。

六  訴訟費用は被告の負担とする。

七  この判決は、第二項及び第五項に限り、仮に執行することができる。

【事実及び理由】

一原告訴訟代理人は、主文第一項ないし第六項と同旨の判決並びに第二項及び第五項に対する仮執行の宣言を求め、請求の原因として次のとおり述べた。

「1 原告は、持ち帰り弁当の製造販売を目的とし、「ニューまごころチェーン」ないし「こがねちやん弁当チェーン」と称するフランチャイズ・チェーンを組織し統括する本部であつて、加盟店は日本国内全域に及び、その数は昭和五九年二月一日現在で一〇〇〇店を超え、持ち帰り弁当の業界では店舗数の一、二位を争う地位にある。

2  原告及びその加盟店は、営業表示として、「こがねちやん弁当」との名称及び別紙目録(三)(四)の標章を使用しているところ、これらは、遅くとも被告の営業開始以前より原告の営業表示として全国的に広く認識されていた。

3(一) 被告は、昭和五八年九月ころ、北海道中川郡池田町大通り四丁目において、「こがね弁当池田店」を開店し、続いて同年一一月ころ、帯広市西一六条北一丁目一六番地において、「こがね弁当西一六条店」を、同じく北海道足寄郡足寄町南二条一丁目一六番地において、「こがね弁当足寄店」を開店した。

(二) 被告は、右各店舗において、店頭に別紙目録(一)の標章を附した黄色地の布製看板を掲げ、原告の作成した別紙目録(三)(四)の標章を附したポスターを店頭に掲示し、さらに、原告の使用する包装紙のうち、別紙目録(三)(四)の標章部分をそれぞれ別紙目録(一)(二)の標章に置き換えた包装紙を作成して使用している。

(三) また、被告は、昭和五八年九月ころ、帯広市緑ケ丘二条通一丁目四番地において、「こがねちやん弁当緑ケ丘店」を開店し、「こがねちやん弁当」「ニューまごころチェーン」と表示した看板を掲げて持ち帰り弁当の製造販売を行つている。

(四) 更に、被告は、釧路地方法務局帯広支局昭和五八年一〇月八日受付をもつて、商号を「こがね弁当緑ケ丘店」とし、営業所を「帯広市緑ケ丘二条通一丁目四番地」とし、営業の種類を「弁当の販売」とした商号登記手続を行うとともに、「こがね弁当」ないし「こがねちやん弁当」の名称で持ち帰り弁当のフランチャイズ・チェーンを組織統括する意図で、加盟店の募集活動を開始した。

4  被告が使用している別紙目録(一)の標章は、原告の周知表示である別紙目録(三)の標章に、外観・称呼において類似し、また観念においても「ちやん」の部分が女性、幼児・児童の愛称として使われる接尾辞であるところから両者は同義と考えられ、全体として類似している。また、被告が使用している別紙目録(二)の標章は、原告の周知表示である別紙目録(四)の標章に、姉さんかぶりの女性の持つている稲穂の向きが左右反対になつており、前掛に「こがね」との文字が入つている点が異なるのみで全体として極めて類似している。前記3(二)のポスター中の標章は原告の周知表示である別紙目録(三)(四)の標章そのものであるし、被告が「こがねちやん弁当緑ケ丘店」の看板に附した「こがねちやん弁当」の表示は、原告の周知表示である前記別紙目録(三)の標準と全く同一である。また、被告の登記された「こがね弁当緑ケ丘店」との商号は、その主要部分が「こがね弁当」の部分であつて、これが原告の周知表示である「こがねちやん弁当」に類似することは前記の別紙目録(一)の標章の場合と同様である。

5  被告のこれら標章及び商号の使用は、取引業者及び一般消費者をして、原告の営業上の施設又は活動と混同を生ぜしめるものであつて、原告は営業上の利益を害されるおそれがある。

6 被告は前記各標章及び商号を使用して持ち帰り弁当の製造販売店を開業するには本来原告との間で加盟店契約を締結し四店舗で加盟金として一四〇万円及びロイヤリティーとして毎月二四万円を原告に支払うべきところ、被告はその支払をしないで営業を続けてきたので、原告は、加盟金として一四〇万円、ロイヤリティーとして昭和五八年一二月及び昭和五九年一月分の合計四八万円の損害を被つており、同年二月以降も被告が別紙目録(一)(三)の標章を附した看板を撤去するまで毎月二四万円の損害を受ける。

原告は、被告の前記行為により本訴の提起を余儀なくされ、弁護士費用として四〇万円を支払つており、同額の損害を被つた。

7 被告は、もと原告の従業員であつて、前記各標章及び商号を使用するには、原告との間でチェーン加盟契約を締結し、加盟金及びロイヤリティーを支払わなければならないことを知りながら、あるいは少なくとも過失によつてこれを知らずに、前記四店舗を開店し営業を続けているものであつて、不正競争防止法一条の二または民法七〇九条により、原告の被つた損害を賠償する責任がある。」

二被告は、適式の呼出を受けたのに、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、民事訴訟法第一四〇条第三項本文、第一項の規定により原告の主張事実はすべて自白したものと看做される。

三右事実によれば、原告の請求はいずれも理由がある。

(牧野利秋 野崎悦宏 一宮和夫)

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